平民と妹と王女と大家
「ねえー、まだなのー? アシェル兄」
「静かに待て、ネル。兄上は今、奥でインク調合を手伝っている最中だ。邪魔をしては悪いだろう」
「ちぇー。せっかく店番サボって抜け出してきたのにさー。マドリーに見つかったらまた怒られるんだよ?」
「それは自業自得ではないか……」
「あはは~……ま、まあまあ二人とも~?」
「しかし、外の二人は元気だな。私のルシアと、そちらのレミ殿。会うなりすぐに睨み合いとは」
「あらあら、仲良しでいいじゃない~……お店が壊れないかだけ心配だけど」
「ロエマは余裕だね──ていうかさ、アンタもアシェル兄のこと構いすぎじゃない? 自分のこと『お姉ちゃん』とか言っちゃってさ」
「ふふ、だってアシェルちゃんは可愛い妹だもの。しょうがないでしょ~?」
「……ねえ、せっかくだから二人に聞きたいことがあるんだけど……いいかしら?」
「何だ?」
「そのね。私、昔妹がいたから……ついアシェルちゃんを妹扱いしちゃうんだけど。逆に『妹』の立場であるあなた達は、お姉ちゃん……いえ、お兄ちゃんと、どうなりたいのかなって」
「どうなりたい……って?」
「ほら。理想の過ごし方とか、やってみたいこととか。お姉ちゃんとして、妹たちはどう考えてるのか気になっちゃったの」
「そうか。私とネルは『妹』という立場だからな……」
「……アタシはあるよ。ずっと考えてた、アシェル兄との最高の暮らし。聞きたい?」
「ほう?」
「あらそうなの? 聞きたいわ~」
「へへっ、引かないでよ? アタシの理想はね──」
*
例えば……そう、ある日突然、アシェル兄が何もかも失っちゃうの。
店も、お金も、信用も。ぜーんぶなくなって、一文無しになっちゃう。
あんなにみんなに慕われてたのに、誰も助けてくれなくて。行き場を無くして、ボロボロになって、雨の中震えてるアシェル兄を、アタシが見つけるの。
アタシはそれとは別に意外と上手くやれててさ。このままいけば普通に死ぬまで安定した暮らしはできるって感じなんだよね、でもさ。
『ネル……』
って、いつもの調子でアタシの名前を呼ぶアシェル兄。それだけでゾクゾクしちゃうよね。ボロボロなのに目は死んでなくて、むしろ新しい獲物を見つけた獣みたいにギラギラしてる。もう普通の暮らしはできないんだ、前の暮らしに戻るしかないんだって状況でまだ生きていたいって目をするんだよ。
『……悪いな、ネル。また一からやり直しだ。着いてきてくれるか?』
そう言って、アシェル兄はちょっと心配そうな顔をするの。
アシェル兄にとってはさ、本当は何もかも捨て去って生きる方が自由だし、そっちの方がずっと良いはずなんだけど、アタシがその道に行くのをちょっと心配したりして。普通に生きていけそうなアタシを引きずり下ろすことにも引け目があったりするのかな。
でもアタシに選択肢なんてない。アシェル兄が行くなら、地獄の底までついていくんだもん。きっとアシェル兄だって、心の奥底ではそうなることを願ってるはず。
『当たり前じゃん。アシェル兄がいるなら、どこだっていいよ』
『……ありがとう。行くぞ、ネル』
雨が降る中、二人でひたすら歩くの。泥だらけになって、服もボロボロになって。
でも、アシェル兄の背中はいつだって大きくて頼もしくて。最初から何も変わないまま。
『次はどこへ行くの? アシェル兄』
『北へ行く。あそこの貴族は腐ってるって噂だ。付け入る隙はいくらでもある』
アシェル兄の言葉は絶対。アシェル兄が北と言えば北に何かあるってことだし、殺せって言えば殺した方が良い奴ってこと。
