国を出発
本日1話目です。
ダンジョンを出ると夜だった。
もう遅い時間なので、ペガサスに乗って城まで帰る。
巡回していた兵士に手を振り、自分の部屋に向かうと、女の子たちはもう眠っていた。
起こすのは可哀想なので、風呂には入らず服だけ脱いで、自分用のベッドに潜り込んだ。
女の子用のベッドを撤去しておけば、このベッドを使わせられたんだけどな。
オレがいる時はこっちに寝てお尻を撫でさせてくれるが、オレがいないと勝手に使ったりはしないようだ。
彼女たちと王女には世話になったし、不老の薬でも作ってあげよう。
不死ではないから、寂しいことにはならないだろう。永遠の若さが手に入るだけだ。
寝る前に空想現実化で、大瓶に作っておく。明日にでも小瓶に分けよう。たぶん50本分は作れるはずだ。
作った不老薬を収納バッグにしまい、レオを抱きしめて眠った。
翌日オレの部屋に王が挨拶に来た。
女神のダンジョンをクリアしたことを告げると、戦神としても祀られることになった。
冒険者たちが危険なことをしないように、ダンジョンの魔物のレベルと、冒険者たちのレベルの平均を教えておいた。
勇者以外にもレベルがあることに驚いていたので、ステータスチェッカーで見せてあげた。
オレの神器にさらに信仰心を深めたのか、オレが嵐を止めた日を鎮魂祭に、オレが畑を復活させた日を豊穣祭に、オレがダンジョンをクリアした日を闘神祭に設定するそうだ。
さっそく通してくると言って出て行く。王女を置いていったので、お尻を撫でて過ごした。
王女とメイドのお尻を撫でていると、オルコット伯爵父娘がやって来て、エイトン伯爵の件を教えてくれた。
「じゃあ一族ごと処刑されるんだな?」
なんか敬語に慣れてるから違和感があるが、神として振る舞うように言われているので、敬語はやめている。
「はい! これもすべてソータ様のおかげでございます。まさか娘を助けてくださったのが神様とは知らず、これまでのご無礼を平にご容赦ください」
別に十分に礼儀正しいと思うが。君から様に変わったのが違和感があるけど。
「ソータ様、わたくしも失礼いたしました。神様とは知らずにあんなに遊んで戴いて」
「オレは可愛い女の子とイチャイチャすると、力の回復が早くなるからいいんだ」
女の子が大好きなオレのリラックス方法らしい。MPの回復が倍以上になる。趣味と実益を兼ねて、これからもお尻を揉みしだくことにした。
「で、オレの力の回復に役立ってくれた女の子たちに、オレからの贈り物がある」
アトラ王女とレイシア、それから国王が集めてくれた美女や美少女メイドだちに、不老薬をプレゼントした。
「えーと、1番年上のジェマ、飲んでみてくれ。そうすれば効果が判りやすい」
27歳の平民の女性だ。
美人なのに行き遅れたのは、実家が貧しいうえに病気の両親がいたからだ。
両親の世話をしているうちに行き遅れて、両親が亡くなった頃には25歳に。
結婚相手もおらず、誰か金持ちの愛人にでもなるしかないかと仕事していたら、国王からお呼びが掛かったそうだ。
国王はオレの好みが判らなかったので、10歳から30歳までの美しい女性を探してくれたらしい。
10歳くらいから集めたのは、オレがレイシアと仲がよかったからだろう。
27歳が最高になったのは、それ以上の年齢だと、基準を満たす美人がおらず、また汚れない乙女も見付からなかったからだそうだ。
「これを飲めばいいんですね?」
躊躇わずに飲むと、みるみるうちに10代に若返った。
「なにか体が縮んだような?」
「縮んだだけではないぞ! 鏡を見てみよ!」
オルコット伯爵がジェマに鏡を勧める。
「えっ?! 若返ってます。これは15~6歳の頃の私」
みんな驚いているが、ジェマは泣いて喜んでいる。これで結婚も夢じゃないだろう。
「それは本人が望む年齢まで若返り、そして年を取らなくなる薬だ。もうジェマはそれ以上は老けない」
