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ファンタジーを現実に  作者: 王国民
ルーキス王国編
11/207

やっぱり待ち伏せしてる奴

 本日3話目です。

 何ヵ所か回るが、レオの鼻があるので安心して近付ける。

 他にも採取する人がいるんだろう。数が少なくて、なかなか集まらない。 


 多めに採取しても、1つのパーティーの買い取り上限は決まっているし、1日経つと品質が下がるから、稼ぎたいなら毎日来るしかない。

 そのせいで薬草採取ポイントに、あまり残ってなくて、何ヵ所も回るはめになる。


 ちなみに、薬草採取は仲間のいない新人が請けることが多い仕事だ。

 新人は武器もない場合がほとんどだし、パーティーを組もうにも、できる仕事は限られているから、組む利点が少ない。


 村や街の友だちと組む場合も、やっぱりコツコツ薬草で稼ぐために1人のほうがいいし、武器があるなら5~6人で組んで討伐依頼を請けるからだ。


 乱獲を防ぐための買い取り上限なので、パーティー向きではないのだから、魔物のほうも狙い目なんだろう。


「ごしじんさま。草むらの中からコボルトの匂いがするにゃ」


 やっぱりいたか。

 人間の肉が好物で、連携する知能があり、なおかつ集団で行動するので確実に人間が食えるんだから、そりゃコボルトが待ち伏せるよ。


 隠れているコボルトに気付かないで、採取ポイントに入ったら、あっという間に囲まれてエサになるんだな。

 気付いても新人だと逃げられないだろうし、結果は同じだな。


「ボクがコボルトを追い立てるにゃ。ごしじんさまは止めを刺してくださいにゃん」


「レオのスピードなら大丈夫だと思うけど、十分に気を付けるんだぞ?」


「はいにゃ」


 レオはチーターみたいな速度で走り、草むらに突入していった。


「ギャン!」

「ギャオ!」

「グオォン!」


 次々と草むらから尻尾を押さえて飛び出してくるコボルト。

 オレはすぐに近付いて首を斬り裂く。陣形がバラバラになっているので、囲まれることもなく倒していける。


 遠吠えで仲間に合図を出すが、増援が来るまでに倒せそうだ。

 宮本武蔵の知識が少しだけあるので、かなり効率よく倒せた。


 そう言えば、オレは宮本武蔵は知ってるし、二天一流の名前も知ってるが、詳しい流儀なんか知らないし、五輪書なんか見たこともないのに、なんで知識があるんだ。


 変身したって元々ない知識が手に入るのは変な気がするな。

 ひょっとしたら空想転化は、オレの空想した通りの能力を使えるのか?

 オレは宮本武蔵が剣聖で、凄く強いというイメージだし。

 オレの持つイメージ通りの能力を持った神や英雄になれるのか?


