表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】俺は死んだはずだよな?  作者: 破れ綴じ
8. 信者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/111

巡ってきた立場と見覚えのある幹部

 俺は死んだはずだよな? 

 ……よし、ノルマ達成。


 天井が見える。まあ当然知らない天井だ。木で組まれてて、隙間から月明かりが……。

 てことは夜中か、夜中に死んだから当たり前だな。


「あー、畜生……結構惜しかったんだがな……」


 声を出してみれば、また聞き慣れない声が返ってくる。

 低くもなく高くもない……中途半端な感じの声だな。男の声か、これ。

 手は……傷一つない。爪も……よし、割れてねえな。

 また無事に生き返ったのか。これって終わりはあるんだろうか。


 にしても、あと少しでいけそうな感じがしたんだが。

 袋叩きにされるのは想定の内だったが、うち何人かは結構良いパンチをくれてやった気がする。良いとこに入ったのか動けなくなってたヤツもいたし、全くの無駄ではなかった……はず、と思いたい。で、そのまま数の暴力には勝てなくて、何度も殴られ蹴られ地面に叩きつけられ──最後は頭を何かで殴られた気がする。武器は持ってなかったはずだから……多分そこらにあった岩とかだろうな。

 結果、撲殺。この場合、死因はどうなるんだろうか。

 にしても情けない死に方だなおい。レミやルシアみたいな化け物と戦って死んだわけでもなく、特に目標達成できるわけでもなく、ただ昔の仲間に囲まれて殴り殺された。


「いつつ……加減ってもんを知らねえのかよあの馬鹿共は……」


 多分、俺が持ってた遺品も奪われちまったんだろうな。

 アイツらは「隠し財産」目当てでこっちに来たんだから、噂をマジに信じてるってことなら俺の持ってる遺品はそのお宝への道標ってことになるし。奪わねえ訳がねえよな。

 ちゃんとリアンとマドリーの元に帰ったんだろうか。ていうかそもそも、あの残党共は丁寧に扱うんだろうか。返すときにちょっと一部欠けてたりしたらそれこそあの二人がどんなことしでかすか分かんねえんだけど。

 てか、待てよ? あの残党共は俺の遺品持って、一直線に突っ込んでいったよな? 両家の探し物持ってる見知らぬ連中って、捜索隊からすればどう見ても犯人そのものに見えるんじゃ……。


 ……もういいや、知らね。

 止めろっつったのに強行したのはアイツらだし。誤認逮捕されても俺が仕組んだことじゃねえから俺の責任じゃねえし。俺のこと殺しやがったんだから同情する必要がねえだろ。

 とりあえず、捜索隊の皆に怪我とかが無いことだけを祈っとこう。


「あと、冤罪の犯人を捕まえて両家が仲直りできますように……っと」


 ……ネルは今頃、王都に行くまでの馬車の中か? 元々両家に捕まる予定だったから、ネルのその後を見届けられるとは思ってなかったが、やっぱり心配になってくる。

 アイツ、「嫌な予感がする」って言ってたんだよな。俺は全然そんなの感じなかったんだけど、結局俺は死んじまって、ネルの言った通りになっちまった。

 なんでだ? これまでの人生で、俺が死ぬ前には必ず嫌な予感があったはず。どの人生でも死ぬ前には必ず背筋がゾクっとして、何か悪いことが起こるって感じがあった。

 でもあの時は何も感じなかった。盗賊団の連中に囲まれた時も、殴られた時も、あの予感は一切しなかった。だから大丈夫、死なないんじゃねえかって思ってたんだが……。


 ──あっでも写本師の時は嫌な予感なしに即死してたな。

 あれ? じゃあ間違ってたのは俺の方だってことか? 


