修羅場からの解放と長老を名乗る幹部
あー……腹いてえ……。
なんかキリキリするー……罪悪感ー……。
一応、あの修羅場はなんとか乗り切れた。乗り切れたって言っていいのか分からねえが……一応誰にも大きな変化は起きずにあの場を終わったことは確認した。
あの後、現場はまさしく修羅場と言うほかない状況だった。「私のアシェル!」「私の、いや……しかし、少なくともお前のものではない!」というふうに、二人の諍いは混線した不倫現場のごとく勢いを増して──おかげで俺は、その隙を見計らって距離を取ることができた。
……言い訳みたいだが、別に逃げるつもりはなくて。お互い落ち着いてきたら再び間を取り持つために戻ろうと思っていたのだが。
声がデカくなるにつれて、兵士長になったルシアの部下なのか──他の兵士がぞろぞろ集まって来て。追われる身だったベラはそれにいち早く気づき、制止するルシアを振り切る形で逃げて行って……そのまま自動的に解散した形に落ち着いた。ただお互い、「近いうちに再び話し合おう」みたいなことを言ってたのが聞こえたから、多分そのうちまた一悶着あるんだろうが……。
話を聞いてた感じだと二人が言い合ってるのは、兵士のアシェルと文官のアシェルが同一人物ってことに気づかず、互いの主張を押し付け合ってるのが原因だ。そりゃ普通成り代わりのことなんか頭にないからその発想にすら至れなくて当たり前で、二人は悪くないし気迫に負けて説明ができなかった俺が悪いんだけども。
俺は王都の正規兵士じゃないからルシアがどこを巡回してるかとかは分からねえし、勿論神出鬼没のベラだって自分から会おうとして会える訳でもない。街中で「俺がアシェルだ!」って大声張りあげれば二人とも集まってきそうだが──他にも色々厄介なものが集まってきそうな気がするし、できればお互い一人でいる時に話を通しておきたいのでこの案は却下だ。
「で、ですね……! も、もしかしたら、アシェルさんは、これが、初めての、『生まれ変わり』じゃ、ないと思うんです……!」
「……そう思った根拠は?」
で、今はソラナの部屋で、「話があるから聞いてくれないか」みたいなことを言われて向かい合ってる。
話って言っても重要な内容じゃなくて、ちょっとした雑談みたいなノリだったんだが……その最中で唐突にすげえ核心を突いた発言が飛び出してきた。
「え、えっとですね! ま、前のアシェルさんが……亡くなって……えっと、大体半年……? が経ってるんです、けど」
「おう」
「優しくて、世話焼きで、責任感の強い、アシェルさんが、教会に所属して、半年も私を放置する……っていうのは、おかしいかな、と思って……♡」
「……んん?」
……俺は優しくなんかねえし、むしろ嫌味な方だろ。世話焼きっていうのも心当たりねえし、責任感だって必要最低限だし……。
お前の言うアシェル、もしかして別人だったりしねえか?
「んん! そ、それに! そもそも、『今の体は変わってすぐの状態だから』って、言ってましたし! 空白期間があるから、もしかしたら、他にも生まれ変わりを、してたんじゃないかな……って!」
ああ、なるほど。
俺言ってたわ。「成り代わってすぐだから仕事分からねえ」って確かに言ってたわ。
だよな。ソラナから見たら、死んでからこの体に成り代わるまでの半年間何してたってなるから──代わりに、その期間も成り代わりが発生してたんじゃねえかって疑問に行き当たったのか。正解だよ、すげえな。
……なんて返そうか。
もう正直言っちまうか。ソラナに嘘は通用しねえし。
「そうだな。それで間違いない。何の呪いかは分からねえが……俺は何回も成り代わりを経験してる」
「や、やっぱり……! 一回きりの、の、呪いじゃ、なかったんですね!」
きゃっきゃっと嬉しそうに笑うソラナ。
まあ──俺だって、成り代わりのことが分かってるソラナにまで無理して隠す理由はねえからな。なんならこの不可解な現象について色々相談してもいいんじゃねえかって思ってるし。
