初めての戦闘なんだがチュートリアルなしかよ!?
それにしても遅れすぎだろ…
悲鳴のする方に向かうと少女が奇妙な生き物二体に囲まれていた。
奇妙な生き物という言い方は少し賢いとは言えないが、見たことない生き物なのでそういうしかない。
何かに例えるとすると、RPGによく出てくるゴブリンとかトロールによく似ている。
「へいへい姉ちゃん。少し俺らと茶でもどうだい」
囲まれていたという言い方も間違っていた。正しくは絡まれていた。
「なあ、俺らは別に結婚しろと言ってるわけじゃないんや。ただ、少し遊ぼうと言ってるだけや」
もう一方のゴブリンが言った。
俺はどうしていいかわからず、ただじっと眺めていると、少女と目があった。
どうたとえればいいかわからないが、なんというか赤ずきんみたいだった。
いや、だったというより赤ずきんそのものだった。赤い頭巾をかぶり、手にはバスケットを持っている。
「あっ。ちょっと助けてください」
少女の言葉にゴブリン達が俺に気付いた。
「おお、兄ちゃん。何みとんねん」
「とっととあっち行ってな」
無理っす。なんかもうムキムキだし。手には棍棒持ってるし。対して俺は腕は細いし持っているものと言えば…ごめん手ぶらだ。
逃げよう。
「助けてください」
わかったわかった。頼むからそんな涙目で見ないでくれ。
そうだ、俺はもとはGだ。昆虫だ。頭を切られたって数週間は生きていられる。しかも死因は餓死だ。
しかも転生までした。もしかして俺って勇者だね。
「かかってこいや」
近くに落ちていた木の棒を持って獣共に宣戦布告した。
緑色の小柄だが筋肉質の獣が走り出す。
棍棒が振り下ろされる。
持っていた木の割れる音がする。
空が揺れて地面が目の前にしか寄ってくる。
ズカボコズカボコ。
俺は袋叩きにされていた。
「なにそんな生意気いっとんねん」
「坊主はかえってママに抱きついてな」
やっぱ無理でした。
何の抵抗もなく頭だけを守り、けられる俺。
俺死んだな。勇者なんていなかったんだ。
そんなことを考えていると、蹴りがやんだ。
終わったと思って顔を上げると、ゴブリンが二体倒れていた。
前には鉄槌を持ったあの少女が。
「ひゃっ生きてる」
鉄槌が俺に振り下げられる。
「またかよ」
俺の前がまた真っ暗になった。