男Aの特徴
Side:男A
「お、重い…運ぶ手段何か考えとくんだった…」
「うん…歓迎会やるので頭一杯だった。失敗失敗♪」
あれ楽しそう。どして?
ただいま丸焼きカバを引き摺って移動中。重過ぎで2人がかりです…汗気持ち悪い…
「そういや肉屋ってこっからどんくらい?」
「あ~、このペースだと2時間くらいかかるかも」
無理だ。家着いたら速攻寝に入る。
「うわ~…ちょっと運び方考えよう……ん~…丸太何本か敷いてその上転がしてくのは?」
「あ、イイかも。でも丸太どうしよう…」
「そこらの木切ろう。風の魔法の練習になりそうだし」
「うん♪じゃあの木なんかどう?」
電気は火と風、氷は水と風の混合魔法。つまり俺が1番得意な基本属性は風だろうと思う。電気や氷を出すのを試してみたら電気は上手くいくんだけど氷はイメージが悪いらしく失敗している。ちょっと風とか他のを練習して頭を切り替えてみることにした。ちなみに火は料理中に試して成功。
とりあえずロザリーが指した2.5メートルくらいの木を狙って…
「風牙!」
シュパパパッ!
振った右手の軌跡に乗って不可視の刃が飛んだ。しまった、狙った木と奥の2本まで切り倒してしまった…う、魔力出し過ぎた。気持ち悪…
「ジル、もう少し抑えなきゃ。ただでさえ魔力少ないんだから」
お姉さんぶった呆れ顔で注意された。中身20でも見た目は10だからな~。2代目某少年探偵になれるな…薬で成った訳じゃないし、酒で元に戻れる事もないだろうけど。
「う~…フルフル…よし!回復完了」
「速いね~。普通1時間とか掛かるのに」
何が速いのか。実は俺、魔力の自然回復速度が異常に速い。今は少々使い過ぎたので1分くらいだったが、昨日家で料理用に火を使った時は1秒も立たずに回復しきった。メーターとかで見れるわけじゃないから体感なんだけどね。つまり大技は打てないけど小技は連射が効くのである。
「昨日も電気だして『うえ~』ってなってたのすぐに治ってたもんね~。どうなってるんだろう…」
ジ~っと見られてる…気になる。あんまこっち見んな。
「あの回復速度は尋常じゃない。何か見えない特殊スキルでも持ってるのかな…それともこれも<悪運>の効果?でも今までそんな話聞いたこともないし…これは1度徹底的に調べる必要があるよね…」
「ブツブツ言ってないで手伝って…」
とりあえずカバのサイズから考えると10本くらいあればいいかな。1本切れたらそこで止まるくらいに魔力調整して…
「風牙!」
シュパッ!
今度は成功。いっそこの量で使うようにルーン刻もうかな…短いから指輪に書くのも問題ないだろうし。ルーンで刻まれた魔法は魔力量、位置、効果を変更できないので俺にとっては助かる話だ。普通は使い勝手悪いと言われてるらしい。
さて、魔法使ったと同時に回復がスタート。元の魔力量が少ないからか、一瞬で回復終了。
…回復量は多いのだろうか?…その辺はロザリーに任せよう。素人の浅知恵じゃどうしようもなさそうだし。
「魔法使ったと同時に回復が始まってる。回復量は…人よりちょっと多い…これは調べ甲斐があるよ…ジュルリ」
ん?舌舐めずりしてる?カバがそんなに楽しみなのか?じゃあちょっと急ぐかな~。あんま変わらないだろけど。
丸太作戦が上手くいき、30分くらいで肉屋の前に着いた。
ロザリーが亭主と話しているので空を見上げて時間を潰していた。空は普通に蒼い。まぁ遠くに黒い霧が帯のように見えてるんだけど。太陽が高いしあっちは南か。逆を見ると同じように霧がある。ただ東と西は水平線の奥に消えてしまっている。ギグの森デケー。
「あれ…オネエちゃん、だあれ?」
「ん?」
いつの間にか目の前にチビッ子がいた。まぁ7歳くらいか?見た目年齢は俺とそう離れてないと思う。
「ああ、俺はロザリーの…何だろう?まぁイイや。ロザリーの友達のジルだよ。ちなみにオニイちゃんね」
「お姉ちゃんの友達?」
聞かれても困る。俺自身『居候じゃね?』と思ってるくらいだ。てか男って部分はスルー?
しかしこの娘、なんとなく向こうで飼っていた猫を思い出してしまう。何を隠そう猫耳に尻尾付だ。獣人の子供なのかな?
「ジル~、終わったよ~」
「お姉ちゃんっ!」
トサッ
「わっ!も~、危ないよ、リナちゃん♪」
注意してる割に楽しそうだ。やっぱり知り合いだったか。
「ジル、リナちゃんに自己紹介した?」
さっきの緩みきった声聞いた後に年上らしい発言聞くと違和感がスゴイ…
「俺はしたよ。その娘が自己紹介する前にロザリーが来たから、その娘の名前はまだ聞いてないけど」
「そうなんだ。じゃあリナちゃん。向こうのお姉ちゃん…お兄ちゃんに自己紹介して」
「今お姉ちゃんって…」
「…リナです…はじめまして…」
完全にロザリーの後ろに隠れてしまっている…ますます猫っぽい。当り前か?
「リナちゃん、ジルは怖くないよ~」
ロザリーの必死の説得も虚しくリナちゃんが俺と話すことは無かった…ちょっとショック…ロザリーの紹介で肉屋の娘だとゆうことはわかったけど。
「さぁ!これが本日のメインディッシュ、カバ肉のステーキだよ♪♪」
いつもより多く楽しんでおります。訳判らんな、止めとこう。
「でかいな~。食べきれるかな?」
「大丈夫大丈夫。残っても冷蔵室で保存が効くから♪」
そう言って普通にナイフとフォークで食べ始めた。バランス良くパンとサラダもある。昨日の晩飯のバランスの悪さは一体…
ちなみに冷蔵室とは地下にある氷石と呼ばれる魔法石で冷蔵庫並みの温度になってる部屋の事だ。正直糞寒い。
そんなことは放っておいて、肉肉♪正直結構楽しみでした。ではさっそく、
パクッ
……上手い。ただコレ…普通の牛肉?野生のカバが食用の牛肉と同じ味ってスゴイな!乳牛捌いても食用牛肉には遥かに劣るはずだぞ!どうなってんだカバの生態?
「えへへ♪美味しいね、ジル♪」
すごく無邪気な笑顔…朝、何故か泣いてたのと同じ人の表情とは思えない、綺麗な笑顔…
「うん、美味しい。ありがと、ロザリー♪」
「へ……うん♪」
こうして2日目が過ぎて行った…
新キャラいますがあまり出番が…
男Aの魔法の説明はもうチョイ先になります