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ファンタジーを現実に  作者: 王国民
ルーキス王国編
31/207

オルコット伯爵からの連絡

 本日3話目です。

 お茶会の日から、レイシアの友だちがよく来るようになった。

 オレが何か面白い神器を出すのを期待してのことだろう。

 仕方がないので、魔力充填式のテレビゲームを出してあげた。

 娯楽がなくて退屈だと思っていたので、格闘ゲームとレースゲームとパズルゲームを作ってみた。

 シナリオのあるゲームは、複雑すぎて空想できなかった。

 ギリギリシューティングゲームはできた。ゾンビを撃つやつとか。短いシナリオだと大丈夫だった。


 みんな夢中になってプレイしている。何日も泊まって遊んでいるので、オレは護衛をレオに任せてレベル上げに向かった。

 1週間くらいの間、毎日のようにレベル上げに行ったので、少し上がった。

 MPに劇的な変化はないので、神剣とかは作れていない。


 遊び過ぎてレイシアが怒られたが、1日5時間は勉強することでゲームを許された。

 シンシアちゃんは勉強するような歳ではないので、オレの膝に座ってゲームしていた。

 姉が起こってお尻ペンペンされてからは、寝転がってゲームをした。お尻が痛いらしい。


 そんなふうにダラダラ過ごしていたら、王都に向かったオルコット伯爵から手紙が届いたらしい。

 領主代理のエイブラム君から呼ばれて、レイシアと連れ立って執務室へ行く。


「呼び立てして申し訳ない。父上からの手紙が来たので内容を伝えておこうと思いまして」


「オレが聞いてもいいんですか?」


「構わないです。ソータ殿にも関係がある話なので」


 エイトン伯爵の処刑が決まったかな。

 家族まで連座で処刑されるかもしれん。


「お父様のお仕事は終わったんですか?」


「いいや、まだだ。なんでも王都では嵐がまだ吹き続けているらしく、とても都市として機能しないらしい。復興に送った兵士からも聞いていたが、大げさでもなかったようだ。問題が山積みで、調べるどころではないらしい」