「なんというか……俺には長生きする才能がねえんだな……」


 年食って寝床の上で死ねる、そんな幸せな人生送れるつもりはなかったが……こりゃ本気でやろうとしても老衰に辿り着くってのはできなさそうだな。いつだって何かしらに巻き込まれるか、何かしらに自分で首突っ込んで死んでる気がする。

 まあ、それが俺の生き方なんだろう。今更変えられそうにもねえし。


「……よし」


 生きてる。また生きてる。八回目の成り代わり、九回目の人生だ。

 今度こそやり残したことを片付ける。今度こそ長生きする。


 そのためにも、まずはいつも通りに。

 ここがどこで、俺が誰なのか。それを確かめるか。






 *






「なあんだこれ……?」


 とりあえず部屋の散策することにしたが、これ今回の俺の家だな。それも多分貸家。

 で、ここは見た感じ寝室なんだが……机の上に変な本と金の入った袋が置いてある。


「んだこれ。ふっと」


 相当に分厚い。掌広げてようやく掴めるってレベルだ。革の表紙で、金の装飾がついてる──見るからに高そう。汚したらダメなタイプのヤツかな。

 こんな本、盗賊の頃なら真っ先に盗んで売り払ってたんだが、ハハハ。勿論、今はそんなことする気はねえぞ。まあ中身が分からねえとモノが何かも分からねえし。一旦読んでみるか。ぱらぱらーっと。


「……ええと?」


 細かい文字がびっしり並んでる。嫌だなこれ、文官の時とか、執事長の時を思い出すぞ。立場上知ってなきゃいけねえのに何が書いてあるか分からねえ紙って、こっちのやる気を削いでくる効果があるんだよな。もう何度も経験済みだ。

 一応読めるが、内容が全然頭に入ってこねえ。文脈がぐちゃぐちゃというか、前後で意味が分からないっていうか、脈絡が読み取れないっていうか。

 何回かパラパラめくってみたが……どこを見ても同じような調子だぞ。「お布施」がどうとか「救済」がどうとか。なんだこれ。

 なんでこんなもんを金の入った袋とセットにして置いてるんだ。盗人が見たら裸足で逃げてく効果がある本とか──だったらとっくに俺が逃げ出してるよな、じゃあ違うか。


「……まあいいか」


 別にみるもんは他にいくらでもあるだろ。


 えっと? こっちの棚には──黒いローブが畳んであるな。

 ところどころに金色の飾りがついてて、フードつきだ。そこまで上等な生地って訳じゃねえ、こりゃかなり安物だな。この金の飾りだって、多分本物じゃねえだろう。売っても大した金にはならなさそうだ。

 そもそもローブなんて、普通の人間が持ってるもんじゃねえだろ。文官の衣装でもないし……じゃあ今回の俺は貴族か? 

 いや、貴族がこんな安物着ねえよな。じゃあ、何か他の仕事で使う専用の作業着か? 


 ていうか、これどっかで見たことあんな。

 確か──一から二週間前ぐらいか? 俺が死ぬ直前辺りだとまるで見た覚えないが、それ以前なら確かに何度も見たことがあるような感じ。


 丁度今、今回の俺について、あんまり認めたくない仮説が浮かび上がってきた。


「……まさか、な」


 窓の外を見た感じ、建物の並びとか屋根の形からして、ここが王都だってことが分かる。

 それはいい。王都だとこれまでの知り合いにも会いやすいし、地理もなんとなく把握できる。再スタートにはもってこいの位置だ。

 ただ、それを全部帳消しにするような負のオーラがこの本とローブからは漂ってる。

 ちょっとこの仮説を否定したいんだが、その方法が思いつかねえ。


 机の引き出しは……紙が何枚か。インクと羽ペンもある。

 紙を見てみれば──やっぱり、「アシェル」の文字。

 今回もアシェルか。それはまあいいか。予想できてたし。

 今はとにかく、いち早い現状の把握に──


『──こんばんは』


「……は?」


 ……玄関からしたよな。ノックの音か? 今の? 