「ち、ちなみに……今が、な、何回目、ですか……?」
「えー……九回目だ」
「きゅ、九回!? 九回……!?」
ははは。どうだ、驚いただろ。
これでも俺は結構苦労したんだぜー。良いリアクション見せてくれて俺は嬉しいぞー。
……成り代わりの発生条件が死ぬことなのには触れてくれるなよ。
碌な死に方してねえし、お前だってそんなこと聞いても気持ちよくねえだろうしな。
「じゃ、じゃあ。わ、私と一緒に、働いてた時も……成り代わりで、急に、性格が変わった……っていう、ことですか?」
「そうだぞ」
「な、なるほど! ち、ちなみに、その時は……な、何回目、ですか……?」
「三回目だ。まだこの現象に慣れてなくて右往左往してたよ」
「わ、わあ……! 早め……♡」
……今の話のどこに喜ぶ要素があったのか。
「えへへ……♡ や、やっぱり、アシェルさんは、凄いです……! 九回も、生きてるなんて……!」
「よせよ、照れるじゃねえか」
「!? か、かわいい……!」
あー、平和だな。
ここが光明の教会じゃなかったら、安心して一生ソラナとイチャイチャしてるんだがなー……。
*
ソラナとの雑談を終えて、俺は一人でソラナの部屋に残ることにした。
ソラナは「ちょ、ちょっと、用事が、あるので……!」と言って部屋を出て行った。多分、教会の業務か何かだろう。俺は幹部じゃねえからそういう細かい仕事には呼ばれねえ。
「さて……」
ちょっと前からやりたいことがあったんだ。
部屋を見回す。机の上には分厚い本が積まれてて、壁には棚がいくつも並んでる。全部、呪いについての本だ。ソラナが熱心に勉強してた痕跡が、そこら中に残ってやがる。
適当にどれか一冊……これでいいか。
えーと、なになに? 『呪いの種類と発動条件』『解除方法の考察』『古代の呪術について』……。
専門的な内容ばっかだな。俺には半分も理解できねえが……それでも何か手がかりがあるかもしれねえ。
「成り代わり……成り代わり……」
この現象が呪いなのかどうかも分からねえが、少なくとも普通じゃねえ。何回も死んで、何回も別の体で生き返る。こんなことが自然に起きるはずがねえ。
ソラナからは「へ、部屋にあるものは、好きにしてくれていいので! わ、私のものは、全部、アシェルさんのものですから!」とお墨付きを頂いているので、この辺りの本を好き勝手読ませてもらって、俺の成り代わり現象の手がかりになるようなもんを今のうちに探しておこうって寸法だ。もしこの呪いが老衰でも発動するってんならあんまりにも悲惨だし、何もしねえ訳にはいかねえ。
うーん、これとかか……? 『魂の転移』『肉体の乗っ取り』『記憶の継承』……。似たような呪いの記述はいくつかあるが……なんかどれも俺の状況とは微妙に違うな。
「……ん?」
なんだこれ。ページの間になんか紙が挟まってる。メモか何かか?
ソラナの字……じゃねえな。別の誰かだ。じゃあこりゃ一体──
「……献金の記録?」
──『信者3 金貨10枚 → 長老へ6枚、残り4枚は処分費用』
──『信者8 金貨60枚 → 長老へ36枚、残り24枚は勧誘費用』
処分費用? 勧誘費用?
なんだこれ。献金が……なんでこの『長老』ってヤツに渡すことになるんだ? 横領? 賄賂?
……待て、他の本は……うお、なんか次々出てきたぞ。
本の間から、挟まれてた書類、メモ、記録。なんでそんなとこに保存してんだ。ソラナが栞かなんかにでも使ってやがんのか。
──『勧誘手法マニュアル:絶望を与え、救いを示す・家族との縁を断たせる・教会以外の居場所を奪う』
──『不要な信者リスト:信者7 献金能力なし → 処分完了・信者9 反抗的 → 処分検討中』
──『標的リスト:孤独な老人・病人・遺族・精神的に弱った者』
「……うーわ」
んだよこれ。やべえ記録しか出てこねえんだけど。
これ、全部……光明の教会がやってることなのか?