 魔神のせいで異常気象って聞いたしな。それでも嵐が吹き続けるって凄いな。魔神の力だとしたら勝てるか判らんぞ。


 これは本格的にレベル上げをしたほうがいいかもしれない。今のオレでは勝てる気がしないな。

 冒険者ギルドで聞いた、女神が用意したという、試練の迷宮に行ったほうがいいかもな。


 試練の迷宮は素材とかは手に入らないが、階層が下になるにつれて、魔物が強くなるらしい。

 突破して行った者が、女神と一緒に魔神と戦ったらしい。


 それで魔神を封印した女神は、神界に帰っていった。

 封印が解けそうなのを察知すると、女神がやってきて魔神を弱らせて再封印したらしい。


 でも狡猾な魔神が女神を欺いた。

 ずっと弱ったまま封印されていると見せ掛けて、密かに力を蓄えていたそうだ。

 そして封印されたまま全ての力を使い、女神の干渉を防ぐ結界を張った。


 それ以降は女神の降臨はなく、そろそろ魔神も力を回復させて、復活を画策している。

 封印を破るための力を撒き散らして、世界中で災害が起きているそうだ。


 とにかく女神の創った迷宮だ。

 下に行けば行くほどレベルの高い魔物がいるはずだ。

 最下層まで行ければ、レベル100を突破できるかもしれない。

 上限が99でなければ、100以上になることはできるはずだ。


 女神の創った迷宮は世界中にいくつかあるらしいけど、各国の王都のある場所に多いらしい。

 迷宮がある国ならば、迷宮のある場所に王都を作るよな、そりゃ。


「とにかく嵐が収まらないと、復興もできない状況らしい。餓死者も出ているそうだ。王都周辺の穀倉地帯も全滅したらしい。可能な限り食料を送るように指示がきた」


 かなりやばいようだな。

 オレが嵐の神の力で操ったら、嵐が収まるかもしれない。試してみるか。


「それならオレが行って神器を貸します。食料だけはなんとかなります」


 嵐は判らない。魔神の力だしな。


「僕はここを離れられませんから、レイシアが部隊を連れてくるように書かれています」


 他の貴族の領地を通るので、貴族家に連なる者が説明しないと、足止めをくらうらしい。

 顔見知りが指揮する部隊なら、王都を救うために行くわけだし、調べる必要がなくなるそうだ。


 軍が動くわけだしな。

 さすがに、どうぞどうぞとはいかない。

 貴族家の人間がいないと、様々な手続きに時間を取られてしまう。


 そんなわけで、レイシアと一緒に食料を持って行くことになった。

 食料を準備するのに3日掛かるそうなので、暇を貰って修行に出ることにした。

 3日でも1レベルくらいは上げられるかもしれないし、魔神の力を鎮めないといけない。護衛はレオと騎士に任せよう。


「王都の人たち……大丈夫でしょうか?」


 執務室を出ると、レイシアが不安そうに呟く。


「大丈夫かは判らないけど、食料だけはオレの神器でなんとかなる」


「……そうですよね! あの神器なら、みんな美味しい物が食べられます!」


 少なくとも餓死者は防げるようになる。

 嵐を止められないなら、王都は捨てるしかないかもな。


 3日間、自分よりレベルの高い魔物ばかりを相手して、何回か死に掛けた。

 いざという時の空想転化のおかげで、冷静に戦えるのが強みだな。

 なんとか空想転化せずに、格上の魔物から生き延びた。


 あまり食料に余裕はなかったらしい。集まった食料は2000人分だそうだ。

 ないよりはマシといったところか。

 神器が1度に出せるのは4皿分なので、王都の人口300万人を食わせるのは大変だ。数日に1回くらいの頻度になるだろう。


「レイシア、しっかりやるんだぞ?」


「はい、お兄様。わたくしも伯爵家の一員として恥じないように頑張りますね!」


 抱き合ってお互いの頬に口付けをする。

 父親が出掛ける時もしてたし、家族の挨拶なんだろう。


「ソータ殿も国と父上をよろしくお願いします」


 オレも抱き締めるんかい!

 エイブラム君の中で、妹の婚約者とかになってないだろうな。

 なんか怪しいし王都も心配なので、すぐに出発する。


 周りを騎士と兵士10人に囲まれながら、オルコット伯爵家の家紋の(えが)かれた馬車は進む。

 その後を荷駄が数十ついてくる。これは到着に時間が掛かりそうだ。


 2つの領地を越えて、宝石の産地として有名なコーマック侯爵領に入って数時間。ダイアウルフというゴーレムに襲われた。


 ダイアウルフはダイアモンドの体を持つゴーレムで、魔術で産み出されるらしいが、今回のは魔神の力で産まれたんだろう。

 硬いうえに素早く、1体だけでも騎士たちには荷が重い。


「オレがやるからレイシア嬢の護衛を代わってください」


 騎士たちが下がれるように、ダイアウルフに斬り掛かる。

 その隙に騎士たちが下がり、レイシアの周りを固めた。

 視界が霞むような速度で動き、簡単にダイアウルフを斬り裂いていく。


 飛び掛かるダイアウルフを水平に斬り、着地したダイアウルフの上半分がズレて落ちた。

 オレの2本の剣が振るわれるたびに、ズタズタになっていった。


「強いです! ソータ様~!」


 ピョンピョンしながら応援するレイシア。力が抜けた隙にレイシアのほうに向かった。

 しかしレオが飛び掛かり、オリハルコンの爪で引き裂いた。


「レオ様も強い!」


 レイシアの声を聞きながら、ダイアウルフを全滅させた。

 すぐにダイアウルフを回収してから馬車に戻った。


「凄いな、ソータ様の剣技」


「まるで竜巻みたいに蹴散らしてたな」


 騎士がオレの噂をしているが、急ぐし恥ずかしいから馬車に乗った。

 車内でレイシアにいろいろ聞かれながら、王都へ急いだ。


 王都に近付くにつれて風が強くなり、王家の直轄領に入ると、爪ほどの小石が風で飛んできた。


 王都に到着した時は、馬車のドアを開けた時に、ドアが吹っ飛んでいった。

 やたらと長い大通りを行き、城へとたどり着いた。


 人がまったくいないし、家のドアや屋根が飛んだり、飛んできた看板で窓が割れたりしていたな。

 人は家の中で、食料の配給だけを頼りに震えているんだろう。

 オルコット伯爵に相談して、神器を有効利用して貰えるように、王に掛け合って貰おう。

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