 誰だ、こんな時間に。真夜中だぞ。


『時間ですよ、アシェルさん。お迎えにあがりました』


「……時間?」


『ええ。いつもの──祈りの時間です』


 バレないように窓から覗き込めば、四、五人の──黒いローブを着たヤツらが扉の前で並んでやがった。

 つまり、コイツらがやべえ集団で、今日は俺をリンチしにきた……って線は薄いよな。

 だって、アイツらの着てるローブ──俺の部屋にあったのと同じだもんな。多分俺はアイツらの敵じゃなくて仲間で、戦うとかそんなことなくただ呼ばれてるってことなんだろう。

 ついでに俺が「最近見た」ってことは必然的に「この前の盗賊の頃」に見たってことになるからな。その時に見た、黒いローブに身を包んだ集団って──あの一つしかねえんだよ。


「……分かった。準備する」


『お待ちしてます。今回はあなたが当番なので聖書も忘れずに』


「……ああ」


 ──つまり。

 今回の俺、もとい今回生成されたこの体の設定は「光明の教会の信者」ってことだ。






 *






「どうしたのですか。今日は遅かったですね」


「悪い。ちょっと手間取った」


 おお。数人とはいえ、こんなあからさまに怪しいローブ着た連中全員にまっすぐ見つめられると緊張するな。丁度前世で取り囲まれて殴り殺されたこと思い出したぞ。

 てか、俺の服。これで合ってるよな? 見様見真似で適当に着たんだが、もし「神聖なる法衣の着方が間違っている! キエエエエ!」みたいなこと言われたりしたら、史上最速死亡記録を更新することになっちまうぞ。


「聖書はお持ちですか?」


「ああ。ほれ」


 お前らが言ってるのはこの分厚い本のことだよな? 

 腕を上げて例の本を見せてやれば、相手も満足そうに頷いた。


「では参りましょう」


 ああよかった。合ってたみたいだ。

 服についても何の指摘もない。いきなり嬲り殺される道は回避できたらしい。


 いつもの、ってことは、こういう集まりは定期的にやってるってことだよな。週一か? それとも月一か? 分からねえが、こっちの顔や住所を知ってるあたり何度もやってるってのは確定か。

 先導するヤツらは意図的に次の道を選んでる気がする。今度は……石畳の道か。明かりのついた窓一つすらない。疚しいことしてるから人目につかない道をわざわざ選んでるんだろうな。


「……」


「……」


「……」


 ていうか誰も喋らねえし。フードで顔が見えねえから、誰が誰だか全く分からねえ。


「……」


「……」


「……」


 ……別の道から、また黒いローブの集団が合流してきやがった。

 十人ぐらいか? うち何人かは俺と同じ本を持ってる。「今回はあなたが当番」って言ってたし、もしかしたら本を持てるヤツは順番で決めらてるってことか。そりゃそうだよな、あんな高級そうな本何冊も準備できねえよな。


「……」


「……」


「……」


 ……おい、またかよ。どんどん人が増えてくぞ。三十人、四十人──いや、もっとか。

 すげえ。なんというか──異様だな。こんな光景、滅多に見られねえぞ。俺はネルと一緒に、教会の連中が街に入っていくのを見たことあるが……。

 あれを見た瞬間は特に何も考えてなかった。ただ、変な連中がいるなぐらいにしか思わなかった。後々の動きで気にせざるを得なくなった訳だけど。

 でも──今は違う。俺がその変な連中の一人になってる。


 やっぱりコイツらは──光明の教会で間違いねえ。

 この人数、このローブ、この雰囲気。全部、あの時見たのと同じだ。

 つまり、俺は今、前世の敵の本拠地に──敵の一員として紛れ込んでる。

 へえ、笑えねえ。


 ──道が広くなってきた。建物の間隔が広がってる。

 一つだけ明かりのついた建物が見えてきた。明かりっつっても窓は全部黒い布で覆われてる。ただ、微かに漏れ出してる光で──中に人がいるってことがなんとなく分かる。


 ──ソラナは、ここにいるのか? 


 ずっと考えてた懸念事項だ。ソラナはどこへ行っちまったのか。

 俺の見立てではほぼ確実でこの集団に拾われてると思ってる。

 この組織のやり方は心に穴の開いた困窮者を見つけ出して、表向き救済を謳いながら、その裏で養分として吸収するってやり方だ。

 おどおどした性格で、強気に喋ることも出来なくて、俺の死に人一倍デカいダメージを受けてるソラナなら、教会が目を付けない方がおかしいってレベルの逸材だ。


 でも、この人数。フードで顔は見えねえし、どうやって探せばいい? 

