男勇者の実践授業
Side:男勇者
準備運動と素振りが終わったら担任は職員室に戻っていった。
彼女にも仕事があるんだから当たり前。ここからは本当に俺とジルくんだけだ。
「2人1組での打ち合いだ。相手に怪我させないように剣を振るうのも練習に成る。じゃ、始めて」
俺が10人中6人の3組、ジルくんが残りの4人2組を見る。やり過ぎたりしないように監督する為だ。
しっかし皆綺麗な打ち込みだな。
「あ!」
「ほい」
お、危うく頭に直撃しそうだったのをジルくんが防いだか……でもグローブの水晶で受け止めるのは危ないと思うんだ。
「あ、ありがとうございます」
「どういたしまして。あんまり力むな。お互い怪我するぞ」
「「はい!」」
1番怪我しそうな事したの君だからな!?水晶は弾くのには良いけど受け止めるのは難しいんだぞ!
……さっきの子がまたジルくんの方見てる……何かあるのか?
周りに注意しつつその子の視線を気にしてたらそこそこ時間が経っていた。子供達も大分疲れたようだ。
「じゃ、ここらで休憩入れよう。10分程で再開するぞ」
「「「「は~い…」」」」
あれ?ジルくんの方の子達、俺の見てた子達より疲れてる?
「何か、君の方の子達の疲れ酷くないか?」
「長く動ける様に打ち合いさせてるから」
「……どゆこと?」
「ミスしても直ぐに次の動作に移れるように補助したの。その方が密度の濃い練習に成るでしょ?」
「どうやって?」
「倒れそうに成ったら軽く受け止めて打ち合い続行。剣が弾かれたら遠くに行かない内にキャッチして直ぐ再開させる。そんな事してたらこうなった」
……確かに打ち合いの時間が増えたら疲れるのは当然か。休憩後は俺の方もそうしてみよう。
「あの、ジル先生」
おや、あの子がジルくんに話しかけた?さっきは俺の見る方にいたから話しかけ辛かったのか?
「どしたの?」
「後で、ジル先生の剣を教えてください!」
「は?何で?」
「普通の剣を女の私が振るうには限界があります。でもジル先生のダガーなら自由に扱える」
確かに女の子が普通の剣を持つのはちょっと辛い。事実女性騎士の大半が普通の剣より少し小さい物を使っている。
「却下。それはこれからの授業で習う事だよ?今から我流の型を覚えちゃったら騎士としては遠回りに成る。騎士に成ってからなら教えてあげるよ」
「……それは、何年後の話ですか?」
「さぁ?10年とかは経ってるんじゃない?」
「待てません」
「知りません。ほら休憩時間終わったよ。稽古再開」
……はぁ…ジルくんの言う通りだな。
「皆、相手を変えて練習再開だ。じゃ、始め!」
これは色々問題が有りそうだな……
キーン、コーン、カーン、コーン……
お、授業終了の鐘だ。
「授業はここまで。ホームルームちゃんと受けるんだよ」
「「「「はーい。ありがとうございましたー!」」」」
ふぅ、ようやく終わった。
「俺達も戻ろうよ。ロザリーと姫様とも合流しないとこの後の予定が分からない」
「そうだな。全く、フレイヤは何考えてるんだか……」
「案外、何も考えてなかったりして……」
「やめろよっ!本気で有り得るから怖いんだよ!」
ジルくんと巫山戯ながら校長室に向かう。途中でフレイヤ達を見つけた。
「あ、ジル~♪」
「おふっ」
廊下でろざりーちゃんがジルくんに抱きついた…………って、ここ学校だよ!?教室の窓から丸見えだよっ!?てか横の教室ってさっきまで見てたクラスだし!!
「ロザリー、人目を気にしよう。皆凄い見てる」
「うん///」
うわぁ、明日の授業で何言われるか分かったもんじゃないな。頑張れ2人共!大分自業自得だけど!
