幕間<Interlude>
「優位に立つ人間は、権力側は数を異様に恐れるのです。だってそうじゃないですか、大統領だろうが国王だろうが、たとえ独裁者でなくとも、それが愚策とわかっているのに反権力デモに向けて武力鎮圧を行ってしまう。暴動に発展する前に話し合う場を設ける事を喧伝するべきなのに、それができないのは、ひとえに脅えているからです。群衆をゾンビのように見ているんでしょう。話し合いなんて通じないと思っている」
ゾンビに繋げるには、ずいぶん無理があると思うけれど…
「デモ以外にも、宗教だってそうでしょう。ほら日本では、いや外国でも、カルトって陰惨な事件を起こした実例があるせいもありますが、集団で拝んだり、念仏を唱えたり、歌ったり、踊ったり、結婚したり、気味悪いと思うでしょう? たとえそれがメジャーな宗教であっても、それが群衆といえるほどまで集まっていたら、どこか恐怖を覚えるでしょう? 自身がそこに属していない限り」
確かに、それは感じる。
「わが国の多くの政治家だって、みっともなくもそんな集いに参加して、ヘラヘラ挨拶して票田になってもらうようお願いしているんですよ。敵に回す事を恐れているんです。しかしね、そもそも間違っているんですよ。無宗教の有権者の方がはるかに数は多いのに、目に見える数を恐れるんです。信用するんですよ。ですから教えてやることが、時に示してやる事が必要なのですよ。目に見えていないものの数が、何よりも膨大であるって事をね。それを知れば彼らは恐れます。もちろん激しく抵抗しますよ。恐怖は怒りを誘発しますからね。武器を持って手当たり次第殺しまくるでしょう。しかしそれは逆効果で、却ってゾンビの数を増やし続けます。富裕層というのは、大多数の生きる屍の上に存在するものですからね。 でもね、映画と同じようにね、少数はじわじわと追い詰められていって、いずれ多数にひれ伏す事になるんですよ。ですから、内臓を引き抜かれて食われる前にね、今のうちに軽く噛まれてしまえばいいんです。そうすればあなたもゾンビになれる。多数派に属する事ができるんです」