 知識があれば、そのイメージは強くなるだろうけど、他の空想ができないから、知識通りの力しか発揮できないのかも。

 知識がありすぎると、空想の力よりも、本に書いてある力しか使えないかもな。

 宮本武蔵に詳しくなくてよかったな。おかげでオレは剣の知識が手に入った。


 空想魔法について、少しだけ理解を深めることができて、ラッキーだったな。

 増援のコボルトが来たようだし、考えるのはここまでにして、剣の修行を兼ねた討伐だ。


 体がイメージ通りには動かないけど、剣を振る時の腰のひねりや、踏み込みのタイミング、斬りやすい場所なんかが解る。

 よく知らない宮本武蔵に変身したのは、正解だったな。

 ただ剣が当たらないインプに当てようと思い付いた剣の達人が、宮本武蔵だっただけなんだが。


 それでも知識だけでは上手く動けず、少しずつ攻撃を受けていた。

 オレは上手くできなくても、イメージ通りに剣を振ることを繰り返して、体に動きを馴染ませていった。


 HPが50くらい減ってるな。

 それほど重傷ではないので心配いらないと思うが、怪我はそのままにして解毒ポーションを作って飲んだ。

 傷やMPの回復だと副作用が怖いが、解毒なら頻繁に飲んでも大丈夫らしい。


 なんにしても、まだ修行不足だな。

 レベル上げよりも先に技術を物にしたほうがよさそうだ。

 まだ生きていたコボルトに止めを刺して回っていたレオが、オレの所に戻ってきた。


「ごしじんさま。終わりましたにゃ。傷は大丈夫ですかにゃ?」


「大丈夫だ。それより、コボルトは常時討伐依頼が出てる。毛皮が売れるらしいけど、耳だけ切り取っていこう」


 手分けして耳を集める。

 2つで1匹分の討伐報酬が出る。集め終わると57匹分だった。

 ゴブリン、コボルト、オークはネズミみたいな速度で殖えていくらしいから、この数も納得だ。


 ゴブリンは右の耳、オークは鼻が討伐の証拠になる。

 コボルトの場合は、左右の耳の形がほぼ同じだから、2つで1組だ。


「レオ、お疲れ。それにしても57匹も倒してレベルが1しか上がらないなんてな」


「もっと強いのを狙わないとダメにゃ」


 戦闘経験にはなるからいいんだけど、数が多くてやっかいだから、強いの5匹倒すほうがいいかもな。


 装備を整えるまで街で修行して、装備を全部作り終えたら戦いに行くかな。

 そう決めたオレは、急いで薬草を集めると、街に帰った。

 3回待ち伏せに遭い、レベルが1上がったからラッキーなのかアンラッキーなのか、複雑な思いを感じながらの帰還だった。



 門番に挨拶をして街に入ると、詰め所から見覚えがある兵士が出てきた。


「くそっ! あの変態め!」


「どんな体力してるんだ!」


 変態で思い出した。

 街に入る前に変態を追い掛けていた兵士の2人だな。逃げられたか。やるな変態。


 少しほっこりして冒険者ギルドに行くと、酔った冒険者が近寄ってきた。


「ボウズ。また血塗れじゃないか」


「ちょっとコボルトに待ち伏せされて」


「なんだって!」


 事情とオレの予想を話すと、薬草採取を新人に勧めるのはやめたほうがいいと拡がり、貼り紙までされた。

 オレは受付でコボルトの耳と薬草を出すと、職員に驚かれた。


 イスに座ってレオを撫でて時間を潰し、呼ばれたので受付に行く。


「お待たせいたしました。コボルト91匹分と薬草で10万1000リラです」


 コボルト1匹で1000リラだ。

 掲示板には税金とかを引いた額が掲示されてるから、計算ができない冒険者でも安心だ。


 こういった常時討伐依頼は、国からの依頼なので、そもそも税金を引いた額が冒険者ギルドに渡されるらしい。

 そこからギルドが仲介料を引いて掲示板に貼られている。


「それと、戦闘能力が高いようなので、ブロンズランクになります」


 もう上がったな。リトルドラゴンの素材も、商業ギルドの人に渡したら、冒険者ランクを上げて貰えると言ってたしな。

 ゴールドランクから試験があるようだし、プラチナランクまでは強さが優先なんだな。


「ありがとうございます。怪我の治療ってどこでやってます?」


「病院で普通の治療ができますけど、教会に行けば回復魔術で治して貰えますよ。少し高いですけど」


 病院だと薬を塗られてから、包帯を巻いたりする普通の治療と、あとは病気の治療もしているらしい。


 教会だと回復魔術で回復して貰えるので、すぐに回復するらしい。

 ポーションは本人の自然治癒力を無理やり引き出すのに対して、回復魔術は治癒力を与えるらしいので副作用がないらしい。


 オレも覚えられるなら覚えたいな。とりあえず病院の場所を確認してから、教会に行って治して貰おう。

 そこでお布施でもして教えて貰うか、図書館か本屋で魔術書を手に入れるかな。


 まず病院に行く途中で、本屋を見掛けたので寄り道してしまった。

 回復魔術の本を10万で買ったので、今日の稼ぎは消えたな。


 パラパラとページを捲りながら歩く。人が少ないからぶつかる心配も少ない。

 病院の場所を確認すると、けっこう小さく、病院というより診療所という感じだ。


 次は教会まで行く。

 孤児院も兼ねてるのか、子供たちの声が聞こえる。


「ごしじんさま、笑顔になってますにゃ」


 ぽつりと呟いたレオの声で、治療に来たことを思い出して、教会に入っていった。

 ステータスです。


 レベル17 ソータ・アイサカ

 HP 168 MP 360

 筋力  81 体力  89

 敏捷  61 器用  72

 魔力 108 魔防  71


 レベル16 レオ

 HP  48 MP  0

 筋力  24 体力 92

 敏捷 126 器用 69

 魔力   0 魔防 30


 名前はギルドの登録の時に変化しました。

 HPは怪我が治らないと、少しずつしか回復しません。

 ステータスの伸びは、修行のおかげです。

 特に器用の伸びは、剣の知識が手に入り、意識して修行した結果です。

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