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私は鮮明な夢を見る
煌びやかなホールで沢山の人が集まる中、扉が音を立てて開く。
そこからは侯爵令嬢、もとい悪役令嬢のソフィア・レニアーナが現れた。
私はそれを客観的に見つめていた。
彼女は冷徹で氷の様に凍て付いた碧い瞳に黒色の長い髪、容姿は一つ一つの動作に気品が込められており、人形の様に綺麗に整っていた。
そんな彼女の前に五人の男と一人の可憐な少女が颯爽と現れた。
一人目は、王国騎士見習いリック・エスフォルド。
クリクリとした茶色の瞳に寝癖がついている茶髪。彼は元気が良く、犬の様な愛らしい表情から人気がある、好青年。
二人目は、猫の獣人で宮廷魔導師マーチス・アレセルド。
長い赤毛の髪に細めの翠の瞳。人を避け、暗い部屋を好む根暗。周りからはきみ悪がられているが実はツンデレ。
三人目は、公爵子息ヒース・ダティス。
第一王子の友人で宰相の次男。癖のない真っ赤な髪に金の瞳。生意気な口調だが密かに人を気遣ってくる。
四人目は、侯爵子息アルベルト・レニアーナ。
黒色の髪に碧い瞳。ソフィア・レニアーナの弟で、魔力が強いため、養子にされた。姉に虐められ、幼少は孤独な生活を過ごす。寂しさ故か色気のある容姿で女の人を誘惑する。
五人目は、レオンハルト王国の第二王子エドワード・レオンハルト。
白銀の髪に紫の瞳。ソフィア・レニアーナの婚約者で、誰にも優しく接するが本当は腹黒い。
そんな五人に囲まれている女性、平民のメアリー。
聖属性の魔法が使え、このヒロイン。
ああ、なんか見たことのある景色ね。何処だったかしら?
エドワードが一歩前に出て、ソフィアに蔑む様な目で喋りかけた。
「ソフィア・レニアーナ!私はお前との婚約を破棄させてもらうよ」
ソフィアは少し驚くも余裕の笑みを漏らし、お辞儀をしながら前を向く。
「あら、私の愛しい殿下。どうしたのでしょうか、私に何か不手際でも?」
これ聞いたことがある。何処で?いや、それよりもソフィアの事とてつもなく、毎日見ている気がするのは何故かしら。
エドワードはソフィアを嘲る様に笑った。
「お前の目は節穴かな?メアリーに散々酷いことをして置いてそれは無いんじゃないかな?」
二人を中心に緊迫した空間の中、他の四人の男性も話し出す。
「ソフィア様。あなたがメアリーに酷いことをしたのを沢山見た!僕が騎士の皆との関連の後、メアリーが差し入れをくれたりして来たのに、それに紅茶を振りかけたり!」
「俺も……沢山の証拠を集めた。これがその紙……」
「私達は昔からの友達だが、そんなもの関係ない。メアリーに平民というだけで突っかかったり、侮辱をしてたな。俺はその度にメアリーが可哀想で仕方がなかったよ」
「姉さん、僕はあれほどやめろと言ったよね?本当にバカだな」
そんな風に四人に言われたが其処まで気にする様子もない。そんな事よりもメアリーを忌々しそうに見て鼻を鳴らす。
「ふん、こんな平民の娘の何処がいいんのかしら……そうだわ。いっそのこと殺してしまいましょう!それが良いわ」
良い提案だと言わんばかりの様子で魔法を使おうとする。
しかし、魔法を使おうとしても発動するどころか魔力が集まらなかった。
「なっっ!」
「ソフィア……私が贈った腕輪付けてくれたんだね、嬉しいよ。これは魔封じの腕輪でね、私の血族以外外さない様になっている」
驚くソフィアにそう言ったのはエドワードだった。ヒースは見回りの騎士にソフィアを捕らえるように命じ、魔法を封じ込められたソフィアは成すすべもなく捕らえられた。
そんなソフィアを前にヒロインのメアリーが庇うように前に出た。
「ソフィア様を許してあげて!彼女は、きっとエドが好きで、こんな事をしたんだよ!」
「「「「「……」」」」」
勇気を絞り出して前へ出たメアリーにソフィアは冷たい視線を送りながら笑う。
「ねぇ、メアリー?」
「はい、なに?」
「これ以上余計なことしないでくれるかしら?」
「え……」
目を丸くするメアリーを見てため息をついた。
「私はあなたが嫌いよ、大っ嫌い。私の大好きなエドワード様を横取りするし、貴女には私の足りないものを持っている。腹立たしいわ。貴女が居なければ思い通りだったのに……」
「そんな……」
「メアリー、そんなにソフィアを庇いたいのかな?」
「エド……」
うろたえるメアリーに首をかしげながらエドワードが聞く。
「……人は過ちをいくつか犯すから、やり直させてあげたい」
「分かった。じゃあ私が死刑にはしないように取り計らう。連れて行け」
そうしてソフィアは牢獄に連れていかれ、メアリーはソフィアが何をされたか知らずに幸せに過ごすのでした。
えっ?何故ヒロインの最後が書かれていないかって?それは客観的な視点ではソフィアがどうなったかしか細かく見えないからよ。
何故かしらね……。
そんな疑問をする私に聞き慣れた声が答えて来た。
それは貴女が、私が、ソフィアだからよ。
そう、その声は私の声だった。




