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ファンタジーを現実に  作者: 王国民
ルーキス王国編
39/207

女神のダンジョン その3

 本日1話目です。

 レオの装備品は、すべてにステータスアップの効果がある。

 器用のステータスが高いせいか、レオの剣技はかなり上達しやすい。

 本人もカッコいい装備品にテンションが上がって、寝る間も惜しんで訓練した。


 オレも順調にレベルアップして、地下30階まで到達した。

 敵のレベルは140~150くらいになって、かなり進むのが遅くなる。


 安全地帯を拠点にして、レベルアップをしながらオレたちは剣の修行もした。

 さすがに魔物のほうがステータスが高い場合が多く、レベルだけでは厳しいからだ。


 同じレベルでも人間よりステータスが高い傾向にあるが、極端な得意不得意がある。

 筋力は凄いのに敏捷は低いとか、器用が低いとか様々だ。


「にゃにゃにゃにゃにゃあ!」


 レオの連続攻撃を座ったまま受ける。

 身長が違い過ぎるので、座ったままでないと剣の修行が基本から外れてしまう。

 まずは基本をしっかりやってから、小さな体を活かした戦い方を覚えればいい。


「ぜんぜんダメにゃ。こんにゃのじゃ役立たずの飼い猫にゃ」


 飼い猫は飼い主を癒すのが仕事なんじゃないのか?

 レオの中では役立たずなんだろうか? オレとしては可愛いだけでも十分なんだけど。

 それにレオは高速で動き回るだけでも、相手は翻弄されるから助かるしな。


「まだまだいくにゃ!」


 木剣を振り回し、マントを翻し、レオは懸命に修行する。

 それは、木剣が壊れるまで続いた。つい力が入ったらしい。


「はぁ、はぁ、はぁ、ごしじんさまは無敵にゃ」


 息を乱しているレオを抱っこして、今日は終わりにする。

 電話ボックス8つ分の大きさのシャワー室を出して魔力を充填した。


「やっぱりお湯はいいにゃあ~」


「変な猫だな。濡れるのを嫌う動物は多いのに」


「ボクはシティーボーイだから、綺麗好きにゃ」


 綺麗にしておくのはいいことだな。

 女の子たちもよく抱っこするし、服を汚してしまうのは忍びない。


 無限のボディソープとシャンプーとリンスで全身を綺麗にした。

 これもオレが作った物で、魔力を込めれば無限に使える。


 このダンジョンをクリアしたら、大きい屋敷を作り出そう。

 収納バッグも収納量を増やせば余裕で屋敷だって入るだろうし。


 それと、時間停止機能の付いた収納バッグも作らないとな。

 収納量は減るけど、魔物の素材とかで腐りそうな物は捨ててたしな。勿体ない。

 MPは3000を超えるだろうし、魔力だって上がるんだから、たぶん作れるはずだ。



 十分な休養を取ったら、魔物を倒しに行く。

 そんな毎日を繰り返し、レベルが十分だと判断したので、ボスモンスターを退治しに行った。


 ボスモンスター以外は、危なげなく倒せるようになっているので、ボスも苦戦するだろうけど倒せる自信はある。


 行く手を阻む魔物たちの部屋を抜けて、ボスの部屋の通路に到着した。

 ボス部屋はいつもより広く、先が見えない広さだ。たぶん800mくらいかな?


