女Bは魔界流和平階段を垣間見る
Side:女B
今日、ユビキタスの姫様達と見届け人の色彩国家カラーズの王様が連だって魔王城に来る。
護衛兼会談参加者としてロザリーちゃんとジルも来るみたい。と言うかロザリーちゃん奪還に参加したメンバーは殆どいるみたいね。
唯一、生死不明のアダトリノの勇者、勇那がいないくらいなんでしょうね。
「魔王様、ユビキタスの使者とカラーズの王が御見えに成りました」
テッタが報告してくれた。
「来たか。会談は明日じゃ、今日は明日の為に英気を養って貰おうかの」
「……和平、結べると良いわね」
「誰が何と言おうと結ぶつもりじゃ。文句が有るならばわらわを倒せ。この前皆にそう言ってやったのじゃ」
スゴイコト言ったわね。
「どうなったのよ?」
「『ヨッシャー!リリー様と戦える機会が出来たぞっ!』と言われたのじゃ……」
「魔族って、結構バトルマニアよね」
「言うな」
リリーも苦労してるわね。
「では、顔見せといこうかの」
皆に会うのも久しぶりね♪
「何で勇那がここにいるのよっ!てか何で生きてるのよっ!ずっと死んだと思ってたのに、生きてるなら生きてるって言いなさいよっ!!」
まさかのカラーズ護衛についてきてた勇那に文句を言いながら応接室に入る。
「イトハ、勇人さんと台詞被ってる」
「リリー♪」
「ロザリー♪ジルに何もされんかったか?」
「ううん、されてないよ。でもこの前から一緒にお風呂入るようになったんだ~♪」
「……何、じゃとっ…」
今、勇那が生きてるコトよりも問いただすべき話が聞こえたわ…
「勇那、アンタが生きてるコトはこの際どうでも良いわ……でも、でもね…」
「ああ、手伝おう。少年は男としてやってはならない事をした」
「ジル坊逃げろっ!あっちからとんでもねえ殺気がお前にっ……」
「ダメだよシオン君、これからジル君には男の子としての常識を教えてあげなくちゃいけないんだから」
「ジルくん、いくら幼くても男の子が女の子と一緒にお風呂だなんて、私も普段から勇那様と一緒に入りたいのに羨ま……許せませんっ!」
シオンはジルを逃がそうとしたけどクリスに物理的に止められた。エルーダとか言う勇那を召喚した巫女は……まぁ、相変わらずの変態具合ね。
「勇人さん助けてっ!」
「無理だっ!あのメンツだぞっ!?どう考えても逃げ切れないだろっ!それ以前に君がロザリーちゃんと一緒に風呂に入らなければ良いだけだろうっ!?」
「好きな女の子が一緒に入ろうって言ってきた上に断ろうとすると涙目に成るんだよっ!?断れる訳ないっ!てかロザリーに俺と風呂入ればとか吹き込んだのは姫様だっ!」
「フ~レ~イ~ヤ~ッ!!」
「いや、まさか実行するとは思ってなかったんだよ!想像するだけで顔真っ赤にしてるもんだからきっと子供らしいお付き合いをするんだろうって思ってたんだよ?」
そう言えばロザリーちゃんに広いお風呂なら一緒に入ればとか言ったコトあったわね~
「フレイヤ、お主にはロザリーを風呂でのぼせさせた罪も有ったのう?」
「うっ!」
「フレイヤ様、大人しく罪を償いましょう。専属メイドとして見届けさせて頂きます」
「主人の間違いを正す為には心を鬼にする。良いメイドだな」
「わ、私だって勇那様の為ならば心を鬼にしますよっ?」
「……何この状況?」
「原因はジル君だよ?自覚しなきゃ」
「ジルは悪くないもんっ!」
「ありがと、ロザリー♪」
「えへへ~♪」
あっ!またロザリーちゃん、ジルに抱きついてるっ!あの2人目を離すとすぐイチャイチャするわね……
「何だろうな……何て言うか、子供に思いっきり負けてる気がする……」
勇人、それを認めたらアウトよ。
「む~……兎に角、明日の会談の打ち合わせをする。フレイヤ、色彩王はわらわと会議室に行くのじゃ。付いてまいれ」
「魔界とユビキタスの和平だ。楽しみにしている」
「こっちはそんな余裕無いよ。出来る限りの事をやるだけさ」
……行ったわね……
「イトハちゃん、どうしたの?」
「あ、クリス……リリー、どうするのか気になっちゃって……」
「心配なんだ?」
「当たり前よ。私がこの世界に来てから、ずっと助けてくれたんだから」
「でも、イトハちゃんだってリリーちゃんを助けてきたんでしょ?」
「え?」
私がリリーを助けた?そんなコト、あったかしら?