お金はどんどん減ってくし、仕事だってできないから、宿には泊まらない。森の中で野宿したり、廃屋に忍び込んだり。食べるものだって満足にない。でも、アシェル兄がいればなんとかなる。
アシェル兄は何でも知ってるし、何でもできるから。色んな事教えてくれて、二人で最初の頃みたいな暮らしを……ああ、二人には最初って言っても分からないか。気にしなくていーよ。
『ネル、あそこの木の実を取ってこい。あれは食える』
『うん!』
『川で魚を獲るぞ。俺が追い込むから、お前は下流で待ってろ』
『分かった!』
アシェル兄の指示通りに動けば、必ず結果が出る。お腹も満たされるし、寝床も確保できる。アシェル兄は魔法使いみたいに何でも知ってて、アタシを導いてくれる。制限が無いからこそなんだってできるっていう、この全能感がたまらないよね。
それに──たまには、ちょっと悪いこともするかもしれない。
『ネル、あそこの店だ。警備が甘い』
『うん、どうすればいい?』
『俺が正面から入って注意を引く。お前は裏口から忍び込んで、金庫の中身を抜け。時間は三分だ』
『了解!』
生きる上でどうしようもなくなることってきっとあるよね。
そういう時は、まあ……仕方ないんだよ。
アシェル兄の作戦は完璧で、アタシはそれに従うだけ。息の合った連携で、お店の人を騙して、食料やお金を手に入れる。悪いことだって分かってるけど、アシェル兄がやれって言うなら、それは正しいことなんだよ。それに、アシェル兄と共犯者になれるなら本望だしね。
盗みに成功して、二人で夜道を逃げる時の高揚感。後ろから聞こえる怒号も、遠くで鳴る警笛も、全部二人のための音楽みたいでしょ。息を切らして走りながら、アシェル兄と顔を見合わせて笑うの。
『ははっ、ちょろいもんだな』
『うん! アシェル兄の作戦、完璧だった!』
盗んだパンを二人で分け合って食べる時、アシェル兄はいつも言うの。
『よくやったな、ネル。お前のおかげで助かった』
『アシェル兄の作戦が良かったからだねー!』
それで頭なんか撫でられたら……天にも昇っちゃいそう。
アシェル兄に褒められるためなら、どんな危険なことだって平気。
時には、もっと危ない橋を渡ることもある。
悪い貴族を騙して大金を巻き上げたり、昔のツテと取引したり。
アシェル兄は大胆不敵で、どんな相手にも物怖じしない。口八丁手八丁で相手を翻弄して、最後には全てを奪い取る。その姿はまるで、物語に出てくる大泥棒みたいで、本当にカッコイイはず。
『いいかネル、相手の目を見るな。大事なのは呼吸だ』
『うん』
『俺が合図したら、迷わず刺せ』
『分かった』
アシェル兄の合図一つで、アタシは動く。
ナイフを振るうことに躊躇いなんてない。アシェル兄の敵はアタシの敵。アシェル兄とアタシの邪魔をする奴は、全員消えればいい。そう考える度に、きっと胸が熱くなるの。ああ、アタシたち兄妹はアタシたちだけで十分なんだって。
追っ手が迫ってくることもあるかもしれない。
そんな時は、アシェル兄がアタシを守ってくれて……。
『下がってろ、ネル! コイツらは俺がやる!』
……やっぱこれは無し。嫌なこと思い出しちゃったし。
敵はアシェル兄とアタシの二人でボコボコにしたことにする。
戦いが終わった後、傷だらけのアシェル兄の手当てをするのもアタシの役目。
薄暗い隠れ家で、蝋燭の灯りを頼りに包帯を巻いてさ。アシェル兄の体には、たくさんの傷跡があるんだけど、その一つ一つがアタシたち二人で生き抜いてきた証だからね?
『痛い? ごめん、もう少しだし』
『気にするな。かすり傷だ』
アシェル兄はきっと強がり言うんだろうなぁ……言いそうでしょ?