献金の横領だけじゃねえ。信者への洗脳とか、不要な信者の処分とか、弱者を狙った詐欺とか──全部、全部教会が、組織的にやってることなのか。
「はー……腐ってやがる」
つくづくクソ組織だな。シンプルに吐き気がしてきた。俺も同じ穴の狢な癖に。
……おまけに、こんな組織にソラナがいて、こんな組織をソラナは信じてるって事実で吐き気が追加された。やめだやめ、もう気分が悪くなるだけだ。見なかったことにはできねえが、これ以上見る気にもなれねえ。
ソラナを……一刻も早く、ここから出してやらねえと。
でも、どうやって? 少なくとも今すぐは無理だ。ソラナは教会を信じてる。俺がいくら「教会は悪だ」と言ったところで、信じてくれるのか?
いや、信じてくれたとしても-教会を否定すれば、ソラナの心の支えを奪うことになる。文官のアシェルが死んだ後、ソラナは教会に拾われた。教会がなければ、ソラナは生きていけなかったかもしれねえ。
その教会を、俺が否定する? ソラナの居場所を、俺が奪う?
ああダメだ。短絡的な行動は、ソラナを守ろうとして──ソラナを傷つけることにも繋がっちまう。
あー嫌だ。なんで悪いヤツのために俺がこんなこと考えなきゃいけねえんだ。
……元盗賊だからな、そりゃ頑張らなきゃいけねえのは当然か。調子乗ってソラナとイチャイチャした代償がこれなんだろうな。
*
さて、ルシアとベラはどこにいるのかなー……っと。
今日も今日とてソラナから許可を得て自由時間を貰った。この時間でできる限り、因縁のあるヤツらを探したり、どこかでバチバチ始めそうなルシアとベラを探す旅に出る必要がある。
……守るべき対象が仕事をしているのに、働きもしない俺が自由時間とお小遣いを貰って他の女を探しに行くというのは──考えられる以上限りなく最悪な絵面なのでは……。
あー……賑やかだな。
王都の街は相変わらず人が多い。商人が声を張り上げて、客が値切って、子供が走り回ってる。盗賊の頃は、こういう人混みが一番稼ぎやすかったんだが……今は、そんなことする気ないし。ただ眺めてるだけだ。警戒されてないのを勿体ないとも思わなくなっちまった。
そうそう、目の前からふらふら歩いてきてるアイツみたいに。ああやって人にぶつかってスったりして──
「──おっと」
……あれ、マジでぶつかった。
いや、向こうからぶつかってきたのか? どっちでもいいが。
「……すまん」
「……!」
!? おっ!?
カル!? カルじゃねえか!?
結構な量の荷物抱えてやがる。買い出しか? お前が? 今までそんなこと──
……って、ああ、そうか。今は写本師の俺がいねえから──自分で行くしかねえのか。
ああ……今ので紙が散らばっちまった。落としちまったよな、悪い。
ぶつかっちまった俺も不注意だった、拾おう──
「ほら……ん?」
……これ、なんだ?
どれもこれも、写本に関係なさそうな資料ばっかりだ。
なんか、『王国の歴史概要』とか『貴族の系譜』とか『法律の基礎知識』とか『商業取引の記録』とか……。しかも本じゃねえ、どっちかというと書類みたいな……バラの紙だ。
いや、普通なら疑わねえかもしれねえが、受付とはいえ俺もあそこで働いてたんだ。そもそも写本工房の仕事のほとんどは、注文を受けてから本を写すのが普通だったじゃねえか。だから、資料を買い込む必要なんてねえはずだ。基本は客が持ってきた本を写すだけなんだから。
しかも、これ……全部、俺が写本師の頃に扱ったことがねえジャンル。歴史とか、貴族の系譜とか、法律とか。写本工房に来る客は、もっと実用的な本を注文してきてたはずだ。王都月報とか、商人の帳簿とか、契約書とか、そういうヤツ。そういうジャンルは金持ちの余興的な範疇に入りやすいし、うちは個人で経営してるんだから金持ちならもっと大々的な店に頼った方が効率もいい。
それなのに、なんでこんなものを?
なんでカルが、こんなもんを買ってるんだ?
「ありがとう──アシェル」
「……え?」
……?
え、お前今俺のことアシェルって言ったか?
