第38話 新たなプレイヤーたち (1)
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私、エマ・ケルアックはパパ、サル・ケルアックと共に日本に降り立った。実業家と評されることの多いパパだが、実際は夢追い人といった方が正確だ。興味がそそられるものには何でも飛びつく。
トラックドライバーをしていた20代前半に愛読していたジャック・ケルアックの小説「路上」の影響で、パパは通販サイト<Macon>を立ち上げた。<Macon>の経営が安定すると、今度は自動車産業に手を出す。電気自動車全盛期の中、「古き良きハイウェイの相棒」の謳い文句で1960年代のアメ車をイメージした自動車<デルタ>を売り出したのだ。アメ車の難点である燃費を日本の自動車の水準まで向上させた<デルタ>は飛ぶ様に売れた。
二つのビジネスが安定した35歳の時、世界にダンジョンが出現する。パパは「ダンジョンは新たなるフロンティアだ!」と熱狂し、即座にダンジョン産業参入を計画したが、一年後に魔物氾濫が起こった。パパは即座に計画のために集めたエンジニアや後に冒険者となる能力者たちを集結させて、アメリカ合衆国冒険者ギルドの前身である<ガーディアンズ>を結成した。同時に迷宮資源の研究にも多額の投資を行った。2年半後に<ガーディアンズ>を政府に売却する頃にはサル・ケルアックは世界屈指の億万長者だ。
パパの恐ろしいところは自分が惹かれたものは悉くビジネスにし、しかもその全てが大成功をおさめていることだ。家ではいつもゲームをしたり、漫画やアニメでゲラゲラ笑っているだけの日本オタクなので、本人にビジネスマンとしての自覚があるかすら怪しい。でも、私はアメリカの大半の実業家の様に子供に英才教育を押し付けたりしないで、私の好きなことを全力で応援してくれる優しいパパが大好きだ。
「ジャパンは何回来てもワクワクするな〜。」
「もう、今回は私の留学に着いてきたんでしょ?パパが一番はしゃいじゃってどうするのよ。」
電車から街並みを見たパパは一人で大盛り上がりだ。今回、今回の来日は現在ソフォモア(大学2年生)である私の長期留学が主な理由だ。
留学先は調布市にある<私立迷宮大学>だ。私立と言いつつ、世界冒険者協会日本支部と台湾のライフハウス・コーポレーションが共同で設立した、東洋屈指の迷宮学科を抱える大学だ。私が迷宮資源に興味を持った13歳の時からこの留学は計画されていたみたいで、パパがわざわざ買った別荘が調布駅から10分くらいのところにある。
「パパ、次で降りるわよ。新宿から京王線に乗れば調布駅よ。」
この時、私は知らなかった。これから世界を揺るがす存在が丁度お隣さんであることを。
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