第31話 創造の次は予言ですか!?
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二つの支流を超えた私たち。ここはダンジョンの中央部だ。しっかりとした土壌があり、植栽はジャングルの様に比較的細い木々が空高く乱立していた。いつの間に繁殖したのやら、ジメジメスライムたちはこの辺りでもうろうろしていた。入り口からここまでで既に研究所にいた数の10倍近くは生息しているだろうとシードルが言う。
木々のうろ、樹洞ではキノコクズリたちがお昼寝中だ。上を見上げるとクレナイオナガインコたちが果物やナッツをポリポリ食べている。相変わらずけたたましい声があちこちから聞こえてくる。木々が生い茂ったジャングルは薄暗い。その暗がりに潜むのがタタリミミズクたちだ。彼らはネズミや蜥蜴を見つけると樹上から急降下して、獲物を鷲掴みにする。捕食シーンを目の当たりにしたシードルは大盛り上がりだ。
飛べなくてもただの鳥じゃないオニクイオオハシたちもこの辺りに住んでいる様だ。彼らはイノシシの親子を見つけると3羽で狩りをして、親だけを仕留めていた。
そんなこんなでバステトに乗りながら散策していると、六階層の奥地にある三つの山々の麓まで来てしまった。この辺りにはサトリワシと鬼火雉がいて、サトリワシは意外なことに果物しか食べない様だ。
空は丁度夕暮れ、私たちはバステトとニコが仕留めた茶色いバクを食べることにした。南米の原住民の人たちはアメリカバクを食べるらしいが、日本人である私たちには未知の食材だった。塩胡椒で味付けしてから焚き火でじっくり焼いた肉に私たちはかぶりつく。
「野性を感じるね、トモ君。」
「野生動物の臭みは否めないけど、脂がのってて美味しいね。」
「まったく、アマゾンにでもいる気分だよ。自由で神秘的で、そして何より行き当たりばったり。ダンジョンはこうでなくっちゃ。」
デザートに果物を食べた私たちは一夜を明かした。
翌朝、私たちは遂に眼前に聳える山々を目指す訳だが、流石に登山道具はないのでユキコンドルのオモチを呼び出した。
「オモチ、私たちを乗せてあの山々の周りを飛んでくれる?」
「了解した。」
こうして、シードルは初めての空の旅を体験した。最初の内こそ怖がっていたが、慣れたのかすぐにシードルは辺りの景色を楽しみ始めた。
一つ目の山の頂点にはベヒモスの骸があり、ユキコンドルたちがそこに群がっていた。聞いてみると、オモチもここで暮らしているらしい。
二つ目の山の中腹には高原地帯があり、コケイワヤギたちが寝転んでいた。シードルがあの体表の苔のサンプルが欲しいと言うので、オモチに着陸してもらう。
コケイワヤギたちは相変わらず「メー」とか鳴くだけで言葉は話さない。しかし、私が「苔を少し分けてくれる?」というと、コケイワヤギが体を揺さぶる。すると、体表の苔の一部が剥がれ落ちた。
「ニコ、これ収納して。」
「了解なの!」
知性あるシアワセグサのニコが苔を飲み込む。
「話では聞いたけど、本当に便利な生態だね。」
シードルが感心している。
再び空の旅に出た私たち、30分ほどで二つ目の山の頂に至った。そこにいたのはアマツサイチョウのライコウだ。私たちに気付いたライコウが翼を振ってくれる。
三つ目の山の頂には古代エジプト文明のオベリスクの様な塔が建っていた。これがシャーマンの塔か。
「トモ、久しぶり〜。」
そこにいたのは白鷺姫のアリスだ。サトリワシのシッダもいる。
「トモ君。この女の子?は誰なんだい?」
「ああ、この子は白鷺姫のアリス。多分魔物だよ。」
「よろしくね、シードル。へぇ、人型の魔物は未だ確認されてないんだ〜。」
「え、今僕喋ってたかな?」
「ああ、アリスは人の意志とか思考を読み取れるんだよ。」
私がそう説明するとシードルは「は?」とだけ言って、遂に考えることをやめてしまった。
「そんなことよりトモさん。この塔のおかげで僕の占いの力が強まったんだ。それ自体はいいんだけど、今朝の占いがかなりよろしくない。」
そう言うのはシッダだ。
「あのさぁ、トモ。今そこのサトリワシさん、占いができるとか言った?僕の聞き間違いだよねぇ?ねぇ?ねぇ?」
シードル大先生が遂にクラッシュ寸前となってしまった。私は常識を破壊されて虚な目をした知の巨人を横目に会話を続ける。
「それでシッダ。その今朝の占いって?」
「よ〜く聞いてほしい。これから地上世界に三つの厄災が訪れる。」
そう前置きしたシッダは占いの結果を語る。
『月が血に染まった夜に逃げ場のない百鬼夜行が現れるだろう。24年前と同様に人間の愚かさが災厄を招くだろう。』
『二つの名を持つ海に眠る蜥蜴の王が蝉の声で目覚める。人の穢れに怒り狂った王は彼の寝床を偽りの名で呼ぶ者どもの家を海に引き摺り込むだろう。そして英雄の血を飲んだ時、怒りは治まり、楽園を目指すだろう。』
『二つの災いが過ぎ去った時、巨塔は進化するだろう。住人たちは強大になり、各地で諸王が目覚める。しかし、一つの可能性もまた現れる。善人には恵みとなり、悪人には災いとなる。両方であれば何も得ない。』
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