あれ? なんでバレた? おかしいよな、カルの知ってる俺って女だよな。しかもガキ。俺って似ても似つかねえよな。じゃあなんで──
「……あ、いや」
──あ、目があった。
カルがはっとした表情になって、俺もカルがこっちを見てなかったことに今気づいて、二人でしゃがんだまま固まって。
「……すまない……雰囲気が似てて……また、間違えた。……アシェルはもう、いないのに」
「あ、ああ……」
お、おお。びっくりした。
なんだ人違いか。落とした紙拾った俺を見て、昔を思い出したのか。またってことはよくある間違いなのかも。
肉体は全然赤の他人なんだが、紙を拾う動きを見て、紙を見て違和感を感じて、そんな俺に──女だった写本師のアシェルの幻を見た。それだけか。
……それってちょっとヤバいのでは?
「おい、カル」
よく見たらカルの目に焦点が合ってねえ。
疲れてる。精神的に、相当弱ってやがる。
「……なんで、俺の名前を」
「……知り合いの知り合いだ。気にすんな」
んなもん適当に誤魔化せ。
カルの様子がマジでやべえ。目が虚ろだし、声も震えてやがる。いや、カルに関してはただの人見知りの線ってのもあり得るんだが……。
あっおい待て、立ち上がろうとするな、もう拾い終わったのか?
俺は、このまま行かせていいのか? 今は工房に俺がいねえんだ。精神的にこんなに弱ってるカルを、一人で帰らせちまって──
「な、なあ。カル、ちょっと待て」
「……何を」
「お前、大丈夫か? 顔色悪いぞ」
「……大丈夫だ。心配いらない」
全然大丈夫じゃねえよ。どう見ても限界ギリギリだろうが。
「無理すんな。少し休んだ方が──」
「大丈夫だと……! ……すまない。急いでいるんだ」
「あっ、おい! カル!」
ちょっと待て、お前!
お、おおお! 人混みに逃げやがったアイツ! じゃ、邪魔だ邪魔! どけ!
クソ……間に合わねえ! 当たり前だ! 知らねえヤツに名前言われて普通でいられるヤツじゃねえだろカルは! しかも俺が最近死んだばっかりだってのに!
ああ、しまった。カルは──人混みの向こうに消えちまった。
「……畜生!」
今から工房に先回りしてもいいが、俺を見つけたらアイツは逆に戻ってこなくなるだろう。
逆に工房に入ったとこを狙ってもダメだ。店主はアイツなんだから、店を開ける開けないはアイツの采配で決まる。外に俺がいたら間違いなくカルは店を開かねえ。
クソ、最悪の形で顔を覚えられちまった。
カルは──写本師のアシェルが死んだから、一人になっちまった。会話する相手がいなくなった。で、唯一仲の良かった俺の幻影を見るようになった。
俺がカルと仲良くできたのは──俺が「成り代わりでできた存在」だったからだ。初めから存在してたって体で周囲が認識するんだから、カルにとっても初対面から既に打ち解けた感じでいられた。今から新しい受付雇おうにも、カルはその「馴れ初め」ができねえから長続きしねえ。端から「二年近く一緒にいる」って記憶を持てた俺相手だから、カルと俺は上手くやれてたんだ。
「……あれじゃあ、教会に狙われたら、一発じゃねえか」
俺がいなくなった今──カルは、正常じゃなくなっちまった。
精神的に弱った人間を狙う教会。 カルは、絶好のターゲットだ。
でも、今の俺には何もできなくなっちまった。追いかけることもできねえ。警告することもできねえ。
ただ、カルが教会の勧誘も同じくらい警戒してくれることを祈るだけになっちまった。
*
「ん……?」
教会に帰ってソラナの部屋の前まで戻ってきたら、中から見たことないヤツが出てきた。誰だアイツ。
パッと見、中年の男。穏やかな雰囲気で、ローブを着てるから教会の人間ってことは間違いなさそうだが……。
「おや、これはこれは」
「……どうも」
男が俺に気づいて、軽く会釈してきた。一応返しとくか。
男は笑顔のまま、俺をじっと見てやがる。なんだよその目、値踏みでもしてんのか。
「君が、ソラナ君のお気に入りの──アシェル君、かな?」
「……ああ、そうだが」
「ふふ、噂は聞いているよ」
気持ち悪い笑顔だな。なんだコイツ。
喋り方も、雰囲気も、全部が胡散臭えぞ。
「失礼、自己紹介がまだだったね。私は光明の教会の幹部、ヴェインだ。信者たちからは『長老』と呼ばれている」
「……ああ、どうも」
長老?
