第56話 死神の退職届
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トモとローザが脱出するのを確認すると、私、シェリーは拳銃とナイフを握って深呼吸する。完全に臨戦状態に切り替えた私の聴覚は研ぎ澄まされ、外に集結する車の音も廊下の足音も、全てが鮮明に聴こえる。私はあえて病室に暫く待機することにした。彼らが警視庁公安部なのか、日本国が誇る特殊強襲部隊SATなのか、そんなことは関係ない。現場に到着したばかりの集団より、作戦の為に少しでも散開した集団の方が楽に殺せる。そして銃火器の扱いにも、刃物の扱いにも慣れた私にとって相手の装備など誤差だ。それにシードルから受け取った試作品もある。
化学繊維の擦れる音が、金属音が近付いてくる。四人だ。私は病室のドアを蹴飛ばし、瞬時に音がした右側を振り向く。そこにいたのは所属不明の特殊部隊だ。シードルを誘拐したのも彼らなんだろうか。私は蹴飛ばしたドアを盾にして、素早く四人の頭に鉛玉を撃ち込む。周りの安全を確認してから彼らの装備を物色すると、警察手帳を見つけた。旭日章以外何もない。恐らく、警視庁公安部が抱える秘密部隊だ。
階段に向かって歩いて行くと、看護師がいた。しかし、看護師のポケットには不自然なシルエットがあった。私は即座に射殺する。シルエットの正体を探ると、小型の拳銃だった。院内にも内通者がいる様だ。
階段に辿り着くと、そこにも戦闘員が四人いた。私は彼らを亡き者にすると、一階に降りる。病院の受付には12人の特殊部隊員がいた。彼らは暗視ゴーグルを装備していた。私は2階に戻り、病院の備品を漁る。鎮痛剤、睡眠薬、ワセリン、消毒用アルコール。これだ。
私は消毒用アルコールを握りしめて階下に向かう。そしてアルコールの容器を特殊部隊の前に投げ、それを拳銃で撃ち抜いた。容器が壊れ、発火したアルコールが燃え広がる。
「うわっ!」
強烈な熱源に彼らが暗視ゴーグルを外そうとしたその瞬間、私は自動小銃を乱射し、敵を一掃した。
病院を制圧した私は特殊部隊の車両を物色する。ガソリンは満タンに近く、トランクには三門の単発式ロケットランチャーがあった。
「退職届、出さなきゃだね。」
夜が深まる千代田区23時、轟音が三度鳴り響いた。警視庁本部庁舎17階の総合指揮所に二発、建物のど真ん中に一発のロケットランチャーが撃ち込まれ、本部庁舎に風穴が開いた。警視総監を始めとした幹部三名と共栄党議員一人、身元不明の遺体が三体発見された。
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