異世界に呼ばれました
新作です。よろしくお願いします。
今日は数時間置きに4話投稿します。
毎日0時に投稿するので、ぜひ見てください。
チャイムの音でオレの眠気は吹き飛んだ。ようやく昼ご飯の時間だ。
「想ちゃん、お弁当食べよう? じゃなかった……ありがたく思いなさい? え~と、この私がわざわざ作ってあげたんだからね! ……で、いいんだっけ?」
このツンデレ下手は高岡真由。オレの幼馴染みで恋人だ。毎日弁当を作ってくれる、ありがたい女の子だ。
中学生の時に金髪ツインテールにはツンデレが似合うと言ったら、前髪を切り揃え、金髪に染めてツインテールにしてしまった残念な頭の持ち主でもある。
つり目なのを気にしていたので、つり目の可愛いアニメキャラを見せて、お前のつり目も似てて可愛いから気にするなと言ったら、オレの好みを勘違いしたらしく、それ以来そのキャラと同じ金髪ツインテールにしている。
オレは特に好みなんてなく、可愛い髪型ならいいんじゃないの? と思っているので、別にツインテールにしてもしなくても、真由のことは好きである。
「無理にツンデレにしなくてもいいぞ? 気が付いた時にやるくらいで」
別にツンデレは嫌いじゃないが、ツンデレが特別に好きというわけでもない。しかし、勘違いとはいえ真由がオレのために頑張っているので、言い出せないのだ。
「恋人だもん! 喜ばせてあげたくなるんだよ!」
この嬉しそうな顔を見ると、どうしても言えない。そんなところも可愛いと思うからかもしれないが。
「想太。天気もいいし、屋上で食おうぜ」
オレの肩に手を置いて、後ろから190cmの巨漢が声を掛けてきた。
オレの4人の幼馴染みの1人、英田耕平だ。柔道部に入っていて、その図体で活躍している。
柔道一筋なのでガキの頃から坊主頭にしてるし、女の子が苦手な男だ。
真面目で義理堅いので、信頼できるナイスガイだが、まったくモテない。見る目のない女の子ばかりだ。
「ああ。剛と千夏も誘おう」
残りの幼馴染みだ。
七瀬剛、158cmと小柄で色白の美少年だが、ガチホモなので女の子にはモテない。
耕平と同じ柔道部に所属しているが、別に柔道が好きなわけでも強いわけでもない。
ただ筋骨隆々の男とベタベタできるという理由で入部した。
そんなアホな理由で入部したわりに、高校3年までしっかり付いていくあたり、気弱に見えて根性はある。
「僕がどうかした? 想太君。そんなに見つめられると照れちゃうね」
やたらと無駄に触ってくるのが玉に傷だ。
「剛! 想太が固まってるでしょ? ベタベタしないの!」
こいつは如月千夏。剣道部に所属している運動神経がいい女の子。こっちは本物のツンデレ気味な奴だ。
短く切ろうか悩んでいたが、女らしさがなくなると嫌なので、肩くらいまでの茶髪を、短めのポニーテールにしている。
明らかにオレに対する態度が違うので、千夏の気持ちは判っていたが、オレには真由という恋人がいるので、告白されない限りは気づかないふりをするつもりだ。
何が正解かは判らないが、千夏もこの幼馴染み連中と仲良しなので、接しにくくなるのは嫌だろう。本人も隠している。
「千夏ちゃんは恐いな~。男同士なんだし想太君に触ってもいいじゃない」
ビクビクしながらオレから離れて、耕平の背中に隠れる。
「よくないわよ! 想太はノーマルなんだからね!」
「俺もノーマルなんだけどな……」
耕平にベタベタしているぶんにはスルーしている。これでバレないと思うのはなぜなんだ?
