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8.その向こうにあるもの
たくさんのひまわりが向いている方向へ、目を向ける。青い空のかなたに、まるでお城のように連綿とつらなる、すさまじく巨大な雲があった。
雲は高く、高くそびえ、視界にうつる青空の半分くらいを隠していた。
空中の雲がそこにかたまっているみたい。あとは、雲の城から流れてきたのだろうか、ちぎれた雲がぽつん、ぽつんと、ところどころに浮かんでいるだけ。
あいかわらず気持ちはよかったけれど、ぼくはもうはっきりと気づいていた。
ひまわり。きみたちは、なにを見ているの。そこに、なにがあるの?
あの雲の向こうに、きっとぼくのなくしてしまったものが、あるはずなんだ。
ぼくの、とても大事な……なに?