 ……いや、探す前に、まず確認することだな。そもそも本当にソラナがここにいるのか。本当に、この教会に所属してるのか。


 もし、いなかったらこんなとこ即座に抜け出してやる。ソラナがいないなら、この組織にこれ以上関わる必要性がまるでねえ。罰則とかがあるのかもしれねえが、これだけ数がいるなら一人抜け出したくらいで一々対応してられねえだろ。

 もしソラナがいたら──結局やることは一緒だ。嫌がろうが抵抗されようが無視してここから引きずり出し、そのまあ二人で抜け出す。


 ここの危険性は重々承知だからな。具体例が一件とはいえ、幹部ですら私欲に目を眩ませて短絡的な行動に出るんだ、そしてそのまま、その地域の金持ちを脅しに行き──その後、洗脳されて情報も全部抜き出されて帰ってくる。マトモな組織な訳がねえ。

 こうして考えるとあんまり怖くなさそうな気もするが……


「──着きましたね」


 ……お、おお? 

 でけえ。思ってたよりでけえぞ。遠目からじゃ分からなかったが、この建物こんなにデカかったのかよ。

 中は石畳のデカい広場になってて、中央に壇がある。高さは人の背丈ぐらいか。周りにはもう大勢の黒ローブが集まってる。薄くではあるが一応明かりがついてる建物の中のはずなのに、コイツらの服装のせいかまるでそんな風に感じない。

 にしてもこりゃまたすげえ人数だな。百どころじゃねえ、それどころか二百や三百でも効かねえぞ。王都の中だけでこんなに信者がいんのかよ。こわ。


 皆、黙って立ってる。誰も喋らず、ただ壇を見てるだけ。

 どれがソラナだ? どれが──ああいや、待て。まだ、ソラナがここにいるって決まったわけじゃねえ。もしかしたら、いねえかもしれねえし、本当はいるが今日だけ休んでるって可能性もあるんだ。

 焦るな、俺。

 まずは様子を見て、違和感を持たれねえように振舞うんだ。






 *






 ……お、終わりか? 今ので終わりだよな……? 


「──では、今回の祈りはここまでとなります」


 お、終わった! やっと! 長かった! なんでだって夜中のこんな時間に、こんな意味の分からない行為を一時間近くやらねえといけねえんだ!? 

 何が何だか分からねえまま、とにかく周りに合わせて膝をついて、手を組んで、頭を下げて、適当に口を動かして誤魔化したが……クソ、意味不明すぎるぞ。神がどうとか、光がどうとか、救いがどうとか。全部、耳から入って耳から抜けていった。内容が何一つ頭に残ってねえ。

 ていうか、こんなの毎回やってんのか? 週一か月一か分からねえが、定期的にこんな訳の分からねえことやってんのか? よく続くな、飽きねえのか。


 指示を出してるのは壇の上で椅子に座ってる男だ。

 俺たちと同じ、金の装飾のついたローブ──ただ、アイツの方がずっとずっと装飾が多い。てことは、つまり多分偉い奴なんだろう。ソイツが進行をやってる。顔は見えねえが、声は年配っぽい。落ち着いてる。慣れてる感じだ。

 いいよなお前、全員が色々やってる間もずっと座ってるだけだったな。年のせいってのもあるんだろうが羨ましいぜ。俺も椅子に座ってゆっくりしてたかったよ。


「それでは──今回の定期報告になります」


 ……定期報告? 

