表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Flower  作者: Machio
16/18

幕間<Interlude>

 ノートPCの小さなカメラに向いたまま立ち上がり、靴を脱いで、衣服を脱ぎ始めた。ゆったりめのブラウンのカーディガン、黒のトップス、続けてロングスカートを脱いで下着姿になる。結ってあった長い髪を解き、数回左右に振った。これでもう証明できたと思うが、覚悟を示すためブラに手をかけたところで、画面に映る中年男は開いた手を前に出して制止した。

「あの、お気持ちはわかりましたので…」

 すでに手荷物とスマホは隣にいる…体ごと視線を逸らしている若い男のチェックを受けている。

「ご指示頂いた通り、尾行にも注意しながら参りました」

 ブラを外し、ショーツ、靴下も脱ぐと、机の上に置いた衣服の上に重ねた。

「こりゃまあ… いやいや…」

 両腕を下ろして、何もかも晒した。後ろを向けと言われれば向くし、足を開けと言われれば開くつもりだ。

「わかりました、どうかもう、服を着てください」

 言いつつも、中年男はまっすぐ前を見ている。

「いえ、このままで結構です」

「そ、そうですか…」

「今朝の聴取で、わたしの関与を疑われました。 事前に忠告頂いていなければ、動揺してしまったかもしれません」

「あなたは何もしていません。知っていただけです」

「はっきりとは聞かれませんでしたが、色々推理されているように思います」

「ほう、でもまあ、遅いですな。 安心してください、証拠は出てきません。もうすべて始末をつけております。 ですが…もしもお心が危うくなるようでしたら、お勧めはしませんが、いっそ正直に白状してしまっても構いませんよ。おそらく大した罪にはなりませんし、よろしければ腕利きの弁護士をご紹介します。どうか無理なさらないでください」

「いいえ、そのつもりはありません。警察よりもあなた方のほうが怖いと思います。それに夫が被害届を取り下げたので、わたしもそれに従いました。今後捜査は縮小されていくでしょう」

「ならばそのまま、何もなかった事にされますか?」

「…それでは意味がありません」

「意味、ですか?」

「はい、ただ単に夫への憎しみを晴らすために行ったというのでは、あまりにリターンに乏しいのです。あなた方にとっても…」

「私たちにとっても? 車一台では見合わない、という意味ですね」

「そうです」

「では、他になにがあると? あなたにとっても」

「わたしを、信用して頂けるのでしょうか?」

 カメラを見つめた。中年男の映像は、PCに備わったカメラで撮影されている角度、フレームサイズではないように思える。正面に別にカメラとモニターがあって、そのすぐ傍に誰かがいるのだ。わたしはその誰かに向かって話している。

「今後も警察の聴取を、取り調べを乗り越えられれば、わたしを仲間にしてもらえるのでしょうか?」

「仲間に… ゾンビになりたいと?」

 うすら笑いを浮かべながら中年男は言った。ゾンビの話はもうたくさんだ。

「どうか、あなたとお話させてください。そちらにいるんでしょう?」

「はて、どなたを指しておられるんでしょうか?」

「…粉河、遊姫さんです」


「服を着て頂戴」

 中年男のまま、声は女性に替わった。冷たい、しかし労わるような発音だった。

次回


第5幕(最終幕)「勧誘者<Recruiter>」

3月末ごろ投稿予定です


次の週末は休みます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