ⅰ・図書館
世界に打ち捨てられた、残骸に出会った。
残骸は、叫んでいた。
泣いているようでも、怒りをぶちまけているようでもあった。
だけれど、だれにたいして? 涙も怒りもぶつける相手のなく。
……ぼくは、その建てもののなかへ入っていった。
*
屋根は大破し、ここにも灰色の粉が、降り積もっていた。
そしてぼくはさとった。
ここは、いまや、本の墓場となっているのだということを。
最初はわからなかったけれど、たくさん立ち並んだ棚、その一つ一つに、びっしりと、本が詰まっていたんだ。
おじいちゃんの書庫(おじいちゃん……? 遠い昔にきいた名前の気がする)よりもっと、その何倍もの数の、棚、棚、棚。そこに埋もれる、本、本、本……
ぼくは一冊、手にとってたしかめようとするけど、ページをめくるとたんに、紙は崩れて、はらはらと落ち、地面に積もる粉と混じってしまう。
そのあとはもう、本を手にとってみることもなく、奥のほうまで、棚と棚の合い間を縫って歩いた。崩れかかった屋根のすぐ近くまで巨大な棚は伸びて、また上の方には、巨大な本が、死して尚その誇りを示すように、たたずんでいるのだった。
なぜ彼らは、ここで静かに、死ぬ運命にあったのだろうか。
彼らは叫んでいる。
われわれは、ずっと人間と共にあり、彼らを助けてきたはずだ。だが、人間はわれらを見捨てたのだ、と。




