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神様の暇つぶし  作者: けんしょ~
その時、歴史が動いた?
135/140

勇者VS魔王――親友として

Side:魔王

テッタ達はやられてしまったか。流石じゃな。人間の意地とは、やはり侮れん。じゃが!

「ジル、覚悟するのじゃ!」

イトハを巻き込まないギリギリのサイズの炎を展開しジルにぶつける。

「遅い」

なっ!イトハの真横に張り付いて離れん!?

「リリー、隙だらけだよっ!」

くっ!ロザリーのフレアかっ!

「炎で私と張り合おうなんて思わないコトね!」

ガ・ジャルグの炎操作でロザリーの炎を奪ったか。

「流石イトハ!わそれでこそらわの嫁じゃっ!」

「そんなコト言ってる場合じゃないでしょうがっ!」

照れずともよかろうに。昨日は自らわらわを抱いたくせに。

「くっ!この、当たらないっ!」

それにしても、さっきから異常にジルに攻撃が当たらない。どうなっとるんじゃ?

「今日は眼帯無しだから、相当頑張んないと当てられないよ」

「このっ!毎度毎度鬱陶しいっ!」

いかん、イトハがそろそろ挑発され過ぎで我慢の限界じゃ。

「ほらほら、俺は今日はリリーの言ってた<契約の死印>の魔具を試そうと思ってたんだけど、必要なさそうだね」

「舐めてんじゃないわよっ!」

いかんっ!そんなに大振りではっ!

「雷槍っ!」

「フレアッ!」

「キャーーッ!」


『これは酷いっ!糞ガキのヤツ、可愛らしい少女の様な顔してえげつねぇ戦い方しやがるっ!挑発して大振りを誘い、スピードで潜り込んで攻撃叩きこんだらロザリーちゃんの支援攻撃狙い!まるで狙ってたかのようなコンビネーションに我らがリリー様も反応出来ねえぇっ!』


「イトハッ!」

「まだ行けるわっ!」

ジルの魔力が低くてギリギリ耐え切れたようじゃな。しかし、

「まさか此処までの連携が出来るとは思わなかったのじゃ……」

「厄介なのはロザリーちゃんがジルに完璧に合わせてくるトコね。ロザリーちゃんの援護が無ければもう少し戦えるのに」

ジルの速さも厄介じゃが、問題はロザリーの正確過ぎるフレアじゃ。何故ジルはあそこまでロザリーのフレアに当たらぬ位置が分かるんじゃ?

「…………イトハ、暫くジルと、正真正銘の1対1をしててくれぬか?」

「……分かったわ。でも、」

「わらわは魔王じゃ。其の様な心配は無用じゃ」

ロザリーに怪我をさせる事も、わらわが怪我をする事も無く勝ってみせるのじゃ。

「作戦会議は終わった?」

「……ジル、アタシ」

「うん、俺の相手はイトハだけみたいだね」

通じたようじゃな。流石わらわの親友じゃ。

「ジル、前の決着よ」

「ああ。これなら、死神の魔具を試せそうだね」

等々、死神の魔具を作ったか。じゃが、そんなものは些事じゃ。

「リリーとケンカするのも、久しぶりだね?」

「そうじゃな。あの時の喧嘩の理由はなんじゃったかの?」

「わらわのイトハの方がジルよりも強くて優しいのにロザリーが違うと言ったのじゃ」

「そうだったね。でも、やっぱりジルの方が強くて優しいよ」

「互いに平行線じゃ。わらわにとって、イトハは最高の嫁じゃ」

「そうだね。ジルはアタシにとって、大切な家族」

「今は」

「それだけでいいよねっ!」

無詠唱で放った風の刃はロザリーの無詠唱の闇魔法らしきものでかき消された。

ロザリーは1番得意な筈の闇魔法を普段使わない。杖に刻まれているルーンもフレアのみ。闇魔法を使えないのではなく、ルーンを刻む必要が無いだけじゃ。

「相変わらず、巫山戯た闇じゃっ!」

「リリーだって、全属性自由に使うなんて巫山戯てるよっ!」

そう、<契約の魔印>を受け継ぐ魔王は、全ての属性を全力で使用出来る。そして、魔力が上限値で固定される。

どれだけ魔法を使おうとも、永遠に魔力が枯渇する事が無い。魔法戦では反則な能力を持つ。

これが、歴代の魔王達が秘密にしてきた魔王の強さの真実。どれだけ強大な魔法を使おうとも、我ら魔王の魔力は全く消費されない。

こればかりは嫁にも親友にも教えられない事じゃな。

「リリー相手に魔力切れは期待しないよっ!それでもっ!」

なっ!上空に巨大な重力球!?小癪なっ!