いつだって強くてかっこよくて、でも時々見せる弱さがたまらない。そんなアシェル兄を、アタシは一生支え続けるの。
行く当てはないし、明日のことも分からないし……でも、アシェル兄がいれば不安なんてない。アシェル兄も、普通の暮らしじゃなくて、こういう暮らしが一番なんだっていつか気づくようになるよ。
勿論、部下とかはいらないよ? 二人きりなのが絶対条件だから。マドリーも、リアンも、エリザベトも、誰も邪魔できない場所で。
……マドリーが何もしてこないってのは正直あり得ないけど……これはたとえ話だからね。何もしてこなかったって体で話してるからね。
アシェル兄はアタシだけに命令するし、アタシだけのために知恵を絞るし、アタシのためだけに存在してくれる。この世界で、アシェル兄の本当の顔を知っているのはアタシだけ。アシェル兄の弱さを知っているのも、強さを知っているのも、全部アタシだけ。
……最高じゃない?
「……とまあ、こんな感じ? どう? 引いた?」
「ええ……?」
「ネルちゃん、それは、その……なんていうか、刺激的すぎるんじゃないかしら……?」
「な、なんという……! 兄上をそのような目に遭わせるとは、何事だ!」
「あはは! ま、こんな話、平和ボケしたあんたたちには分かんないかもねー?」
「そもそも、かつては盗賊だったとして──兄上が再び間違いを犯すこと自体があり得ないだろう……!」
「それは王女サマがアシェル兄の理解度低いだけだってば。考えたこと無いから分かんないだけだって」
「あ、あの、ネルちゃん? そもそも聞きたかったのは何をしたいかとかだし、それにそこまで煽らなくても──」
「──いや。その評価は心外だ、訂正させてもらおう。そもそも私だって考えようと思えば……」
「え、エリザベト殿下……?」
*
私は立場もある。自分から兄上と二人だけの暮らしを選ぶことなどあり得ない。
あり得ない、が……政争に敗れ、クーデターが起き、王城が火に包まれる──そのような事態も、万が一にはあり得るだろう。信頼していた臣下に裏切られ、四方を敵に囲まれ、もはやこれまでという状況。
私は自害を覚悟するだろう。王族としての誇りを守るために。
けれど、兄上はきっとそれを許さない。
『死ぬな、エリザベト! 生きてさえいれば、まだどうにでもなる!』
兄上はそう言って、燃え盛る炎の中、私の手を取るのだ。
王冠も、ドレスも、地位も名誉も、全てを捨てて。ただ一つの命だけを持って、私たちは王城の隠し通路から脱出する。外は冷たい雨が降っているかもしれない。私たちは泥に塗れながら、追っ手の目を逃れ、闇に紛れて走るのだ。
『すまない、兄上……私の不徳の致すところで、兄上まで……』
『馬鹿野郎。お前が生きてるなら、それでいいんだよ』
兄上はそう言って、震える私の肩を抱き寄せてくれるはずだ。
付き合いは一番短いかもしれないが……その短い期間の中でさえ、兄上が高潔であり、理不尽を良しとせず、弱き者を見捨てない存在であることは十分に理解している。それでこそ私の兄上……ああいやいや、話が逸れたな。
逃亡生活において最大の障害となるのは──この髪だ。王家の象徴である、この輝く金色の髪。これがある限り、どこへ逃げようと私たちは目立ちすぎる。追っ手に見つかれば即座の処刑は免れないだろう。
だから、私たちは決断しなければならない。薄暗い森の奥、身を隠した洞窟の中で、兄上が用意した木の実の汁や泥を使って、互いの髪を染め上げるのだ。
『……やるぞ、エリザベト』
『ああ……頼む、兄上』
兄上の手が私の髪に触れ、冷たい染料が王族としての誇りを塗り潰していき、美しい金髪が見るも無残な汚れた色へと変わっていく。
その髪を失うことは、私達が再び王族として生きることができないという未来を暗示しているかもしれないが……生き残るためには致し方ない。私もまた、兄上の髪を染めるだろう。かつて私が憧れ、安らぎを覚えたあの美しい金髪を、私の手で汚していくのだ……。
『泣くな……お前はどんな色でも似合ってるから』
染め上がった互いの姿を見て、私達は苦笑するのだ。
そこにはもう、王子も王女もいない。ただのみすぼらしい、薄汚れた兄妹がいるだけ。二人の髪の色は変わったが──二人とも同じ色だという事実は変わらない。