それより腹が減ってきたから、喧嘩はそのへんにしてご飯にしたい。
「とにかく昼ご飯だ。放課後の部活で空腹は困る」
「今日は部活はないぜ?」
「えっ? なんでだ?」
耕平に聞き返すと、体育館の壁が老朽化で壊れそうなので、オレのバスケ部も柔道部も剣道部も休みらしい。
外でできる部活は普通にやるようだが、オレたちは体育館の設備がないと無理だな。真由もバスケ部のマネージャーなので、全員部活が休みのようだ。
「それじゃあ、みんなで遊びに行くか? 最近は時間が合わないし」
オレの提案にみんな賛成したので、屋上で弁当を食べながら行き先を話し合った。
放課後、家で私服に着替えてから合流する。
真由も千夏の気持ちを知っているので、人前でベタベタしたりはしない。
恋人同士なのは隠してはいないが、わざわざ傷付けるようなことはしない子だ。楽しく遊ぶどころじゃなくなる。ギスギスするのは嫌いだ。
「ねえねえ想ちゃん。お洋服が見たいんだけど、いい? 退屈じゃない?」
確かに女の子の買い物に興味はないが、それも男の労働のうちだと思っているからかまわない。
「正直に言えば退屈だけど、恋愛には歩みよりが大事だと学んだからな。真由もオレのためにいろいろしてくれるんだし、気にしなくていいぞ。何時間でも待つつもりだ」
「ありがとう! ……何時間も掛けないわよ! のほうがいいかな?」
「普通とツンデレの両方やってるんだから大丈夫だって」
「そうだね! 2度おいしいってことだよね!」
やはり素直すぎるな。
「あたしも服なんて判らないなぁ。真由、可愛いの選んで」
「千夏ちゃんに似合うのは、超ミニスカートだね! 脚が綺麗だから頑張って穿こうね!」
股下何cmだ?
「なあ、想太。あれじゃ下着が見えると思うぜ。見てられねえよ」
「オレは自分の心に従って見るぞ?」
「あははっ。想太君はオープンスケベだね。男らしくてカッコいいよ」
剛は興味ないらしく、オレと耕平だけを見てベタベタしている。
「こらっ! 男共! こんな短いの穿くわけないでしょ! 真由も下着が見えないやつにしてよ!」
「せっかく脚が綺麗なのに……もったいないな~」
ちなみに2人の服装は、真由がお嬢様チックな白いワンピースに、半袖の水色カーディガン。
千夏はショートパンツに、半袖パーカーだ。見えてる脚はあの超ミニスカートと変わらん。
「うんうん。2人とも尻から太もものラインが堪らんな」
2人の尻を撫でておく。
「想ちゃんが嬉しいならよかったよ~」
「サラッとお尻を撫でるな! 比べるように撫でるのが余計にむかつく!」
赤くなって軽く小突いてくる千夏の攻撃を避けると、耕平を盾にする。
「俺を巻き込むなよ! 千夏は剣道やってるから意外に痛いんだぞ! いつも俺を盾にするな!」
頑丈なくせに女の子の攻撃に怯えるなよ。たんに女の子に触られると緊張するだけかもしれんが。
あまり騒ぐのも迷惑なので、みんなで選んで買った。男の好みの服を着てくれる女の子はいい子だ。
当然の如く荷物は耕平に持たせる。
筋トレが趣味の耕平は、荷物を上下に動かしながら歩いている。
オレもこのあと部屋で飲むジュース類を鞄に入れてるので、筋トレにはなるだろう。
家に向かって歩いていると、物影に捨て猫を見付けた。
位置的に気付いているのはオレだけのようで、せっかくだから拾って帰ろう。うちは両親とも動物好きだし。
みんなから離れて捨て猫を抱っこする。
すぐにみんなの所に戻ろうと歩き出したら、オレの足下に魔法陣が現れた。
「は?」
「想ちゃん! 動けない!」
真由たち4人の足下にも、大きな魔法陣が光を放っていた。
「想太! こっちに!」
「オレも足が動かないぞ!」
オレに向かって手を伸ばす耕平。
真由と千夏は2人で抱き合って怯えている。
剛はオレに向かってお菓子の入った袋を投げてきた。その袋をキャッチした瞬間、みんなの姿が消えていた。
ここはどこだ? なんでいきなり森にいるんだ?
真由たちもいないし、流行りの異世界転移でもしたのかね? 神隠しみたいに別の場所に飛ばされたのか?
よく判らんが、ピンチなのはすぐに判ったな。あれはゴブリンだもんな。
ガサガサと草むらを分けて出てきたのは、緑色の体に醜悪な顔の有名な化け物だった。ヤバイな。