「こんな物で、わらわをどうにか出来ると思うでないっ!」

同程度の重力球をぶつける事で相殺した。

「イッケーーッ!」

正面から闇の飛礫の雨かっ!

「受けて立つのじゃっ!」

全属性の飛礫を放ち、迎撃する。わらわの周りに闇の塊が転がる。ロザリーの周りには炎や水、石ころが散らばって居る。

「囲んだよっ!」

わらわの周りに転がって居った闇の塊がわらわ目掛けて針に成り襲い掛かって来たっ!何て面倒な魔法を使うんじゃっ!

「結界!」

無詠唱では展開が間に合わなかったであろう結界を詠唱付きで展開。ジルの詠唱真似して練習しておいて良かったのじゃ。

「それっ、ジルの魔法だよっ!」

先程の巨大重力球かっ!この結界なら耐えられるっ!

「ジルッ、使うよっ!」

ロザリーもジルの魔法が使えるのかっ!?

「焼き尽くすはその骸 砕きしはその魂」

普通の詠唱じゃと?しかし重力球への対処が先じゃっ!

「闇を屠りし力示せ」

重い、が耐えきったのじゃ!結界は丁度砕け散ったがの……

「破邪業炎!!」

「ジルの魔法は魔法名だけじゃの」

「どうかな?」

何を……詠唱に比べて魔法の規模がおかしい!?

地面から出た大量のスケルトン(骸骨の魔獣)の手がわらわに迫り逃げ道が無くなった所で囲んでいるスケルトンが包囲の外側から高密度の黒い炎に焼かれて中央、つまりわらわに迫ってくる!?

くっ!逃げようにもスケルトンの手が服や足を掴んで離さんじゃとっ!魔法を使おうにもこうも妨害されては無詠唱も詠唱有りでも発動出来ん!


『何だ何だ何だこれはあぁぁぁぁぁーーーっ!ロザリーちゃんの魔法で大量のスケルトンハンドが出てきてリリー様を包囲っ!しかも包囲の外からリリー様に迫る黒い炎はどう見てもヤバ過ぎるぅぅーーーっ!』


「リリーッ!」

「取った!雷槍」

「あっ!」

「轟雷双烈波!」

「キャーーッ!」


『イトハ様場外ーーっ!いつの間にか黒いジャケットを着た糞ガキがダガーを捨てて両手で雷槍を放った後に左右の腕を上下に広げたら巨大な雷球が出現っ!イトハ様を場外まで吹き飛ばしたーーっ!』


「ジィルーッ!」

よくもイトハをっ!

「ジルはやらせないよっ!」

「退くのじゃロザリー!!」

「ロザリー、退いてっ!」

っ!自らわらわに飛び込んできたっ!?

「くっ!場外線まで押し込む気じゃったな?」

じゃが、身体強化で耐えきったのじゃ!

「安心するのはまだ速いっ!」

「何を、っ!」

「リリー!今度こそっ、アタシ達の勝ちだよっ!」

「これが、私の本来の役目ですっ!」

ロザリーとメイドさんまで加わってのタックルッ!?

もう、耐え切れんっ!


『魔王様、場外ーーーーっ!!!一緒に糞ガキ、ロザリーちゃん、メイドさんまで場外したが今はそんな事気にしてられねえ!!魔族としてこれは見逃せねえ!!魔王様がっ、我らがリリー様が場外っ!!

ユビキタス組は最初かっらリリー様を場外にするつもりで戦ってやがったーーっ!!親友ロザリーちゃんとの激烈な魔法戦はリリー様を場外させる為の布石でしかなかったってのかーーーっ!』


わらわが……負けた?3人掛かりとは言え、わらわが、わらわが……

「うぅ、ぐずっ、うわあぁぁぁん!」

「リリーッ!?ジル!アンタ何リリー泣かせてんのよっ!!てかそのジャケット何なのよっ!!」

「勝負なんだから仕方ないだろっ!」

「男が女泣かすなんて情けないと思わないのっ!?」

「男女平等っ!」

「言い訳すんなーーっ!」

わらわは、魔王だから、負けちゃ、いけなかったのに……わらわは、

「リリー、まだ負けてないよ」

「えぐっ、ひっく、じゃが、わらわは」

「まだ勇那さんと勇人さんが戦ってるよ?魔王なら、自分の戦いは最後まで見よう?」

自分の戦い……わらわの戦いは、

「勇那さんはリリーのチームだよ?勇那さんが戦ってるに、リリーが泣くなんてダメだよ」

まだ、戦ってる……元は敵対するしかなかった筈の勇者が、わらわの仲間として……

「だから、泣くのは勇那さんが負けてから。そしたら、泣いてもいいから」

「……うむ…」

まだ、わらわは負けておらん……


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