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神様の暇つぶし  作者: けんしょ~
その時、歴史が動いた?
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男勇者と女Bの和平会談

Side:男勇者

「……で、何で姫様達とリリー達がここに来るの?」

「此処が1番の中立地帯じゃからな」

「この家なら魔界だろうと人間界だろうと関係無いだろう?」

ユビキタスと魔界との和平歓談。その代表者達は何故かギグの森の真ん中くらいにあるジルくんとロザリーちゃんの家で顔合わせをしていた。

本当にどうしてこうなった?

「何、ジルは何か文句あるわけ?」

「うん、かなり」

「男のくせに細かいわね」

「ジル手先器用だもんね♪」

「……ロザリーちゃんの天然具合も健在ね」

「気にしないで。ロザリー、あっち行ってよう」

「うん♪ベット?お風呂?」

「……ベットで」

……あの2人、大丈夫だよな?子供らしい健全な関係だよな?

「…………え~と、和平会談の打ち合わせをしようか?」

「……そうじゃな、気にしたら負けじゃ」

その前にあらゆる面で完全敗北してる気がする……俺って、子供だよなぁ……

「しかしどうするのじゃ?わらわの国にも人間の国と和平を結ぶ事に反対する者は居るぞ」

「だろうね。人間と魔族との確執がそう簡単に埋まるとは父様も思ってないよ」

だよな。数人の大臣はまだ公に直談判してるし。

「じゃが、強硬にでも歩み寄った」

「最近はアダトリノ王が率先して各国の兵の練度を高めてたからね。何処の騎士団もギグの森を抜けるだけの能力を持っているんだよ」

アダトリノ王、死んでも俺達の前に立ち塞がるな。

「戦争を仕掛ける手筈は順調に整っているのじゃな?」

「そう思ってくれて構わない。だが戦争は不味い」

そうだ。もし戦争が起こったら、俺には想像も出来ない被害が出る。

「人魔戦争が勃発すればどうなるか……あまり想像したくないのじゃ」

貧困、孤児、資源の枯渇、民間人への被害。考えてみれば幾らでも出てきてしまう。

「それはユビキタスも一緒さ。ギグの森に面してる我が国は1番割に合わない被害を受けるだろうね」

「じゃからその前に有効協定くらい結んでしまえば良い、と?」

「その通りだよ。利用してるのは百も承知さ。だが、そこまでして協定を結ぶ必要が有る」

「そうじゃな。それに現ユビキタス公ならば無茶な協定条件を出す事は無いじゃろう。どうせ親書はメイドさんが管理するのじゃろう?」

「当然だ。メイドさんの管理ならば誰でも関わろうとしない。もし来ても地獄を見るだけだ」

そう言えば、俺が行った土地の悪徳貴族って大体行方不明になってるんだよな……考えなかった事にしよう!

「でも日取りとかどうするわけ?この家で協定結んだって誰も聞きゃしないでしょ?」

イトハの言う通り、この家は中立地帯に有るからこそ安全だが、この家でどんな話し合いが行われてもその結果を認める人はいない。

精々裏で密約を交わしてたと言われるくらいだろう。認められないんだから密約にすら成ってないけどな。

「そもそも魔族は力で物事を解決するのじゃ。魔王の選定基準も力に関係有るしの」

「そうなのかい?魔王の選定基準、そう言えば誰も知らないね」

「あ、私も知らないわね」

「教えてはならんからの。魔王の義務の1つじゃ」

「変な義務だな」

隠さなきゃなんないものなのか?

「わらわも変じゃと思っとるよ。兎に角、魔族の基準は強さじゃ。戦略を練ろうが体を鍛えようが魔法で全てを消し飛ばそうが力は力じゃ。

恐らく勇人、お前との決闘は避けられん」

「……分かった」

人と魔族の争いを止められるなら俺のプライド何て無視する。それで多くの人を救えるならそっちの方が良い。

「じゃ、軽く魔王と勇人の実力差を見てみようか」

え?

「そうじゃな。あまりにも差が有る様ならばメイドさんをユビキタスの代表にしてもらいたいの」

「しかしどうやって見ようかね?ここで直接戦うってのも面白みが無い」

「ふむ、一理あるのう……よし、ジルを使うのはどうじゃ?」

いやいやいやいや!アポ無しで押しかけておいて次は何する気だよっ!?

「何?ジルに模擬戦でもやらせるの?」

「うむ。あ奴と戦闘すれば勇人の能力は分かるじゃろうからな。お互い近距離戦主体じゃしジルは中距離から魔法も使えるしの。決してロザリーとイチャついてるのを邪魔してやろう等とは思っておらんのじゃ」

「思ってるのね」

「思ってるんだな」

リリーちゃん、分かりやす過ぎるよ。

「ええーい!良いからジルを呼ぶのじゃ!モリッシュ!」

…………あれ?

「いないわよ?」

「モリッシュ様ならば先程ロザリー様達の後を付けて行きました」

メイドさん、気付いてたなら言ってくれよ。言われても困るけど……

「じゃ、私達も見に行こうか。もしかしたら面白いモノが見れる……としても罰ゲームかもしれないね……」

「……普通に呼ぼうかの?」

「そうしましょう。アレは……もう食べたくないわ」

ジルくんお手製の激辛ソースと激甘ソースのコンボは……並みの攻撃よりもよっぽどキツイ……思い出すだけで口の中がカオスに成る……

「……取り敢えず、行くよ」

「……おう」

皆で連だってジルくん達の寝室へ行ってみる。

「……モリッシュ、いないわよ」

「……恐らく、ジルの餌食に成ったんじゃろう」

「ジル様は気配に敏感ですからね」

「皆、普通にノックして、普通に呼ぶよ」

フレイヤが先頭に立ってドアをノックする……ん?

「反応が無いね」

「どうなってんのかしら?」

「中に居ないのではないでしょうか?」

「もしくは寝ておるのかもしれんぞ?」

「……開けるか?」

「「「「!!??」」」」

皆して驚愕に目見開かないでくれ、俺だってマズイって事は分かってるんだぜ?

「ゆ、勇人、墓石には、何て刻めば良い?」

「死なねえよっ!いくらジルくんでもそこまでヤバイ事はっ……しない!……筈」

「最後ぼそっと何か付け加えたわよねぇ!?最後の最後で自信無くしたわよね!?」

「だってモリッシュさん居ないじゃんかっ!もしかしたらもしかするだろっ!ジルくんだぞ?ロザリーちゃん以外がどうなろうと全く無関心なジルくんだぞっ?その2人だけの時間を邪魔したら、よく考えたら凄いヤバイんだぞっ!」

普段は珍しくも食べやすく、味だって悪くない料理を作るジルくんだけど本気を出したら料理で人を殺せるほどの劇薬を作り出すんだぞ?自信無くして当然だろっ!

ギィィィィ……え?ドア開いた?

「皆五月蝿い」

「うにゅ~、何かあったの~?」

不機嫌そうなジルくんと寝起きだろう着崩れた浴衣のロザリーちゃんが出てきた。


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