「……あ、ありがとうございます! もう行き遅れの年増だなんてバカにされません!」
ジェマは口説いてきた男を振ると、捨て台詞に年増を相手してくれる男は他にいないとバカにされていたらしい。
だから嬉しそうにお尻を撫でるオレに、とても感謝していると言っていた。お尻を撫でて感謝されるのも変だが。
人間は上位の存在に優しくされると、必要以上に感激するからな。芸能人にサインを貰った時とか。
「そういう薬だから、好きなタイミングで飲むといい。オレを癒してくれた美しさを、死ぬまで保てる」
「凄い薬を戴いてしまいましたわ。国宝にします」
いや使え。王女なんだから、若くて損はないしな。
「ソータ様は何歳くらいが好みですか?」
レイシアが嬉しそうに薬を眺めて尋ねる。
「美人で性格が悪くなければ好みだぞ」
お尻を撫でるにしても、性格が悪いと撫でても面白くない。
喜ぶみんなを見ながら、いつ出て行くか考えていた。
この国では情報が入らなかったし、別の国に捜しに行かないとな。別れはつらいが。
「ごしじんさまは、オッパイが中くらいの女の人が好きそうですにゃ! お尻は大き過ぎず小さ過ぎず、ムッチリが好きですにゃ!」
そうだけど何言ってんだ!
「大きいのも小さいのも、それぞれの良さがある!」
そこを勘違いして貰っては困るな。
オレの主張に女の子たちは笑い出した。別に冗談ではなく本音なんだが。
その日はレイシアを置いていってくれたので、せっかくだしお尻を撫でる。
永遠の若さを手に入れてご機嫌な女の子たちは、いつも以上によく働いてくれた。
それと、冒険者ギルドが試験を免除してくれて、オリハルコンランクまで上げてくれた。
高ランク冒険者の権利と義務はあるけど、強制されるような義務はない。
高ランク冒険者はこうあるべき、という努力目標みたいな感じだ。
お礼に女神のダンジョンの詳細を伝えた。オレ以外の冒険者のレベルも簡単に教える。
魔物のレベルを教えたら、最高ランクの冒険者でさえ地下12~13階くらいが限界だと知って、ショックを受けていた。
魔物は倒せるだろうけど、連戦となればそのくらいが限界のはずだ。
さらに翌日、オレの神殿の巫女として、王女とメイドたちが務めることになった。
祝いにレイシアに聞き耳頭巾を、王女たちにステータスチェッカーを贈った。これでオレの神殿に行けばレベルを教えて貰える。
神殿の護衛は神聖騎士団がするらしい。
帰ってきてから聞いたけど、神聖騎士団は汚れなき乙女で結成された、オレに仕える騎士団だそうだ。
神に仕えるのだからと入団基準を厳しくしたらしい。全員がレベル20以上だった。1番高い人でレベルで41だ。
騎士の仕事で忙しいから、恋人も作らずヤケになって修行ばかりしていたらしい。
聞けば聞くほど残念な騎士団だった。
汚れある乙女でいいから、普通の女性騎士団にすればよかったのにな。
王女たちをしっかり守ってあげて欲しい。神でもないオレの神殿の巫女をやるはめになったし、幸せになってくれよ。
ダンジョンを出てから装備品を外していたレオが、長靴を履いて歩いていたら、その像も神殿に設置されることになって、オレたちはモデルの仕事が忙しくなった。
せっかくだし像の完成までいることにした。
5日ほどで完成したので見に行くと、黄金の神像になっていた。さすがに全部が黄金ではないだろうが。
10mくらいのオレの神像の横に、1mくらいのレオの勇ましい銅像があった。
「嬉しいですにゃ! ボクとごしじんさまが仲良しの像ですにゃ~!」
2本足で走り回るレオは可愛いな。
神殿が完成したら祀られるらしいので、見る前に国を出よう。めっちゃデカかったから、人が集まりそうな神殿で恥ずかしいし、顔が有名になる前に逃げる。
オレは深夜に書き置きを残して、ペガサスで王都を後にした。
まず目指すのは港町のデニズだ。船に乗って隣の大陸に行くつもりだ。




