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ファンタジーを現実に  作者: 王国民
異世界転移編
7/207

仲間たちの現在 その1

 本日3話目

 時は少しだけ遡る。勇者召喚が行われた翌日だ。

 女神の力は、封印が解け始めた魔神によって遮断されていた。

 なので勇者召喚の儀式がなければ、女神の力を以ってしても、単独では送り込むのが難しい。


 そしてその召喚の儀式を行ったのが、かつて女神と共に魔神と戦った者たちが興した国、ツァールトハイト王国だ。

 その当時、女神の神託を受けていた巫女の子孫である、リール王女が儀式の責任者として、勇者たちの世話をしていた。


「勇者様、ゆっくりお休みになられたでしょうか? 異世界の勇者様方のお力を借りなければならない事態に、この世界に住まう者として謝罪いたします」


 自己紹介をして、想太の捜索を頼んでから眠りに就いたが、4人とも落ち着かなくて、あまり眠れなかったのだ。


「自分たちで選んだことなので気になさらないでください。大事な友だちだけ危険な世界に行かせられませんから」


 190の巨体が小さく見えるほど豪華な部屋で、耕平たちは説明を受けるために集まっていた。

 リール王女は十分に休んでからと思っていたが、想太が気になる4人は、早く強くなって捜しに行きたかったのだ。


「ありがとうございます。ソータ様の捜索ですが、昨日の今日なので情報はまだ……しかし2000人の兵士が捜索していますので、近くにいらっしゃるなら、すぐに見つかりますわ」


 この城の常備兵は3000人なので、かなりの人数が動員されていた。

 数を聞いた4人も少しだけ安心したように、顔を見合せて小さく笑った。


「それで姫様。僕たちはどうやって強くなればいいんですか? 想太君を助けに行くにしても、逆に足手まといになったら意味がないですから」


 剛が冷静な顔で聞くが、想太のことが心配なのは隠しようがなく、落ち着かないように貧乏揺すりをしている。


「ツヨシ様、焦ってはいけません。女神様の力を持っていらっしゃる勇者様方にしか、魔神は倒せないのです。私の祖先もダメージを与えることができず、女神様に戴いた神器でサポートをしていただけですから。勇者様方は何よりもお命を優先してください。ピンチにならないのが1番ですが、ピンチの時は私さえも盾にして生き延びてください」


