第33話 バトン渡し
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シードルは研究所を見に行くと言ってコケイワヤギの苔を抱えて五階層に行ってしまった。私とニコ、バステトは一階層に向かった。ヘルメスも興味があると言って着いてきた。すると、一階層の入り口から少し行ったところに地下への階段が出来ていた。
地下一階には水晶の様な材質の、宮殿と呼ぶに相応しい城ができていた。内部には玉座がある大広間の他に三つの客室、そしてスパイ映画に出てきそうな大使館の一室があった。
大使館の一室には高級そうな机が一つあるのみで、机上にはデスクトップのパソコンが二台あった。私がパソコンに触れると画面に光が灯り、簡単な操作説明がなされた。
このパソコンでは文字、音声、映像で地上の電子機器と通信が可能だが、相手の連絡先の情報を持っている必要がある。連絡先は打ち込むか電子機器を接続して認識できる様だ。私は貰った名刺の電話番号やメールアドレスを片っ端から入力し、自分のスマホも接続して、ありったけの人脈を一台の端末に注ぎ込んだ。私が現在通信可能なのは以下の6人だ。インターネット上の情報を精査して、基本情報も表示してくれるみたいだ。
<吉田タケル> : 自由党衆議院議員
<シェリー> : 公安警察のエージェント
<ミカ> : Sランク冒険者
<リン> : 台湾迷宮報の記者
<ワルツ> : 商人
<町田キョウコ> : 世界冒険者協会職員
ミカさんがSランクに昇格していたり、友達のキョウコちゃんが世界冒険者協会に転職していたりと幾つか私も知らない情報があった。日本の現政権は民意党と共栄党の連立政権なので、彼らに直接の連絡が取れないことが悔やまれた。
「主の旅行中に儂がインターネットで繋がった人間が幾人かいるから、彼らにも知らせて見るといい。」
そう言ってヘルメスがパソコンに触ると、連絡先が追加された。
「え?電子機器も無しに何したの?」
「儂とて賢者の端くれだ。未知の文明に触れればその利点は学ぶのだよ。これは[魔脳]という魔法でな、インターネットを魔法で再現したのだ。勿論地上のインターネットとの接続もできる。後で教えてやろう。」
とうとう私の手には余る存在となりつつあるヘルメスは短期間で恐ろしい人脈を築いていた。
<サル・ケルアック> : アメリカの実業家。通販サイト<Macon>を世界規模で展開している。
<アフマド・サルマン> : アラブ首長国連邦の石油企業のCEO。
<蛮勇のシグルド> : デンマークに本拠地を置く傭兵組織<Bee Hive>の代表。
<アルフィヤ> : 統一モンゴル国に亡命したウイグル人のSランク冒険者。
<テンジン> : チベットの反乱軍のリーダーの一人。
<カール・ミュラー> : ドイツにいるカトリック教会の枢機卿。
「こんなすごい人たちとどうやって繋がったの?」
「<楽園の賢者>を名乗って少し相談にのっただけのことよ。大したことはしていない。」
なんかちゃっかり世界情勢に影響を与えてそうで怖い。本名を使わない辺り、ネットリテラシーもしっかりしてるし。
私はキョウコちゃん以外には<楽園の主>を名乗って三つの占いの本文と共に解読を依頼した。旅行もあって連絡できていなかったキョウコちゃんにだけは<あなたのお友達>と名乗ることにして、最後に「今は無職で暇だからまた遊ぼうね!」と添えた。変な詐欺とか勧誘だと思われると嫌だしね。
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