2話 目覚め
俺は死んだ。ミンチになって死んだ。
どうせ、死ぬならもっと欲望に沿った生き方をすれば良かった。
後悔しても遅いか。
なんで、考えることができるのかわかんねぇ。
頭はペースト状になっていると思うんだが・・・。魂だけでも考えることができるのか?
わかんねぇ。何も感じないし、何もわからねぇ。見えない。聞こえない。肌があるのかどうかもわからない。
匂いもしない。上はどっちだ?下はこっちか?体はどうなってる?俺はどうなってるんだ?
ここはなんだ?場所なのか?天国?地獄?冥途?・・・・メイド。三途の川?あの世?・・・・あのよぅ。
むぅ・・・・ギャグの切れ味は名刀クラスだが、現状把握が進まない。
何がどうなってるのやら・・・・・・・。ん?
なんだ?落ちている?落下感を感じる。感触はないのに落ちていく感じがある。
どんどん、落ちていく。止まらない。落ちる。落ちるっっ!
どうなっっ!!!
ビクッ!!!!!!!!!
「っっっっ!!!!」
凄まじい落下感のせいで目が覚めた。
「・・・・・・・なるほどな。」
現状確認はできた。まずは体を起こして身を隠す場所を探そう。
体を起こして辺りを見回してみた。
土の上にうつ伏せになって倒れていた。というより、うつ伏せに生成されたらしい。
森の中、いや、森のようにみえるダンジョンの中のようだ。隠れるにはうってつけだ。
とりあえず、近くの木と茂みの間に身を隠した。生成直後で全裸。ゆえに寒い。が服がないので仕方ない。
なぜ、こんなに落ち着いているのかというと経緯と現在の状況が頭の中に入ってきているのが大きい。
まだ、少し、戸惑いはあるが些細なことだ。
今、俺がいるのはダンジョンと呼ばれる。この世界にあるマナの溜まり場だ。
一口にダンジョンと言っても様々だが、ここのダンジョンは豊富に湧き出るマナを消費してモンスターを
生成してダンジョンの食物連鎖、環境を維持している。生成される生物やモンスターにはそれにみあった知識や習性があらかじめインプットされているので落ち着いている理由はそれが大きい。
トラックに轢かれて死んだ後にダンジョンの生物としてポップしたわけだ。
まぁ、運がいいのか。悪いのかよくわからない。ポップした理由が最悪だ。
ここのダンジョンで人間がポップするのはかなり珍しいが、無いわけではない。
ここは大鬼のダンジョンの4層。樹木エリア。生息しているモンスターは
ハーピィ、ウルフ、スタッグ、ラット、フロッグ、バード、ゴブリン、コボルド、ボア、スネーク、マナプラント、マナツリー、そしてオーク系列の生物がポップする。
ゴブリンとオークがポップするのだ。
連中は人間を苗床にしたり捕食したり、嬲り殺しにしたりして楽しむことが多い。
四肢を切り落とされてケツから丸太を突っ込まれてあぶり焼きも普通にあり得る。
俺が落ち着いている理由は焦って何かをした場合、お肉になって胃袋に放り込まれる危険性が高いからだ。
おちつかざるをえない。