表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏の城  作者: k_i
エンドロール
28/34

ⅰ・図書館

 世界に打ち捨てられた、残骸に出会った。

 

 残骸は、叫んでいた。

 

 泣いているようでも、怒りをぶちまけているようでもあった。

 

 だけれど、だれにたいして? 涙も怒りもぶつける相手のなく。

 

 ……ぼくは、その建てもののなかへ入っていった。

 

 

 *

 

 屋根は大破し、ここにも灰色の粉が、降り積もっていた。

 

 そしてぼくはさとった。

 

 ここは、いまや、本の墓場となっているのだということを。

 

 最初はわからなかったけれど、たくさん立ち並んだ棚、その一つ一つに、びっしりと、本が詰まっていたんだ。

 

 おじいちゃんの書庫(おじいちゃん……? 遠い昔にきいた名前の気がする)よりもっと、その何倍もの数の、棚、棚、棚。そこに埋もれる、本、本、本……

 

 ぼくは一冊、手にとってたしかめようとするけど、ページをめくるとたんに、紙は崩れて、はらはらと落ち、地面に積もる粉と混じってしまう。

 

 そのあとはもう、本を手にとってみることもなく、奥のほうまで、棚と棚の合い間を縫って歩いた。崩れかかった屋根のすぐ近くまで巨大な棚は伸びて、また上の方には、巨大な本が、死して尚その誇りを示すように、たたずんでいるのだった。

 

 なぜ彼らは、ここで静かに、死ぬ運命にあったのだろうか。

 

 彼らは叫んでいる。

 

 われわれは、ずっと人間と共にあり、彼らを助けてきたはずだ。だが、人間はわれらを見捨てたのだ、と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