 ただでさえ静かな周りがさらに静まりかえった。皆、壇を見たまま動かない。俺が浮いてるみたいじゃねえかよ。


「先日、我らが光明の教会に、悲しい知らせが届きました。幹部の一人が──神の御許へと、旅立たれたのです」


 ……悲しい知らせ。

 ……幹部の一人。

 ……旅立たれた。


 ──あっ。


「かの方は、長きにわたり我らを導いてくださいました。多くの信者を救い、多くの困窮者に手を差し伸べ、神の教えを広めてくださいました」


 やっべ。すっげえ心当たりある。

 多分ソイツ俺が殺した。そんな真面目なヤツに見えなかったけど。肥え太ってて、隠し財産目当てで、マドリーに返り討ちにされて犯人探しの道具にされてた間抜けにしか見えなかったけど。

 いやでも人違いの可能性もあるな。他の真面目な幹部がやられちまっただけかもしれねえし。


「しかし、かの方は、教会の秘密を──外部に漏らし、その報告を本部に怠っておられました」


 はい確定ー。

 俺知ってる。その外部ってのはグロス家で、本部に報告しなかったのはマドリーに脅されてたからだ。


「神は、全てをご覧になっておられます。かの方の罪を、神は見逃されませんでした。かの方は神の裁きを受けられ、神の御許へと召されたのです……」


 ……あー、うん。


 その神の裁きってのをやったのは俺だな。俺はあの日から神になったってことか。

 ちなみにその神はもう何回も死んでる訳だけど。コイツら、そのこと知ったらどう思うんだろうか。


「これは、神の御意志です。裏切り者には、神の裁きが下るのです」


 周りが頷いてる。


 マジかよ。マジで信じてんのか、コイツら。神の裁きなんてもん、あるわけねえだろ。

 んなもん信じるくらいなら俺のこの成り代わりの謎を先に解いてくれよ。多分こっちの方がよっぽど摩訶不思議だよ。


「我らは、神を信じ、神に従い、神の道を歩まねばなりません。さもなくば──かの方と同じ運命を辿ることになるでしょう」


 ……あっ、なるほどね。

 自分で判断できないぐらい精神が弱ってるヤツにこうやって教え込むことでより教会本体に忠誠を誓わせてんだな。要は裏切ったら死ぬぞ、って言ってるようなもんだ。脅しじゃねえか、これ。このクソ組織め。


「しかし、神は慈悲深い。我らに──新しい導き手を与えてくださいました」


 ……ん? 新しい導き手? 

 え、なに。幹部って一人減ったら一人補充されるシステムなの。


「今、我らには教会をまとめる次の幹部が、新たな指導者が必要になります。神は、その答えを、既に示してくださいました。本日、皆様に紹介いたします」


 新しい幹部? もう? 早すぎねえか? 

 幹部が死んだのは──確か、数日ぐらい前だ。それなのに、もう次の幹部が決まってるのか? 準備が良すぎるだろ。

 いや、準備が良すぎるってより──もしかして、最初から決まってたんじゃねえか? 

 教会は、マドリーに脅されて使い物にならなくなった幹部をもうその時点で見限ってて、アイツが死んだのをいいことに次の幹部を立てる準備を済ませてたってことじゃねえか? 


 何この組織。

 一刻も早くソラナを逃がさねえと。手遅れになってからじゃマジで笑えねえぞ。


「皆様、新しい幹部様を──お迎えください」


 広場の奥。

 一つ上の階にある──来賓席みたいな高い場所に、誰かが座ってるのが見える。

 ローブは相変わらず黒いが……でも、他の奴らとは違う。

 色が濃すぎて背景との境が見えねえし、金色の刺繍がこれでもかって袖や裾に入ってる。位が高い証拠か。


 ああ、口を開いた。

 何を喋るつもりで──


「──あの、その。人が、多くて、私、緊張してて……」


 ……ん? 


「なんで、こんな、大勢の前で、呼ばれたのか、ちょっと、意味が、分からなくて……」


 ……んん? 

 は? おい? え? 


「そもそも、私は幹部とか、そういうの興味ないです、し……」


 おいおいおいおい。ちょっと、ちょっと待てよ。

 まさか、まさか、まさか……! 


 フードの陰から一瞬だけ顔が見える。

 よく見慣れた顔。久しぶりに見た顔。


「早く、部屋に戻って、作業の続きを、させてほしいんです……けど」




 ソ、ソラナアアアアア!!?

感想やご意見をお待ちしていますのでよろしければ……(´・ω・`)

ブックマーク・評価・リアクション等も、可能であればぜひお願いします。大喜びしますので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