「私もね、誰かの助けになってるか不安だったんだ。流れ者の私は、シオン君達の負担にしかなってないんじゃないかって……本当はこの世界の人じゃないのにって」
は?クリスがこの世界の人じゃない?
「でもね、素性のハッキリしない人と一緒にいるって事は、それだけの意味があるんだよ?」
私と一緒にいる意味?
「私は2人の出会いを知らないから分からないけど、きっとリリーちゃんなりにイトハちゃんと一緒にいるって決めたキッカケがあったんだよ。じゃなきゃ魔王様なのに余所者を側には置いておけないよ?」
私と、リリーが一緒にいるコトになったキッカケ……
「とか言いながら私もジル君がロザリーちゃんに話すまで言えなかったんだけどね?聞いてからも悩んじゃったし」
それが普通よ。
「アイツはきっとどうでもいいから話さなかったんだわ。ロザリーちゃんの心配を和らげるために話しただけで、何も無かったらきっと自分が異世界人だってコトすら気にしなかったと思うわ」
「そうだね、ジル君はそういう子だと思う。でも、だからロザリーちゃんは救われたんだと思うよ?ジル君がロザリーちゃんの種族を気にしなかったから一緒にいられるんだよ」
そう、ね。神祖だからって、世界中から嫌われてる種族だからって気にするヤツには、ロザリーちゃんは救えなかったと思うわ。
はぁ~あ、結局ロザリーちゃんとジルはお似合いなのね……
「あ、リリーちゃん。明日の会談はどうするの?」
あ、終わったのね。意外と短かったわね。
「うむ。大方の予想通り、決闘でわらわと対等な力を示す事が最重要課題と成った」
「…………それって、もしかして……」
「うむ。選抜者でのサバイバルチーム戦となったのじゃ!」
……チーム戦って、魔族はどんだけ戦うの好きなのよっ!
「人数は私達に合わせる事に成ったよ。と言う訳で、ボウヤと少女、クリスにシオン、勇那とエルーダも手伝っておくれ」
「断る」
勇那?
「私は魔王側に付こう」
「私は勇那様の御側を離れる気は有りません!」
「ふむ、わらわは構わんぞ」
ええっ!良いの!?
「……とすると私達ユビキタスは7人だね」
「あれ、俺とロザリーは固定なの?」
「姫様だもんね~。リリーとケンカするのも久しぶりだな~♪あれ試してもいいかな?」
「良いんじゃない。俺も色々試したいし」
「シオン君、頑張ろうねっ♪」
「まさか魔王と戦う事に成るなんてな」
「チームは決まったようじゃな。では、明日の為に今日は休むのじゃぞ」
…………マジ?
主神「等々大詰めか」
女神「何をメランコリックに成って居るのですか?」
主神「いやな、そこそこ暇つぶしに成ったなぁ~って思ったんだがな」
ダル「出番が無いって思ったんだお?」
主神「そうなんだよっ!この小説のタイトル覚えてるかっ?神様の暇つぶしだぞ?なのに神たる俺達が一番出番無いってどう言う事だよっ!」
女神「五月蝿いですよ騒音お父様。御自分の趣味で彼等の運命を捻じ曲げたのですからそれくらい我慢してください駄々っ子」
ダル「まぁ、最後に無理矢理入り込めば良いんじゃね?」
主神「……身も蓋もねえな」
女神「そうですね」
作者「無理矢理は勘弁してください」