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サーシャ・アルノー視点

四日前?くらいに、編集ミスで消してしまった短編の再アップです。誤字は思い出せるところだけ直しましたが全部は出来なかったので、また教えてください。すみません……

サーシャ・アルノーとイザーク・シュタイン視点の計2話で完結します。

 私の婚約者はちょっぴり怒りっぽい。


 それも、最近からです。


 一年前に私は学園に入学したのですが、学園でよく会うようになったのがいけなかったのかもしれません。彼は一つ上の学年で入学当初はよく相談に乗ってもらっていました。

しばらくたち、彼のことをより知れたのでもっと一緒に過ごしたいと思い、3日に一回は詰めかけていたのもいけなかったのかもしれません。最近は話していても急に顔を真っ赤にして黙ってしまうのです。

きっと、その時に私が言ったことややったことに怒っていらっしゃるのだと思います。彼の怒っている顔は私の前以外では見たことがないので、きっと私がいけないのでしょう。私のせいで怒らせてしまうので、両親に婚約破棄を頼んでみたこともありましたが、二人とも聞き入れてくださいませんでした。まあ、彼は伯爵家の次男で、こちらは子爵家。しかもお婿に来てもらいますし、入学金も払って頂いたのですからこちらから破棄はできません。なので最近は、せめて会わないように気を付けています。

 それでも、同じ学園にいるので完全に会わないことは難しいのです。やはり、今日も会ってしまいました。廊下の角を曲がったときに彼とぶつかってしまったのです。私が持っていた皆様の課題のノートも落ちてしまいました。



「も、申し訳ありません……」


「サーシャ……一人でこんなに持って。どこまでだ?」


「っ!イザーク様……あっ、大丈夫です。私、一人でできますから」


「大丈夫じゃないだろう。ほら、どこまでだ?」


「職員室までです……ありがとうございます。」



 イザーク様はどなたにも紳士的です。サラリとした黒髪、キリッとした青い瞳の色彩は少し珍しく、甘い顔立ち。彼の実家は伯爵家でもかなり上位で、その次男。彼自身も王子の側近で、試験は常に一位。生徒会長もされています。婿に欲しいという貴族様はとても多く女性からも好意をよく寄せられています。なぜ私と婚約してくださったのかが分かりません。私なんて薄い茶色のなんの変哲もない髪に緑の瞳。何も特徴的なものなんてありません。侍女や両親達はよく顔が整っているといいますが、贔屓目ですよね。気を使わせてしまう容姿なのです。家柄も普通の子爵家。領地はありますが、特徴はありません。私自身もすごく所作がキレイだとか頭が良かったり、特技があるわけではないのです。なので、きっと婚約破棄しても、私のことは忘れさられると思います。


 そんな私にも優しくしてくださるイザーク様が大好きで、会ってしまうと怒らせてしまうと知っていても、ついお話をしてしまいます。



「イザーク様、この間のお茶会に出席できずに、申し訳ありません。イザーク様はお忙しいのに、せっかくのお時間を……本当にごめんなさい」


 その時間を休憩に使ってほしかったので、当日お腹が痛かったことにしていたのです。彼もわざわざ怒りたくないでしょうから。


「気にしないで。体調は大丈夫ですか?」


「はい。わざわざお花まで、ありがとうございました。」


「いえいえ。花といえば、この学園の薔薇もそろそろ見頃ですね。今度、見に行きませんか?」


 このように、私に気を利かせてデートにも誘ってくださいます。本当に、イザーク様はできた方なのです。


「もう、初夏ですものね……今度ぜひ。薔薇が見頃になる頃にはきっと、夏服に変わっているでしょうね。サイズを直さないと……」


 夏服は今より少し生地が薄くなり、水色と白を基調としたワンピースになります。胸下で切り替え、学年ごとの色のリボンをつけるかわいらしいデザインです。半袖になりますが、多くの女性は手袋を付けます。その手袋は自由なので、婚約者の方に送られたものを使うことが毎年流行ります。


