第54話 突然の嵐
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翌日、日本時間午前八時、世界中にある画面が搭載された電子機器が全て同時にハッキングされ、一つの動画が流れた。それは日本で迷宮農業を確立した天才研究者<シードル>と、飛騨ダンジョンの元ダンジョンマスターを名乗る魔物<アリス>による日本政府の悪事の告発だった。
研究者に対する不当な扱い。知性ある魔物の実在。そしてその魔物が人の形をしており言語を操るという事実。この動画の内容は世界を驚愕させた。最後に二人は<楽園>の存在を知らしめ、日本政府に対して衆議院の一週間以内の解散を要求した。そしてこの要求が棄却された場合、東京23区を無作為に一つ選択し、その区を灰燼に帰す、と脅迫した。
時を同じくして、ライフハウス・コーポレーションは<楽園>との友好関係を公にし、<楽園>がもたらす恵みであるテューレ製の武具と新たなエネルギー資源の情報を公開した。
更に台湾迷宮報は民意党議員の裏金問題や不倫などのスキャンダルを次々に告発し、共栄党と中国共産党の癒着を決定的に示す記事までもが公開された。
商人ギルドにも動きがあった。商人ギルドは中華共栄構想を正式にブラックリストに追加。これを破った者は商人ギルド除名の上で国際指名手配されることが発見された。
日本の闇クラン<毒蛇>にも動きがあり、彼らも<楽園>との友好関係を発表した。凶悪犯罪には手を染めず、災害時には炊き出しや物資の無償提供も行っていた<毒蛇>は大きな批判を受けなかった。そして、指南書の存在が公表された。
世界冒険者協会は東洋本部も西洋本部も沈黙を守っていたが、日本支部だけが<楽園>との友好関係を発表。台北とカンタベリーに寄せられた批判は想像を絶するものだった。更に日本支部が魔法のタクトの販売を仄めかすと、その批判は更にその勢いを強めた。
<Bee Hive>もまた同様の声明を発し、魔導書の情報を発表した。そして彼らは<楽園>のホワイトリストに加え、<楽園>の不利益となる依頼は不可能となった。
<Macon>のCEOであるサル・ケルアックも<楽園>との友好関係を発表したが、それはあくまでもSNSでの投稿であり、多くの人は疑心暗鬼であった。
それとは反対に、アフマド・サルマンは<楽園>の内情と小田原トモの存在を暴露した。彼は会合の出席者に関しては黙秘することで、<楽園>のみとの敵対を画策した。
あれだけの力を示してなお、敵対する道を選んだアフマド・サルマン以外は全てヘルメスの計画通りだった。迂闊に外出できなくなってしまった私はヘルメスに大丈夫なのか尋ねると、「主に迷惑はかけてしまったが、修正可能だ。」と言う。私はヘルメスが知らぬ間にハッキングまで習得していることに最も驚いた。こうしてしばらくの間、私たちの<楽園>での引きこもり生活が幕を開けた。
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