「フレイヤ達は魔法を教えてたんだよな?どうだった?」
「ああ、皆ロザリーに興味津々だったよ。ルーンの刻み方や魔具の作り方何かは私より詳しいし、男子はあの容姿でノックアウトだ。授業終了間際に神祖だって教えてもあっさりと受け入れてたよ。神祖とゆう単語自体知らない子もいたね」
ロザリーちゃん可愛いし戦争は100年も前だもんな。おかげでジルくんが凄い睨まれてる。
俺達の担当したクラスは剣の稽古10人と魔法を習う10人の20人。クラスを2つに分けて授業の密度を上げるようにしているらしい。その分教師を確保するのが大変だと校長先生がボヤいてた。
「じゃ、宿舎の方に行こうか。今日はそこに泊まるよ」
「「は~い」」
「……泊まりだって初めて聞いた」
「勇人さん、ドンマイ」
ジルくんが棒読みで慰めてくれた。せめてもう少し感情込めてくれ……
「部屋割りは私と勇人、少女とボウヤだ」
「ちょっと待てーーーっ!!」
翌日
フレイヤと同じ部屋は疲れた……
今日は午前中に昨日のクラスのもう10人を見る事になってるのだが……
「ジル先生はロザリー先生の恋人なんですかっ!?」
「もう一緒に住んでて毎日同じベットで寝てるって……」
「僕たちとそんなに変わらないのに進んでるんですか?」
「……俺だってロザリー先生の事……」
ジルくんが男の子達に詰め寄られてる。最後の子カミングアウトしなくてもいいだろ。
……ちょっと早めに演習場に来たのが間違いだったなぁ。
「ユウト先生はフレイヤ様の恋人って本当ですか!?」
「メイドさんと付き合ってるって話、本当はどうなんです?」
「城で働いてるお母さんに聞いたんですけど2人とも部屋に連れ込んだって……」
「「「キャーッ♪」」」
俺は女の子達に絡まれてる……誰か止めてくれ……
「ユウト先生!」
「ジル先生!」
「「?」」
「フレイヤ様をかけて決闘を申込みますっ!」
「ロザリー先生をかけて俺と勝負してください!」
「「…………マジ?」」
しまった!この子達の何人かはその為に早く来たのか!
着替えや準備を考えてこの授業の前と後ろには20分休憩が入っている。授業まであと15分……とてもじゃないけど抑え切れる時間じゃない…
「う~ん、ロザリーって直ぐに戦いたがる人は嫌いなんだよなぁ」
「っ!!?」
ジルくん……君は本当に容赦が無いね……ロザリーちゃん狙いの子達が軒並みorzに成ったぞ。
「フレイヤもあんまりそうゆうのは好きじゃないって言ってたな。好きなら自分の所に直接来いって言ってたし」
「…………(泣)」
嘘だろ泣いちゃった。でもパーティーとかでも遠巻きに見てる人には興味無いって言ってたのは本当なんだよな。
「ほら、フレイヤにしろロザリーちゃんにしろ良い所見せる為には強く成らなきゃな!ちょっと早いけど準備体操から始めよう!」
皆しっかり体操始めたな。
……何か思ったより男の子達の目が真剣だし、ジルくんに恨みの視線発してる!?……もしかして、やり過ぎた?
姫巫女「ふぅーっ、良い湯だった」
男勇者「へぇー、部屋に備え付けにし、て……服を着ろーーーーっ!」
姫巫女「勇人、五月蝿いよ。この程度で狼狽えるなんて情けない。ほら、タオルは巻いてるだろう」
男勇者「そういう問題じゃねーっ!てかフレイヤ胸結構有るんだから危ないだろうがっ!」
姫巫女「ほほう、普段私にそんな劣情を抱いていたのかい。今後は気を付けなくちゃね」
男勇者「まさに今気を付けろよっ!」
姫巫女「面倒だ。良かったら一緒に寝るかい?私は勇人なら構わないよ?」
男勇者「…………マジ?」
姫巫女「胸ガン見だね。どうせなら最後までするかい?」
男勇者「最後…………ブシャーーーーーッ!!」
姫巫女「鼻血って……もしかして、童貞?」
神祖「ふあっ…あっ…んっ…んふ♪……ぷはぁっ」
男A「ぷはぁ……まさかいきなりキスとは」
神祖「毎日すれば絶対一緒にいられるって本に書いてあったの♪」
男A「その本没収ね」
神祖「何で?」
男A「ロザリーにはまだ速そう」
神祖「ジルの方が年下だよ~」
男A「そうだった(本当は年上だけど)」
神祖「ねぇジル、一緒に……お風呂入ろ!」
男A「凄い事言うね(それも本かな?)」
神祖「……ダメ?」
男A「……恥ずかしいけど……分かった(勇人、シオンごめん!覗くまでもなく見れる事になりました!ヒャッホーイ!)」
神祖「えへへ~♪(ジルとお風呂~♪……最後まで、行けるかな?)」
作者「…………子供の方が進んでるって、どうなんだ?流石に行かせない……よな?」