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神様の暇つぶし  作者: けんしょ~
その時、歴史が動いた?
112/140

女勇者VSアダトリノ王

Side:女勇者

約束通り少年は私の目的に手出ししない気だ。妙な所で律義な奴だ。やはり年下に見えん。

だが、今は有り難い。王を殺すのは、私だ!

無白を構え、王との距離を詰める。

「舐めるな!」

「あなたこそ!」

「お前さえ居なければ!」

シルフの2人が弓で王を攻撃している。あの2人とは何の約束もしていない。ならばやらせておけばいい。

男の方の弓矢は普通だが女の方の弓矢は魔力の塊か?異常に鋭い矢が王に迫る。

「シオン君の作った弓、普通だと思わないでね!」

まさか魔力の矢とは、シルフも面白い物を作るな。

「紅蓮よ その威を示し 灰塵を成せ イレプション!」

王が唱えた魔法によって床から炎が噴き出し、迫る矢を飲み込んだ。

イレプション、魔法名そのままに噴火だな。だがあれでは城も燃えてしまうぞ?私の気にする事ではないな。

「その程度の炎で私を阻めはしません!」

メイドさんが腕を振るうと強風に吹き消されるように炎が無くなった。何者なんだ?勇者である私と勇人でもあんな事は出来ないぞ?

「ちぃ!何故分からん?神祖は人間を滅亡寸前まで追い込んだ事が有るのだぞ!何故守ろうとする!?」

「人間が何もしなければ神祖は静かに暮せました。神祖が危険とゆうのは人間が原因なのですよ」

「小娘が、知った風な口を!」

「たかが100年も生きていない小僧に小娘呼ばわりされるのは新鮮ですね」

メイドさんの声は小さ過ぎて聞き取れない。話しながら切り合いしているから金属音で声が聞こえない。

しかし、断片的に聞こえた100年とは……戦争の話か?

「挟撃する。合わせろ」

「うらあああぁぁぁぁぁーーーーっ!」

並んで立っていた勇人に指示を出しアダトリノ王に迫る。無白に闇を纏わせ威力を上げる。

「ぬうぅ、ふんっ!」

鍔迫り合いに成っていたメイドさんを押し退け、右から迫る私の剣を己の剣で、左から迫る勇人の剣を鞘で受け止めた。

伊達に世界最高の武器職人に剣を打たせていないな。

「そのまま張り付いてな!光成す矛よ 邪を滅せ ホーリーランス!」

フレイヤの頭上に大量の光の槍が産み出された。

「「風纏いて 全てを貫く槍と成らん ゲイル・ボウ!」」

シルフの2人も弓に多量の魔力を集中させた魔法を展開。

3人がタイミングを合わせてそれぞれの魔法を放った。光と風の槍が王に迫る。

「この程度で、止められると思うなっ!」

片手で私も勇人も弾き飛ばされ、アダトリノ王は有ろう事か大量の魔法の槍を全て剣で弾いて見せた。

壁に、床に、天井に槍が刺さり光の槍が刺さった場所からは火の手が上がり始めた。

「まさか6対1でここまで戦えるなんてな」

「ふん。王たる者がこの程度も出来んで何とする。必要なのだ、絶対的な力が!持たねばならんのだ、折れぬ意思が!」

「言ってる事は立派だけどやってる事は間違ってる!貴方は、それだけの力を持ちながら人々を苦しめてる!王なら、誰もが幸せに成れる国を作るべきだったんだ!なのに貴方は神祖だからって理由でロザリーちゃんを狙って、国の人々の暮らしが危ういのに城はこんなに豪華で…もっと他にやれる事が有るだろっ!」

勇人が何の策も無く切り掛かる。

「黙れ小僧!貴様如きが吠えるな!この国はギグの森に隣接しているのだぞ!常日頃から魔獣、魔族の脅威に備えねばならん!その上第4大陸側に有る我が国には海も空も脅威でしかない!その為の力、その為の兵、その為の危険種族の排除!全て必要な事だっ!」

弾かれ、間合いが開くも直ぐに距離を詰める。フレイヤとシルフの2人は魔法の詠唱を始め、メイドさんは私に挟撃の合図を送ってきた。

第4大陸はギグの森程ではないが危険地帯。巨大な獣や魔獣が多く、それは海洋生物も同じ事。故に第3大陸の西にあるアダトリノに海の貿易は出来ない。船で出ようものなら転覆させられる。

「なら他の国と話し合って協力すれば良かっただろっ!ユビキタスだってギグの森に面してる!同じ悩みを持つ国として協力出来た筈だ!」

「信用出来るものか!ユビキタスの現公ならば、成る程信用の置ける人物だ!だが周りは?次の公は?それらがアダトリノの脅威に成らんと誰が断言できる!?」

フレイヤの魔法を受け流し、私とメイドさんの挟撃を回転切りで弾き、2本の矢を左手で掴み勇人に投げつける。

「誰にも出来ん!誰にもだ!!

ならば己の力で守るしかあるまい!全ての不確定要素を排除し、この国に安寧をもたらすには、最早他にないっ!」

強い。これは1人では10分も立っていられなかったな。しかもあの剣、世界最高の名は伊達では無い。全く打ち勝てる気がしない。あまりにも硬く、鋭すぎる。

「この程度に王に挑むか!愚か者共がっ!バーニング・プレッシャー!」

詠唱が無く、剣に赤い魔力が集中した?ルーンか!?

頭上に炎の塊が現れ私に向かって落ちてくる。他の者も同様に狙われている。少年と少女にもかっ!

「風牙」

少年の魔法が炎を自分達に当たらない様に切り裂いた。

そうだ、私の課題。魔法詠唱が長い事は、少年の魔法を使えれば解決する。結局考えてただけでブッツケ本番に成ってしまったが、問題無い。まずは少年の真似だ。

「影牙」

私の影が伸びて炎を切り裂く。成功した。やはりこの魔法は速くて便利だ。

本当は無白の闇でも良かったのだが操るのにそれなりに神経を使うのであまりとっさの時に使えないのが現状だった。だがこの呪文ならば普通に魔法を使う感覚でとっさでもイメージを保てる。

両方を組み合わせた戦い方が出来れば、王と戦えるかもしれない。

「ほう、随分と短い呪文だ」

他の者もどうにか炎を避けきったようだ。水使いが居ないのが難点だが、居ないものは仕方がない。有るもので工夫するだけだ。

「はぁ!」

闇を四方から飛ばし王に襲いかかる。王は避け、弾き、受け止める等して対処している。

「影よ 形無き矛成し 敵を穿て シャドウ・ツェペシュ」

王の影に命じて王を下から狙う。

「温いわっ!」

僅かに出来た隙を逃さず切り掛かる。受け止められたが、それくらいは想定している。

「影牙」

私の影が王に切り掛かる。

「ぬうっ!」

影の斬撃が王の脇腹を切りつける。

始めて王にダメージらしいダメージを与えたが、まだ致命傷では無い。

「この程度で、調子に乗るな!」

強引に弾かれ間合いを取る。

不意打ちとはいえようやく光明が見えてきた。6人で足りないのならば、私の影を入れて7人分に手数を増やせばよかったのだ。

「言いながらもフラフラだよ?いい加減限界なんじゃないかい、ご老体」

「抜かせ。王はどのような事が有っても戦場で膝を折ってはならん。まだまだ、これからよっ!!」

この部屋はもう火に呑まれる。その前に決着を付けなくてはな……


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