 いままでの経験から察するに、部屋の中央辺りにボスモンスターがいるはずだ。

 レオを置いてゆっくり進んで行く。岩の塊のように見えたのは、ドラゴンだったようだ。

 黄色とか黄土色っぽいので判りにくい。20mくらいの体に、10mくらいの尻尾。

 四足歩行で翼はないようだから、グレートドラゴンだな。


 気付かれたようなので通路まで走る。

 かなり走るのが速いようだ。オレのほうが軽いぶん速いけど、同じサイズならドラゴンのほうが速いな。


 通路まで戻り、ドラゴンから一時退避する。

 ステータスチェッカーで見ると、ちょっと戦うのを考え直したくなった。


 レベル165 グレートドラゴン

 HP 62791 MP    0

 筋力  2228 体力 1731

 敏捷   389 器用  216

 魔力     0 魔防  893


 さすがに厳しいな。

 1度斬り付けて逃げるが、ダメージは40くらいしかない。

 何回斬り付けなきゃならないんだよ。オリハルコンの剣なのに。

 伝説の剣とかじゃないけどさ、それはないだろう? オレの愛剣なのに。


 ドラゴンの攻撃力じゃ、オレなんか一撃耐えられるかどうかだし。レオは確実に死ぬな。

 通路で考えていると、ドラゴンがのそのそ中央に戻る。

 部屋を出ると襲って来ないが、ダメージも回復するみたいだ。


 一撃離脱戦法はダメか。

 この作戦が可能だったら、無傷で倒すことだってできるのに。死ぬほど神経がすり減るだろうけどな。


「あれはやめたほうがいいにゃ」


「いや、やる。さっき部屋に入った時に見たんだが、ここで終わりみたいだしな。倒せばオレが1番乗りだ」


 神話の力があればドラゴンだって倒せる。


「とりあえず万全の状態にするために、今日は通路で寝るぞ」


「ここに来るまで疲れてるにゃ。見張りはボクがやるにゃ」


「頼むな」


 ここは安全だけど、念のために頼んだ。

 ぐっすり眠って体力とMPを回復させたら準備運動もする。


「よし、行ってくる」


「危にゃくにゃったら逃げて来るにゃ。ボクの力じゃ援護もできにゃい……」


 攻撃するだけ無駄だろうな。体格もパワーも違い過ぎる。


 オレは走りながら空想魔法を使う。


「神器生成! ミョルニル!」


 オレの右手に雷神トールのハンマーが現れる。

 このハンマーは壊れず、大抵の敵を一撃で倒してきた神話がある。

 一撃で倒せなかったのは、ヨルムンガンドくらいだ。

 大きさも自由自在で、投げても外れないうえに、トールの戦車を引くヤギを生き返らせたりもできる。


 オレが出したのは、そこまでの威力はないし、ヤギを生き返らせたりする機能も省いて節約している。

 でも大きさはある程度変えられるし、的を外さない機能は付いている。


 ドラゴンも突進してきたので、オレはミョルニルを3mくらいの大きさにして投げた。


「くらえ!」


 突進してくるドラゴンの額に命中して、そこそこのダメージを与えて戻る。

 怯んだドラゴンを滅多打ちするが、そのまま仕留められず、尻尾で反撃された。


 地面に仰向けに倒れ込み、尻尾をやり過ごすとすぐに跳び起きた。

 そして横面をミョルニルで殴り付ける。ダメージは1000前後だが、オリハルコンの剣で斬るより圧倒的だ。


 炎のブレスを必死で回避して、ミョルニルを叩き付ける。

 巨大なドラゴンが、殴られるたびに苦痛の呻き声を上げる。

 生き物じゃないのに悲鳴を上げるのは、女神の試練のうちだ。

 哀れな悲鳴を上げても、構うことなく攻撃できる覚悟を身に付けるためらしい。


 少しだけ考え事をした瞬間に、ドラゴンの尻尾がオレに当たった。

 悲鳴を上げていても、実際には振りだった。怯むわけないんだから、反撃されてもおかしくない。うっかりしてたな。


 尻尾に跳ね飛ばされながら、オレは次の武器を出した。


「神器……生成! 如意金箍棒(にょいきんこぼう)!」


 これは斉天大聖(せいてんたいせい)孫悟空の武器で、重さが8tもある。

 壁を利用して如意棒を伸ばす。オレを噛み砕こうと、大口を開けて突進していたドラゴンを壁まで下がらせる。


 口に如意棒がはまり、ダンジョンの壁に挟まれてしまったドラゴンは、身動きが取れない。

 あとはミョルニルで殴り続けるだけだが、尻尾が激しく動いている。


 投げれば安全だけど、投げて戻すなんてやってる時間がない。

 ミョルニルはもう1分ちょっとで消える。ミョルニル以上の武器は、ゼウスの雷霆(ケラウノス)くらいだけど、雷撃を撃つMPが足りない。


「神器生成! ゲイ・ボルグ!」


 クー・フーリンの槍で、突き刺すと穂先が棘のように破裂してズタズタにする。

 ゲイ・ボルグを投げ付け、尻尾を動かなくしたあと、ミョルニルを振りかぶった。


 ミョルニルが消える頃には、ドラゴンも魔力となって消えた。

 さすがにMPがカラだ。ミョルニルが消えるのもギリギリだったし、如意棒は重くて振り回せない。

 ゲイ・ボルグじゃ威力が足りないだろうし、本当に危なかった。


「ごしじんさま~!」


 走ってくるレオを見ながら、オレは床に座り込んだ。

 レベル160 ソータ・アイサカ

 HP 1738 MP 3207

 筋力  600 体力  586

 敏捷  517 器用  523

 魔力  818 魔防  705


 レベル105 レオ

 HP 317 MP   0

 筋力 153 体力 366

 敏捷 432 器用 278

 魔力   0 魔防 171

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