子の日記
一月一日
今日は羊緋と兎雪と一緒に下界に降りて、江戸城の屋根の上でヤッホーをしたネ。
正直、何をしたかったのか分からなかったネ。
一月十日
今日は夜鳥と一緒に神蛇を虐めた。食物連鎖の中ではあたしは喰われる側だけど今日は違ったネ。
何かスカッとしたネ。
一月十一日
今日はあたしの同類のネズミ達と戯れたネ。途中から、猫斑が来て邪魔したけど、窮鼠猫を噛むっと言うやつで、撃退してやったネ。
一月十二日
今日は特に書くこと無しネ。
一月十三日
鹿威と霪馬が馬鹿やったネ。大奥の所に誤って入って、危うく捕まりそうにな
ったらしいネ。言葉通り馬鹿ネ。
一月十四日
また霪馬と鹿威が馬鹿やったらしいネ。
一月十五日
霪馬って馬鹿だよネ。
一月十六日
鹿威って馬鹿だよネ。
一月十七日
もう日記書くの面倒くさいネ。
一月十八日
今日から清の所行って、彼方のネズミの神と交流してくるネ
一月十九日
一月二十日
一月二十一日
マジありえねーネ。
一月二十二日
マジあの野郎ありえねーネ。
一月二十三日
マジで有り得ないんですけどネ。
一月二十四日
あの外交官マジでセクハラネ。
一月二十五日
死ね
一月二十六日
違ったネ。神は死んでも生き返るから……マジ消滅しろネ。
……………
……………
日記はここで終わっていた。
「ってオオオオイイィィイ!」
鹿威が日記を地面に叩きつけた。
「途中!途中からオレ達の悪口じゃねーかァア!しかもあの二日間の内に何があったァア!」
鹿威の横にいる霪馬は平常心を保っていたが、顔が鬼にも勝る形相であった。
「ちょっと、これは……何か」
「「腹が立つ日記だわ!」」
二柱してそう叫んだ。
グチグチと文句を言っている彼ら。
窓から風が入ってきた。その風は地面に叩きつけられたままの日記のページを四五枚めくった。
彼らは全く気づかなかったが、そのめくれたページには一言、文字が書かれていた。
やっぱり、十二支の皆と鹿威がいると楽しいネ。