ああ、あの献金を横領してたヤツの名前が書類に出てたな。で、コイツがその本人か、通りで。
「ソラナ君は素晴らしい。教会の未来を担う、大切な幹部だ。その彼女のお気に入りとは……君も、さぞ優秀なのだろうね」
「……いえ、そんなことは」
「謙遜しなくてもいい。ソラナ君が認めた人間なのだから、間違いないさ」
うぜえ!
コイツ、何が言いてえんだ。褒めてるフリして、何か探ってやがんのか。
「もし何か困ったことがあれば、いつでも私に相談してくれたまえ。この区域のことは、私が一番よく知っているからね」
「……ありがとう、ございます」
んなこと言いつつ裏ではとんでもないことやってんだろ。
早く消えろよ。コイツと喋ってると、背筋がゾワゾワする。
「それでは、私はこれで。また会おう、アシェル君」
ヴェインは軽く会釈して、廊下を歩いて行った。
……はー、やっと行ったか。あんなヤツが弱った人間を狙って、洗脳して、教会に取り込んでやがるって? 反吐が出そうだ。
「あ、アシェルさん……! お、おかえりなさい……!」
「ん。ああ、ただいま」
ソラナが部屋から顔を出して、出迎えてくれた。
……そういやアイツ、部屋から出てきたよな。よく見たら、机の上に書類が散らばってやがる。さっきまでヴェインと何か話してたってことか?
「さっきのヤツ、何しに来てたんだ?」
「え、えっと……ちょ、ちょっと、報告に……」
「報告?」
「は、はい……! こ、この区域の、勧誘の、進捗状況を……」
……勧誘の進捗状況ねえ。
つまり、どれだけ弱った人間を見つけて、どれだけ教会に取り込んだか、ってことか。
で、ソラナは幹部だからそういうのも統計してて、それの会議をしてたと。
うーん複雑。
「あ! そうか、アシェルさんは……ヴェインさんのこと、し、知らないから……!」
「……え? アイツが、なんだ?」
「は、はい……! の、呪いの中でも、『洗脳の呪い』に、長けた方、らしくて……。ど、どんな、悪い考えに、凝り固まった人でも……きょ、教会の教義に、目覚めさせられる……そうです……!」
ええ……。
洗脳の呪いって。洗脳って言ってんじゃん。もう宗教でもなんでもねえじゃんか。
要は、無理やり洗脳して勧誘するってことだろ。
信者からすれば「教会の教義に従わねえヤツ」=「悪い考えに凝り固まったヤツ」って認識なんだろうが……普通にそんな手段使ってやがんのかこの教会は。
「あ、で、でも。え、えっと……わ、私、ヴェインさんと、何度か、お話、したこと、あるんですけど……」
「ああ」
「な、なんか……た、ただ、会話の、上手いだけの、人のような……呪いとかじゃ、なさそう……?」
「……は?」
ただ会話の上手いだけ? 呪いじゃなさそう?
……あー、そういう。なるほどな。あの長老の『洗脳の呪い』ってのは呪いでもなんでもなくて、ただのコミュニケーション技術なんだ。
警戒を解いたり、相手の状態や都合を無視して、山ほど部下連れて威圧するとか、条件付けて逃げ道を塞ぐように誘導するとか、そういう喋り方で信者を増やして──自分はあくまで「努力で手に入れた呪いの力による神の定めです!」って言い張ってるってことか。通りで胡散くせえと思った。
復讐みたいな──強い意志を持ったり、目的を持ったりしてるヤツじゃねえと取り込まれやすくて危ねえかもな。
だよなあ。本当に呪いを使えるのは教会でもソラナだけで、あくまで教会は「呪い」を盾にして動いてるだけの詐欺組織だもんな。『洗脳の呪い』なんざある訳ねえか。
……あれ?
……「警戒を解いて」。
……「相手の状態や都合を無視して」。
……「無理やり洗脳して勧誘する」。
……「強い意志がないと危ない」。
それ、カル特攻じゃねえか?
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