あめのふるまち
どこか遠い、遠いせかいのお話……。
せかいは一つのまちでした。
まちには『たみ』とよばれる人たちがくらしていました。
男の人も。
女の人も。
お金もちも。
びんぼう人も。
元気な人も。
びょうきの人も。
みんないっしょに生きていました。
「あ、ママ! あめだよ」
「ほんとだ。早く帰らないとね」
親子にとってあめは、お家に帰るめやすでした。
「あめ……もうふらないで、おねがい……」
少年にとってあめは、ボロボロの服をもっとボロボロにしてしまう、いやなものでした。
「おお! あめだ! 助かった!!」
おじさんにとってあめは、大切な飲み物でした。
「明日までにはやむかなぁ?」
少女にとってあめは、えんそくのじゃまをするいたずらっ子でした。
「やったぞ! あめだ、めぐみのあめだ!」
おじいさんにとってあめは、やさいたちのお昼ご飯でした。
「ごめんな……おれ、帰れそうに……ないや……」
彼にとってあめは、さいごに見たけしきでした。
「かしてやるよ、かさ」
「え……?」
二人にとってあめは、なかよくなるためのきっかけでした。
「ああ、思い出すねぇ……」
おばあさんにとってあめは、昔のたいせつな思い出でした。
『このまちにふるあめは、だれかのなみだなんだ』
いつか、そう言った人がいました。
このまちは、みんなのなみだをうけ止めてくれているのです。
また今日も、だれかのなみだがあめになる。
だれかのために、あめがふる。
ようこそ、ここは――、
『あめのふるまち』
~fin.~
気晴らしに書いてみた童話です。
難しいですね……童話って。
※あえてひらがな多用していますので、読みにくかったかもしれませんがご了承ください。