第60話 楽園の死神と楽園の密偵
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それから数日後、遂に投票日だ。しかし、<楽園>周辺は全く安全ではないので、投票に行くことはできそうになかった。私は相変わらず、研究所に入り浸っていた。シードルは一日中、迷宮用電子機器と拳銃の試作品とにらめっこしていた。
そんなある日のこと、ヘルメスと共に作業していたシードルの手が止まる。
「できた......」
「こっちもできたぞ。」
「できたって、どっちが?」
私が尋ねる。
「どっちもだよ。拳銃とコンピューターが完成した。シェリー君とローザ君を呼んできてくれ。」
私は言われた通りに二人を呼びに行った。
「さあ、拳銃とコンピュータが完成した!是非とも使ってみてくれ。」
シェリーさんがテューレ製の拳銃を握る。
「肺が......熱い!?」
「わ、私も......」
ローザちゃんも迷宮用コンピュータを手首に巻きつけると、同じ感覚に陥っている様だ。私やシードル、キョウコちゃんにスキルが発現した時の感覚と同じだ。身体の感覚が落ち着くと、二人は<楽園>の環境に適応し、スキルを手に入れた。
<シェリー>
[楽園の死神] : 魔力と身体能力が劇的に向上し、知性ある魔物の言葉が理解できる様になる。
<ローザ>
[楽園の密偵] : 情報処理能力が向上し、知性ある魔物の言葉が理解できる様になる。
それからは拳銃とコンピュータの性能テストが始まった。シェリーは今まで以上に人間離れした動きで射撃用の的を次々に撃ち抜いていく。この拳銃は魔力を弾丸として撃ち出すもので、スキルで魔力が増えたシェリーは既に二百発は撃っているが、息切れ一つしていない。
「グリップの握り心地は調整できる?」
「もちろん。」
シェリーはシードルと拳銃の最終調整を始めた。
一方ローザは大きな腕時計の様なコンピューターのシステムを一通り確認すると、自分が使いやすい様にシステムの改造と再構築を黙々と行っていた。
夜になり、私たちはみんなで自宅のリビングに集まって、選挙の結果を見守っていた。
午後22時、大久保アキオさんを内閣総理大臣たする自由党政権が返り咲いた。しかし、自由党単独では衆議院の議席の過半数を獲得することはできず、西日本での支持が盤石な日本改革会との連立政権となる見通しの様だ。右翼政党である日本改革会は国家機能分散構想という非現実的で、厄介な政策を掲げていたが、他の野党よりはましだろう。
一方で、ロシアに近い北海道・東北と中国に近い沖縄では依然として民意党や共栄党が支持されていた。それでも伝統的に左翼思想が強い地域を除けば、民意党は惨敗。共栄党はかつて学生運動に参加していた高齢層からの支持で何とか食い繋いでいたが、党内での発言力が大きかった沢田タイチが死んだ為、内情はかなり殺伐としている様だ。
書き溜めていたのがここまでなので、今後は不定期になってしまうかもしれません。申し訳ございません。
今後ともよろしくお願いします。