私達は、誰も知らない遠くの地へ向かうだろう。
北の極寒の地か、あるいは西の荒野か。王国の威光が届かない、地図にも載っていないような辺境の村へ。 道中、何度も検問に遭うだろう。その度に私たちは息を潜め、荷馬車の荷台に隠れ、あるいは恋人同士のふりをしてやり過ごす。
『止まれ……ふむ、貧しい夫婦か?』
『は、はい……流行り病で、故郷を追われた……追われまして……』
兄上は私を庇うように前に立ち、頭を下げるのだ。
兄上が敬語を苦手としていることは理解しているが……それでも自分達の未来のために力を尽くしてくれることだろう。
そして、ようやく辿り着いた最果ての村。そこで私たちは小さな、本当に小さなあばら家を借りて暮らすことになる。隙間風が吹き込み、家具など一つもないような粗末な家だ。王城の私の部屋の浴室よりも狭いかもしれない。けれど、そこが私たちの新しい城になるのだ。
日々の暮らしは過酷だろう。兄上は村の人間に混じって畑を耕し、薪を割り、泥だらけになって働く。その手は日に日に荒れ、豆ができ、かつての美しい指先は見る影もなくなる。私もまた、慣れない手つきで家事をするのだ。洗濯をし、粗末な食材で食事を作り、繕い物をする。最初は失敗ばかりで、兄上に迷惑をかけるだろう。
『ああ……すまない、兄上。また焦がしてしまって……』
『いいって。食えるなら上等だ』
兄上は文句一つ言わず、私が作った黒焦げのパンを食べてくれるはずだ。その優しさが、私の罪悪感をより一層深くする。
夜になると、私たちは恐怖と後悔に苛まれるのだ。民を見捨てて逃げ出したことへの罪悪感。いつか追っ手に見つかるかもしれないという恐怖。窓の外で風が鳴るだけで、兵士の足音かと怯えてしまう。
『怖いか、エリザベト』
『……ああ。私たちが犯した罪は、決して消えない。いつか報いを受ける時が来るのかと思うと……』
『大丈夫だ。俺がいる』
兄上は、怯える私を抱きしめてくれる。
狭いベッド……いや、藁を敷いただけの寝床で、私たちは身を寄せ合って眠るしかない。凍えるような寒い夜、互いの体温だけが唯一の救いだ。兄上の腕の中にいる時だけ、私は王女としての責務も、罪の意識も忘れることができるかもしれない。
そんな日々を重ねるうちに、私達の関係が変化することも……あるかもしれないな。
この世界にはもう、私たち二人しかいない。互いが互いの、唯一の理解者であり、共犯者であり、生きる理由になる。いつか王座に返り咲くという、ありもしない幻想を夢見ながら、二人で生きていくのだ。
『……兄上』
私たちは、血の繋がった兄妹だという設定で生きてきた。世間的にもそうだ。
しかし、実際は違う。兄上はつい最近、謎の力で生み出された、仮初の肉体に宿る存在。
私達は厳密には兄妹では──ない。
『……エリザベト』
誰にも知られず、誰にも祝福されず。
けれど、誰よりも深く結びついた二人として、世界の片隅でひっそりと朽ちていく……。
二人の王族の結末の一つに、そのような世界線がある可能性も、ゼロでは──
「──むっつりスケベ」
「なっ……!?」
「王女サマってむっつりスケベなんだ。もっと堅苦しいヤツかと思ってたなー」
「い、いや! と、いうような事態も! 万が一、億が一には、あり得なくもないという話だろう! なんだその目は! 言っておくが、これはあくまで最悪のケースを想定した机上の空論であり、決して私の願望などでは断じてないぞ!」
「え、違うの? 『髪を染めて』とか『狭い部屋で体温を』とか、設定が細かすぎない? 絶対何回も妄想してるでしょ。普段忙しいからストレス溜まってる?」
「無礼な! 私は常に国のことを……!」
「はいはい。アタシは『共犯者としての妹』になりたいけど、アンタは『悲劇のヒロインとしての妹』になりたいってことでしょ? いやー、王族の性癖って歪んでるわー」
「ち、ちが……っ! 私はただ、兄上との絆を……!」
「最近の子って……結構マセてるのね~……」
*
「私が変な質問しちゃって、こんなことになっちゃって……」
「……で、ここまで白熱してると」
「そういうこと……に、なっちゃうわね~……」
……なんだってんだ。
姦しい面子が集まってたから女子会でも開くのかと思って引っ込んでたのに。ちょっと見ない間に店が随分と騒がしくなってるな。何があったんだ?