 リール王女の覚悟と、自分たちに与えられた使命の重さに、4人は言葉も出ない。


「まずは戦いの訓練をするべきです。実戦はそれからでも遅くはありません。護衛の騎士と共に実戦をするのは、武器の扱いや、ご自身の力を理解してからがよろしいでしょう」


 そして護衛の騎士が紹介された。

 男2人には30人の男性騎士が。

 女性が苦手な耕平はホッとし、男が大好きな剛は興奮している。


 女の子2人には30人の女性騎士が付く。

 なるべく年齢の近い人が選ばれたようで、真由と千夏も安心した。

 それぞれ専門の教師を付けて、得意分野を伸ばしていく方針だ。


 耕平は槍術と盾術。味方を守りながら、少し腕を伸ばせば盾の裏からも攻撃できる。

 女神スキルや個人スキルのおかげで防御が得意だし、巨体のおかげで体勢を崩しにくい。


 剛は杖術(じょうじゅつ)を磨きながら、支援魔法を練習する。適切なタイミングで使わないと、支援にならない場合もある。

 戦闘が終わるまで続くとは限らないし、魔物の得意技を知らなければ、適切な支援魔法は使えない。


 真由は近接戦闘は捨てて、攻撃魔法で戦うことに集中する。

 運動が苦手な真由を前に出しても、意味がないどころか足を引っ張ってしまう。

 ステータス的にも近接は苦手だろうし、魔法で戦うほうが強い。


 千夏は剣を習う。剣道はルールのあるスポーツなので、実戦とは感覚が違いすぎるからだ。

 摺り足では高速で動く魔物に追い付くはずもないし、1対1ではないので、千夏を避けて真由を狙われては意味がない。

 手首を狙ったところで狂暴な魔物は怯まないし、そもそも人型以外の魔物も多いし、剣道の打ち方では強靭な魔物の体に致命傷は与えられない。

 大声を上げて攻撃すれば、奇襲はできないから不利になる。癖を抜かないことには、魔物との戦いは無理である。


 4人はすぐにでも修行を開始することを主張した。

 生活の面倒は王宮がみるので、常識などは急を要することではない。


 女神の説明と矛盾するわけでもないし、どのみち力がなければ、国が悪事を企んでも反抗できないのだから、何を置いても強くなることが大事だった。


 その点、想太は自分で稼がなければならないし、常識がなければ騙されてしまう可能性もある。

 想太が仲間を捜すのは、かなりの時間と準備が必要だろう。


 4人は護衛の騎士と共に練兵場に連れていかれた。

 城にある1番の武器を渡されて、まずは馴れるところから始めた。


「槍ってけっこう重いですね。それに旋回させたりするのは俺には難しい」


 耕平が槍を使うが、まだ突き刺す以外の使い方はできない。

 それに盾の使い方も覚えなければならないうえに、槍と盾を同時に使わないと完成とは言えない。

 少なくとも形になるまで、数ヵ月は必要だろう。耕平は器用さが低い。


「槍は長い分重く感じるかもしれませんね。しかしその重さを利用して、遠心力を加えた一撃もできます。突くだけでなく、足を払って転ばせたり、回転させて叩くこともできます。使い方さえ極めれば、多彩な攻撃で対人戦に強いです。長さのおかげで安全に戦えます」


 そして槍は、突くだけなら技量はあまり必要なく、歩兵の主力武器になる。

 ロクに武器を持ったことのない農民でさえ、槍を持ち集団になれば強い。

 よほどの剣士でない限りは、槍を持った相手には苦戦は必至だ。

 耕平は話を聞いて、やる気を出した。友だちを守るために極めてみせると決意を固めた。



 剛のほうは器用なので、さほど苦労することもなく棒を振り回している。

 槍と似たような使い方ができるが、魔法を使うのに杖のほうが適している。

 杖は使い手の魔力を高める効果があり、魔力のステータスが高いほうが、魔法や魔術の効果が高い。

 剛は支援魔法で攻撃はできないが、魔術は頑張れば覚えることができるので、そちらにも手を出すつもりだった。


「支援魔法がメインだけど、魔術で攻撃できるようになれば便利だしね。ワイルドなおじさんが先生だしやる気が出るね」


「はぁ。やる気を出して戴けるのは助かりますが、魔術は後回しにしてくださいよ? マユ様ほどの攻撃力にはならないですから」


「わかってます。僕は友だちを支えるほうが性に合ってますからね」


 そう言って棒を突き出す。



 真由には宮廷魔術師が担当した。

 お手本に魔力で生み出した炎を飛ばすと、真由は喜んだ。


「すごいすごい! 想ちゃんが見たら何て言うかな? 魔法少女じゃないからガッカリするかも?」


 しわくちゃの老婆を見せられても、大概の男は反応に困るだろう。


「マユ様。魔力を扱う時は落ち着いてくださいませ。特に魔術と違い、魔法は魔力しだいでは空間を越えたり、天候を操り、災害さえ起こしてしまいます」


「魔法怖い……」


 想太に見せられた魔法少女のメルヘンな感じが吹き飛び、全力全開……いや、全力()()な魔砲少女がの姿が浮かぶ。

 自分が街を破壊するような攻撃をするところを想像して、真由はブルブル震えた。



 千夏は剣術を一から学んでいた。

 剣術には様々な斬撃の型がある。剣道に馴れている千夏は、普段は使わない型を使うので、咄嗟に攻撃が出ない。

 剣道で反則になるようなことは馴れていないのだ。


「子供の頃から染み付いた癖が邪魔だわ……」


 自分が身に付けたことが、この世界では力にならないことが、千夏から自信を奪っていた。


「でも反応は悪くありません。私がワザと見せた隙に、反応はしていますから」


 しかし攻撃が出ない。

 剣道では打たない場所なので、隙があったとしても打てなかった。

 そこで女性騎士は、基本からやっていくことにした。

 まずは素振りから始めて、体に攻撃を覚え込ませるのだ。


「こんなんじゃ想太を捜しに行くのは、いつになるのよ……」


 千夏は美しい汗を飛ばしながら、一心に剣を振り続けた。

 次は19時に投稿します。

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