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恋に浮き沈みはつきもの(物理)  作者: 人妻なのにギャルゲー作家志望
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1章ー3 学年1の美少女のケース

女子からの呼び出し。

なんて心躍る響きだろう。

男なら一度は憧れるワードだ。

プラスアルファ卒業式やバレンタインなどの追加背景があれば更に加点対象なのだが、残念ながら今回の件で言うとどう考えても減点要素しかない。


どっちかというと果たし状・面談依頼・聞き込み調査…?

どれもこれも女子からの呼び出しという甘美な言葉から遠ざかるばかりだ。

それもこれも前回の【消す】という物騒なワードが原因。

本当何を消されちゃうの、俺。


呼び出しは口頭ではなかったので残念ながら聞き間違えは存在しない。

朝の挨拶をしたのち鈴白てまりは俺の机にさりげなく手のひらサイズの紙を渡してきた。

そこには、とめ・はね・はらいの三拍子が綺麗に揃った字で綴られたのは、"放課後 裏山にて"の一文とよくわからない絵。

なんだそれって感じだが、なんと説明していいのか俺が悩む。

大きさに100円玉程度。

絵だとかろうじて分かるのは目らしきものと丸い輪郭が描かれているような気がする。なんか他にも周りにごちゃごちゃと描いてあるのだが、これらが何かは見当がつかない。


鈴白、さては絵が下手だな。

それかあの骸骨が描いたか。

一応、指があることは昨日確認したが骸骨がイラストを描くのはあまりにシュールな気がする。

これが魔法陣や呪いの何かじゃないのを祈るばかりだが、何のためにかかれてるのかという理由が皆目思いつかない。

これが何かわかればヒントにもなるのだが…。


わからん!そして放課後は刻一刻と迫っている。

とりあえずそちらに集中するべきだろう。

どうすればいいか俺は頭の中で指折り数える。


その1.呼び出しを無視する。

魅力的な案であるが却下。消されるという物騒な可能性がある以上、情報取集をするべきだろう。もちろん、逆に消されるタイミングを早めてる可能性は捨てきれないが、遅かれ早かれ次に進んだほうがいい。


…呼び出しには応じる方向で考えるか。


その2.誰か連れて一緒にいく。

これもかなりいい案な気がするが…駄目だ。被害者が増える可能性があるのに保身の為に巻き込むなんて善良な俺にはできない。そう決して、ぼっち俺だからできないのではない。善良でスーパー優しいからである。間違えないように。


とのなると、

その3.出たとこ勝負でいく。

これだな。これしかないな。


脳内会議終了。

ため息が出そうな気持ちを押し殺し、俺は自分を奮い立たせるように席をたった。

重力が発動してたらそのまま床にへばりついてたぐらい気が重いが、まぁよい。

今回の件で唯一良かったことでもある。

恐怖の前では重力は無関係。

体がいつも通りというのはそれだけで安心を与える。


よし、行こう。


学年1の美少女(猫耳付き)と空飛ぶ骸骨に会いにいく為、俺は歩き出した。




放課後、裏山にて。


昨日の場所に彼女らはいた。

昨日と変わらない耳には猫耳、空飛ぶ骸骨ミニ。

昨日と違うのは、驚きではなく笑顔で迎えられたことだ。

「上石くん、こっちー!」

鈴白てまり、サイコパス説浮上。

手を振りながら呼びかけられたとあっては引き返すのは不可能だろう。

まぁ、引き返すつもりもない。

今のところの話だが。


「もう来てくれないかと思った。」

腕一本分の距離をあけて俺と鈴川、謎の骸骨は向き合った。

近くで見るとやっぱり気持ち悪いな。遠目だとまだ白い物体に羽が生えてるで済むけど近いとなかなかグロテスクだ。

「…まぁな。」

「そんなに怖い顔しないでほしい、っていうのは難しいかな?」

鈴白は小首を傾ける。心なしか猫耳もヘナっている。通常であれば心が浮つくほどかわいい光景なのだが、

「誰だって自分が消されるて言われたら警戒ぐらいするだろう。」

俺の回答に鈴川はそっかぁと小さく呟いて下を向いた。


え、もしかしてここから更に変身したりする。

なんかおどろおどろしいものになっちゃったりして、鈴白が顔を上げた瞬間なんか怒ったりする?

それほど不安になるぐらいの静寂。

回答を間違えた感半端ない。

今からでも引き返すか。

でも流石にそれはヘタレすぎるだろう。

自分の発言と行動を呪わずにはいられない。

いやもう、雑魚キャラフラグビンビン。


静寂を打ち破ったのは、まさかの萌え声だった。

「…おぬしを1人を消す魔力は残念ながら残ってないのじゃ。消すのは記憶よ、記憶。」

「…記憶?」

骸骨の言葉をおうむ返しするなんてなんだか我ながらアホらしい図ではあるが、理解が追いつかないのだから仕方ない。


「魔力?なんだそれ、ファンタジーかよ。だいたい記憶を消すなんて可能なのか。」

「可能も何も…」

骸骨は鼻で笑った。

鼻がないくせに偉そうな態度だ。

しかし次に続く言葉に比べれば些細なことだった。


「おぬし、てまりに廊下でぶつかった時のこと覚えてないじゃろ。」


…一瞬、頭が真っ白になった。

そしてすぐ再起動をかける。


そう、そうだ。

確かに俺は鈴白てまりの前に廊下でひれ伏してた。

なぜ、なんで。

まるで思い出せない。

地面叩きつけられほどの恋に関する絶望…何があった。

何が起きてた。


ふいに、鈴白は顔をあげた。


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