「だからアシェル兄が望んでるのは『制限のない自由な暮らし』なんだってば!」
「いや、そうではなく、兄上の望みは『のどかで安定した暮らし』のはずだ。今の兄上を見れば分かるだろう」
「それは仕方なく甘んじてるだけなんだって!」
なんで俺の話……?
女子会じゃねえの? 女子会って普通何話すのか俺知らねえけど。
あんまりでけえ声で喋り続けても、奥のカルがビビって出てこられなくなるだけだぞ。
話してる内容もよく分からねえし。
何だ、俺の望みがどうこうって。確かに俺は『制限のない自由な暮らし』も『のどかで安定した暮らし』も望んでるが……今の暮らしだって完璧でないにしろ両立できてるだろ。二人の話の争点はどこだ……?
「ところで……ねえ、アシェルちゃん」
「ん? 何だ?」
「アシェルちゃんは……全部投げ出して、逃げ出したいって思うこと、ある?」
「……んん?」
いやなにその質問……。
さっきまでネルたちが話してた内容に関係あんのか?
逃げ出すも何も……俺はもう十分逃げおおせた後だろ。
王族の立場からは隠居できたし、教会の連中もソラナが手綱握ってくれてるから問題ねえ。マドリーやリアンとの関係だって、多少強引なところはあるが上手くやってる。今の暮らしは騒がしいが、俺はこれを気に入ってるんだ。わざわざ捨てて逃げる理由なんて──今の俺にはどこにもねえよ。
「……今はねえな。ここでの暮らし、気に入ってるし」
「……そう」
「でもまあ、もし疲れてどうしようもなくなったら──その時は大家のロエマお姉ちゃんに頼らせてもらうかもなー?」
「……そう!」
ロエマは大家だから空いてる物件とか結構持ってるだろうし。中には安いのもあるだろ。
今のカルの工房だって中々住み心地は悪くねえが……もし拠点を変えたいって思うことがあれば、きっと頼ることになるだろうな。
あと一番甘やかしてくれそうだし。
「もちろんよ~! いつでも頼ってちょうだいね~?」
「っ!」
おうおう、急に掴まれたらびっくりしちまうぞ。距離が近えんだって。
アンタやっぱり俺のこと女の子だと思ってねえか? そんなに俺の女装は似合ってるか?
「うふふ。やっぱり、アシェルちゃんが一番純粋で、一番いい子で、一番可愛い妹よ」
「……だから俺、男だってば」
「ふふ、いいじゃない。私にとっては、可愛い可愛い妹みたいなものなんだから……」
ん?
あれ? ロエマ? 握る力が強くなってるぞ?
ていうか、ネルとエリザベトが喧嘩止めてずっとこっち見てんだけど?
待って? 久しぶりに『嫌な予感』がするぞ?
「……ずっとこのままでいてほしい……ずっと、私の可愛い妹であってほしい」
「誰にも染まらず、ありのままで、あの可愛い妹と同じままでいてほしい……」
「外の世界なんて、危険がいっぱいだもの。ふと目を離して死んじゃったなんてもうイヤ」
「いっそ閉じ込めてしまえば……そうすれば、いつまでも手元に留めておけるのに……」
「ロエマ? ロエマさん? 外のレミとルシアまでこっち見てるぞ? おーい?」
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