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スロッター悟プー ~ミリオンゴッド編~

作者: 四季亮介

~とあるホール~


額に青筋を立て、ギリギリと歯軋りしている男がいる。


男が打っている台は「ミリオンゴッド~神々の系譜~」


一発台である。


ボロ勝ちかボロ負け、ハイリスクハイリターン。天国と地獄。

その渦中に男はいた。


ベジィタ「くそったれがぁ!」


開店と同時、前日に狙いをつけていた台に着席。0ゲームから打ち始め、すでに950ゲームを超えていた。

コイン持ちの悪さと天井の深さで数々の戦士を葬ってきた台である。


サンドに吸い込まれていく千円札。


ベジィタの種銭は1万を切っていた。


「オレは神を超える」


トランクソとブルマーの制止を振り切って放った言葉。戦う以外に能のない男はしかし、

神の前に敗れ去ろうとしていた。


ベジィタ「奇数の出目が続いた…天国モードに行ってるはずだ…なぜ演出が発生しない!」


ベジィタ。

かつて「破壊王子」の異名を取り畏れられた彼も、今では「台パン王子」としてホール関係者に

疎まれる存在となっていた。


キンキン、キン!また奇数目が揃う。


しかしブラックホール演出はおろか、雷演出すら来ない。


ついに、1000ゲームを超えた。


ミリオンゴッド~神々の系譜~の天井は1400ゲームである。


ベジィタ「ここからが本当の地獄だ…」


残りの種銭では回せても1200がいいところである。もしそこで終わったら間違いなくハイエナされる。

神に戦いを挑んだベジィタはいま、神に祈っていた。その矛盾に本人は気付かない。


プツン。


ベジィタ「!?」


液晶全消灯。


ドクン、ドクン…


心臓演出。GG期待度約40%の熱い演出である。


ベジィタ「…ついにお出ましって訳か」


不敵に笑う。


ドクン、ドクン…


ドクドクドクドク


ドクン…


通常画面へ。


ベジィタ「くそったれがぁ!!」


ばん!


台パン王子の本領発揮である。


トランクソの学費に充てる予定だった6万はいま、残り2千円になっていた。


出る気がしない。


(2千円あればコンビニで豪華弁当が買えるな…)


ベジィタは思考を切り替えた。それはつまり、神への敗北を意味した。


ふらふらと席を立つ。総回転数1214。


コインカウター横に設置してあるおしぼりで手を拭く。


ベジィタ「オレが…このオレが負けただと…」


ちらりと席を見る


ベジィタ「…!?」


すでにその席には客が座っていた。


ヤムンチャ「(・∀・)~♪」


天井付近のゴッドが落ちている。しめしめ。ヤムンチャの表情がそう語っていた。


ヤムンチャはレバーを叩いた。


ピキュン。


またもや全消灯。


ヤムンチャ「(・∀・)…」


-右を押してください-


ビスッ 【GOD】


ヤムンチャ「(・∀・)!」


-中を押してください-


ビスッ 【GOD】


-左を押してください-


ビスッ 【GOD】


ヤムンチャ「キタ━(゜∀゜)━!」



お座り一発のGOD揃い。噛ませ犬と言われ続けた彼が、神を超えた瞬間である。



ベジィタ「き…きさまぁっ!!」


ヤムンチャ「(・∀・)ベジタン。ドシタノ?」


もりもり増えるコイン。ヤムンチャはすでに下皿を揉み揉みしていた。


ベジィタ「その台は…!くっ…!その台は…!!」


ヤムンチャ「(・∀・)?」


…言えない。自分が打っていた台だとは。


「だからどうした?」自分がヤムンチャの立場ならそう答える。


ベジィタ「…なんでもない。オレは帰る。楽しめ」


ヤムンチャ「(・∀・)ノシ」


ホールを出る。


まだ昼前だった。



其の弐 完



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