第7話 <楽園>の灯台
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ヘルメスとラムセスに連れられて辿り着いたのは石碑だった。
『ここが魔物たちの平和な<楽園>となることを願って。』
書かれているのはたったそれだけ。それは魔物の言葉ではなく日本語だった。私が何となく石碑に触れると、スキル習得の感覚と共に目の前にホログラムが現れた。
[楽園の灯台] : <楽園>の管理を効率的に操作できる。<楽園>での保護が可能は魔物の情報を確認できる。
<楽園>の管理、それは1から5階層までの環境や生息する魔物、動物、植物の情報がまとめられたものだった。更にはダンジョンの拡張などのメニューも存在するが、今は何もできそうにない。次に<保護>のメニューを確認してみる。
そこに表示されていたのは様々な魔物の種族名と生息域だ。探知可能範囲は1から5階層となっている。しかし、その魔物は<楽園>以外の世界中のダンジョンに生息していると表示されている。魔物の種族名をタッチすると知性ある個体の有無が確認でき、絶滅危険度が「0:絶滅」から「1:人間と敵対中」、「2:人間との接触あり」、「3:未発見」の三段階で評価されている。幸いまだ0と評価されている魔物はいない。
このホログラムには明らかに除外されている魔物もいる。ゴブリンやオークの名前はどこにもないのだ。ここに表示されている魔物は恐らく、この<楽園>で保護すべき魔物たちだ。ゴブリンやオークは実際に観察したことがあるが、彼らは集団での戦闘や、集落の形成、集落内での序列など、確かに知性はある様に見えた。しかし、同時に彼らは同族間で小競り合いも頻繁に行っており、他の魔物を襲うこともあった。
逆算して考えるに、このダンジョンの創造主たる神々は何らかの理由で凶暴な魔物と温厚な魔物を区別しており、後者を保護する為に<楽園>がよりにもよって私の家の中に生まれた。この特殊極まりない環境に絶大な好奇心が沸いているんだから、私のことなんて神様たちにはお見通しという訳だ。
管理画面の端には『六階層の開放まであと200pt』とある。この<楽園>が決して五階層で終わりではなく、むしろこの先に無限の可能性があることにワクワクしていた。存在することすら知らなかった神様たちにこの奇跡のダンジョンに感謝しつつ、私は日本のダンジョンに生息する保護対象の魔物をメモ帳にまとめていく。
鬼(絶滅危険度1) : 東京・奥多摩ダンジョン二階層
ドロクイサンショウウオ(絶滅危険度2) : 東京・奥多摩ダンジョン三階層
ユキコンドル(絶滅危険度3) : 長野・上信越高原ダンジョン五階層
キノコクズリ(絶滅危険度3) : 長野・木曽駒ケ岳ダンジョン四階層
コケイワヤギ(絶滅危険度2) : 富山・飛騨ダンジョン二階層
マジナイヘラサギ(絶滅危険度3) : 富山・飛騨ダンジョン五階層
サトリワシ(絶滅危険度3) : 富山・飛騨ダンジョン五階層
クレナイオナガインコ(絶滅危険度1) : 兵庫・淡路島ダンジョン二階層
ムラサキカガミトキ(絶滅危険度1) : 兵庫・淡路島ダンジョン二階層
オニクイオオハシ(絶滅危険度1) : 兵庫・淡路島ダンジョン二階層
アマツサイチョウ(絶滅危険度2) : 兵庫・淡路島ダンジョン二階層
デルタドラゴン(絶滅危険度2) : 兵庫・淡路島ダンジョン二階層
ジメジメスライム(絶滅危険度1) : 岡山・倉敷ダンジョン一階層
今、日本で保護できるのはこの13種類だ。新宿ダンジョンの鬼はオーガと呼ばれていて、冒険者が狩っているとは聞いたことがあるが、それ以外は未知の魔物ばかりだ。
「私、保護できる魔物のところに行きたいんだけど、ニコ、バステト、ついてきてくれる?」
「もちろんなの!」
「私もお供します。」
こうして私は壮大な旅行に出ることになった。
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