第6話 墓場にて出会う
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遂に<楽園>の最下層に辿り着いた私たち。そこはどこまでも続く墓場で、どこか不気味だった。
「ねえ、ニコ、バステト。お化けなんていないよね?」
「お化けはいませんが、不死者たちならいますよ。」
そうバステトが言う。え、それってお化けじゃん!
「怖いよ〜。」
「主様、大丈夫なの。ここの不死者は滅多なことがない限りはずっとお休みしてるの。」
「そうなの?驚かせてこないならいいけど。」
しばらく進むと、そこには枯れた大木が聳えており、その根元に二人の魔物がいた。
「いた!あれが騎士様と賢者様なの!お〜い!」
ニコが根っこで器用に手を振ると、二人もこちらに手を振ってくれた。一人は黄金の刺繍が入った漆黒の法衣を纏った骸骨で、もう一人は錆びついた大きなプレートアーマーだ。骸骨さんは禍々しい本を持っていて、プレートアーマーさんは不吉な霧を纏った大剣を担いでいる。
「初めまして、主よ。儂は不死の賢者である。」
「俺は不死の剣聖だ。よろしくな!」
不死の賢者は老練という言葉がよく似合う落ち着き様で、剣聖さんは元気はつらつって感じだ。
「初めまして、私はトモ。賢者さんはヘルメスで、剣聖さんはラムセスでどう?」
ヘルメスは古代ギリシアの架空の魔法使いから、ラムセスは古代エジプトの大王から拝借した。
「良い名ですな。」
「気に入ったぜ、主!」
二人とも喜んでくれたみたい。
「二人はここで何してるの?」
「儂は魔導書を書いておる。一度読めば文字は消滅するが、ジョブや適性に関係なく記された魔法を習得できるのだ。」
「俺は指南書を書いてるんだ。これも魔導書みたいなもんで一度限りのもんだが、読めば誰でもそこに書かれたスキルが身につくぞ。」
ここに来て今まで以上にとんでもないものが出てきてしまった。魔法やスキルは天性の才能の類、ごく一部の人間がダンジョンに入って戦闘などの経験を重ねて初めて獲得することができるものだ。しかも獲得できるものは完全なランダム、特定の基礎技術の補助であるジョブの範囲内のものではあっても、何を身につけるかは運任せなのだ。それがこの魔導書と指南書を使えば、ジョブを無視して好きな力を得ることができるというのだ。
剣士が斬り合いの最中で初歩的な魔法なんかが使えるとなると、戦力は格段に上がる。魔法使いが接近戦で多少の剣技を使える場合も同じだ。魔物には魔法と接近戦のどちらにも長けた種が存在し、それこそが冒険者たちを十年以上、ダンジョンの三階入り口付近にとどまらせている。
「そうであった、主様にお近付きの印じゃ。」
「それなら俺からもプレゼントだ。」
そう言って二人は私に二冊の魔導書と一冊の指南書を渡した。早速読んでみる。全く見たことのない文字で書かれた巻物に目を通すと、何らかの能力が目から全身にポカポカと広がっていく。
[結界魔法] : 術者の力に応じて、様々な結界を設置することができる魔法。設置した結界は空気中の妖気で維持される。
[降霊魔法] : 術者の力に応じた霊的存在と守護者としての契約を結ぶことができる魔法。
[王の天秤] : 貨幣をあらゆるものに等価交換できるスキル。
本当に読んだだけで身につけてしまった。私は自分の生体情報を確認して言葉を失った。スキルは念じるだけで使えるし、魔法は身に付けてしまえば後は試行錯誤あるのみだと聞いたことがある。
私がもらったものを読み終えると、ヘルメスとラムセスがとある場所に案内してくれた。
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