第49話 矜持と謀略の行き止まり (1)
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出席者たちがその地位や富に見合わない一般家庭のリビングに集まった。
「案内をさせていただきます町田キョウコと言います。よろしくお願いします。では皆様集まった様なので、<楽園>に案内させていただきます。」
そして出席者たちは二階に案内される。すると、二階の廊下に一つだけ、ダンジョンの扉に酷似した扉がある。出席者たちはその扉の中へと消えてゆく。
扉を潜ると、森林が広がっている。そして大きな鎧で身を固めた骸骨が待っていた。
「彼は客室までの案内の担当するラムセスです。皆様、彼に従ってお進みください。」
そして彼らは見事なアーマープレートや法衣を纏った骸骨たち、そして鬼たちの列に沿って会議室へと歩いて行った。
自由党党首、大久保アキオは父が衆議院議員の政治家一族に生まれた生粋の政治家だった。幼い頃から父に連れられて様々なコネを築く中で、法的に曖昧な稼業で影響力を築いた連中と渡り合うこともあった。しかしここ、<楽園>はレベルが違う。統制の取れた魔物たち、未知の素材から武具を作り出す技術力、そしてその武具の装飾から垣間見える未知の文明。今彼が足を踏み入れたのは私や家族、日本人にとっての危機を超え、人類滅亡の危機すら成し得る存在が跋扈する異国だ。
ここの主が小田原トモという人間であるということが唯一の救いであり、可能性であった。世界冒険者協会日本支部がそのトモとの接触に成功したのは今世紀を代表する成果となるかもしれない。<楽園>を日本国の管理下に置き、自由党復権の足がかりにしようという目論見は崩れ去り、ここに代々国政を司っていた自由党の党首は完全に威厳を失った。
同じく自由党の国会議員である吉田タケルは既に思考を放棄しつつあった。大久保党首は現在の自由党の状況を鑑みると、不審な金の流れを作ることは許されなかった。万が一、政敵や週刊誌に知られれば、自由党の再起は不可能になるからだ。だから、1,000万円を振り込んで友好関係を築くのは彼の役目であった。
<楽園>はダンジョンであるという前提で全てを計っていたタケルは統率の取れた魔物たちを目の前にした時、少しでも自由党、否、日本国に利益のある形で交渉しようという目論見は全て崩れ去った。果たしてこの先で待つ小田原トモはこの国を、この世界をどうしようというのか、彼には全く予測できなかった。
現在、警視庁公安部に身を置くシェリーは反対に、<楽園>の強大さに期待を高めていた。彼女が今回の取引で<楽園の秘薬>を要求した理由は一つ、ハッカーである娘の<ローザ>だった。彼女は癌と闘病しており、シェリーが公安部に所属しているのはローザに最先端の治療を受けさせるためであった。<楽園>ならば妹の病気を治す力を持っているかもしれない、彼女は一筋の光に期待を高めていた。
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