男勇者の事情
やっと登場正統派勇者さん。
正統派として活躍してもらいたいです…
ギャグ担当にしかなってないですから…
Side:男勇者
フカフカベットきもちぃ~…Zzz…
「勇人様、おはようございます」
……HELP ME―――――!
何この人!どうやって密室のはずのこの部屋に入ってきたんだよ!合鍵使われても開かないようにドア固定したんだぞ!!
「私にはあのような小細工は無い物と同義ですので、少々認識不足でしたね?」
「何か嬉しそうっすね…」
皮肉の一つも言ってやらないと気が済まなかった。
「ええ。私は勇人様のストーカーなので、妨害されるとされるだけ、燃え(萌え)ます」
「…は?」
無表情で何言いだしてんのこの人!イ~ヤ~、く~わ~れ~る~
「勇人様が怯える姿は中々に私の乙女心を引っかきまわしていまして…もう、寝ても覚めても勇人様のことしか考えられないほどです。どう責任を取るおつもりですか?」
「俺一切何もしてないじゃん!てか昨日知り合ったばかりの相手にどんな感情抱いてんですか!?」
「お~い、勇人…おや、メイドさんも来ていたのか。おはよう」
「おはようございます、フレイヤ様。勇人様のお顔を1秒でも速く見るために日の出から御邪魔しておりました」
「お~、恋する乙女は輝くモノだね。そう思わないかい、勇人」
「イヤイヤイヤイヤイヤ!昨日初めて会って今日ストーカーってどんな乙女だよ!」
「何を言う。私だって勇人の顔が見たくてこんなに早くに会いに来てるのに…勇人の意地悪ぅ…」
「勇人様、女性を泣かせる男には最低最悪鬼畜ゴミ虫野郎の称号を差し上げますよ?」
「いらねえ!てかフレイヤさんどう見ても嘘泣きじゃん!?また変な喋り方だし!」
「さて、メイドさん。朝の勇人弄りは中断して朝食に行こう」
「畏まりました。勇人様、参りますよ」
態度が変わり過ぎでついていけん…速く慣れよう…
「勇者様、お入り下さい」
渋くて良い声だ…思わず聞きいってしまう…
2人に朝飯付き合わされて少し経った頃。やっと公に俺が呼ばれた事情を聞くことができる…こうゆうのって普通最初に話すもんなんじゃ…考えるのはよそう…結果は見えてる。
「勇者・勇人よ、面を上げよ」
「はっ!」
「昨日話さなかったことを、この世界の事情、情報、そなたを呼んだ理由。今話せることを全て話そう」
まぁ世界情勢とか魔法の事は昨日聞いたし2度手間になるな。ちなみに…俺は光魔法しか使えなかったとだけ言っておこう。…つまんねぇ~…もっとこう、色んな魔法組み合わせてマンガみたいな技使ってみたかったのに…はぁ~、やる気無くすわ~…
「まぁ、昨日お主の部屋に厄介になった時にほとんど話したから、正直話すことは呼んだ理由くらいだな」
口調がテキトーになったな。あ、周りの家臣たちが騒ぎ始めた…何々…
「公の悪い癖がまた…」「きっとフレイヤ様もじゃろうて…」「勇者様も苦労して…」「私しが慰めて差し上げようかしら…」「昨日公の見張りを増やしておけば…」「そういえば公はどうやって…」「窓から抜け出したようで…」「冒険者時代の血か…」「困ったものじゃ…」「衛兵が気付かんのも無理無い…」「衛兵も不運な…」
国の長に対する評価これ!?なんでこんな評価で支持率90%なんだよ!!てか1人スゴイ事言ってる御婦人が…
「では勇人よ。そなたにやってもらいたいことは、ズバリ、魔王を止めてきてもらいたい」
「…はぁ?」
首をかしげてしまう。倒せじゃなく、止めろ?どうゆうことだ?
「まぁ、分からんだろうな。正確には凶暴化している魔獣を抑えるよう魔王を説得するか、魔獣を駆除するかのどちらかをしてもらいたい。過去の文献を見る限り魔王を倒した所で魔獣は大人しくならないようでな、はぁ~。面倒だが魔王に魔獣の手綱をしっかり握ってもらうのが1番確実なようでな」
頼みごとしながら溜息って…まぁでも、困ってるんならしょうがないか。あ、その前に、
「それは勇者を呼ばなくても、魔王に直接頼めば良いので?」
「そうしたいのは山々なんだが…まず1つ、ギグの森を抜けるのが難しい。2つ、南側の魔獣は強力で一般兵では歯が立たん。3つ、魔王と戦うことになった時対処できん。そうゆう理由で、我らは勇者を召喚したのだ」
「勇者ならそれができると?」
「うむ。といっても、いきなり行って来いとゆう訳ではない。2ヶ月程剣や魔法の修行をしてもらうし、腕利きの従者もつける。武器も良いのがあるしな」
「わかりました、謹んでお受けします。それで困ってる人を助けられるんなら、喜んで引き受けます!」
「おお、受けてくれるか。すまぬの。そして、ありがとう」
「いえ。修行はいつから?」
「とくに日取りは決めておらんが…」
「では今日の午後から」
「頼んだ手前無理強いはせんぞ?」
「いえ、こうゆうのは少しでも速い方がイイ」
俺が強くならなきゃ、罪も無い人達が傷つくのが増える。そんなの認められるか!
「わかった。では、此度の件、頼んだぞ」
公のこのセリフで謁見は終了した。