「サイズ……ですか? っ、すみません。女性にサイズを聞くなんて……」


「いえ……その………先週着てみたら少し、胸がキツくて……」


「(なっ………まだ………大きくなっているのか?たしかに、大きくなっているか……って!ダメだ!思い出せ!去年の夏服のサーシャがどんなに危険だったのかを!またあんな危険な服を着せるのか?)」


 あ……またイザーク様が顔を赤くして黙っていられます。また、怒らせてしまったようです……


「イザーク様……あの……」


「はっ!すみません。少し疲れていたようです。夏服といえば手袋ですね。今年も手袋を送ってもよろしいですか?」


「イザーク様がよろしければ、お願いしたいです……」


「はい。今年もサーシャの手袋を選ぶことができて、光栄です……着きましたね。どうぞ」


「ありがとうございます」


 イザーク様が自然にドアを開けてくださいます。先に入らせていただいてノートを置きます。


「重くありませんでしたか?」


 後からイザーク様がいらっしゃいました。


「大丈夫です。イザーク様が多く持ってくださいましたから」


 私は三冊程度しか持っていません。あとはすべてイザーク様が持ってくださったのです。重いはずがありません。


「イザーク様、ありがとうございました。私も、何かイザーク様をお手伝いできたらよいのですが………そうです!イザーク様、何か困ったことはありませんか?何でもいたします。」


「何でも……ですか?」


「はいっ!私にできることなら!」


「(なんでも……だと?男になんでもすると言うことの危なさをサーシャは分かっていないな。サーシャになんでもすると言われて不埒なことを考えない男なんていないぞ。……平常心。平常心だ)」


「今は特に無いので、できたらお願いしますね」


 また顔を赤くして怒っていられます……


「そう……ですよね。ごめんなさい、イザーク様。失礼します」


「えっ、サーシャ?」



 イザーク様の声を無視して急ぎ足で廊下を進みます。こんな短時間で二回も怒らせてしまいました。私なんて、婚約者失格です。イザーク様に相応しくありません……

 自分が考えていることに悲しくなり、涙が出てしまいました。このまま教室に戻るわけにもいきません。ちょうど天気が良い中庭に出たのでベンチに座りました。ここで、涙が止まるまで待ちましょう………



「どうかされましたか?」


「えっ…………」


「失礼、レディー。私は三年のクルトン家長男、ウェスターと申します。なにやら、泣かれているようですが……」


「あ………二年のアルノー家長女、サーシャと申します。お見苦しいところをすみません……すぐに、すぐに止まりますから……」


「涙を我慢するのはよくありません。どうぞ、またおかけになって。私が隣に座っても?」


 あまり男女が並んで座ることは良くありませんが、挨拶に立った私を座らせてくれたり、わざわざ慰めようとしてくれている彼は大丈夫ですよね。


「理由を聞いても?」


「はい……」


 私はイザーク様のお名前を伏せて、話しました。


「そうか……それはツラいね。ああ、あまり泣き顔を見られたくないでしょう。もしよければ、この胸を貸しますよ」


「ありがとうございます……」


「ねぇ……君さえよければ、そんな男なんてやめて、私に……」



「おいっ!人の婚約者に何をしているんだ!」


「っ!イザーク・シュタイン……何もしていないさ。レディー。いつかまた。」




「おい……サーシャ。どうして他の男に抱かれていた?」


「イザーク様……」


「(っ!……サーシャの泣き顔……やばい。これは……やばい)」


「イザーク様が……そうやってよくお怒りになるからです!」


「……え?」


「そうやって顔を赤くして急に黙って怒っていられるのが……私といるといきだけで。イザーク様を怒らせてしまう私が情けなくて……相応しくないと思って………」


「……サーシャは私が怒っていると思っていたのか?」


「そうです。だって、最近、どこかよそよそしい時もありましたし……」


「………サーシャ。私は怒っていないよ。むしろ………いや。ねぇ、サーシャ。私達は一度二人っきりで話し合わなければいけないと思うんだ。」


「怒っていない……のですか?」


「うん。……そうだ。さっき、困ったことがあればなんでもすると言っていたね?ちょうど今、困ったことができたんだ。私の部屋に来てくれる?」


「はい!」


「じゃあ……」



 それからイザーク様の部屋で行われたことは私からは言えません……

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