第30話 創造主にでもなった気分です。
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私は早速[楽園の灯台]の管理メニューを開く。すると、『<楽園>の情報を取得します.....』という文字が表示される。
『アップデートが完了しました。』
そう表示されると、建設可能なものの一覧が表示された。
六階層(200pt) : <楽園>の新たな階層。<楽園>に住む魔物の潜在的な能力を計算した結果、迷宮自然環境<大河>、<泥炭地>、<熱帯雨林>、<霊山>が適応される。
六階層の食料(1,000pt) : 地上の生態系を模倣して、六階層の環境に食料となる生物を発生させる。
精霊門(1,000pt) : 地上の精霊たちが<楽園>の門を通れる様になる。
シャーマンの塔(10,000pt) : タタリミミズク、ヤマイクイ、サトリワシ、鬼火雉の能力を計算した結果、六階層に建築可能な施設。精霊門を設置すると上述の四種族に能力ボーナスを付与する。
倉庫(1,800pt) : <楽園>の資源を無限に備蓄しておける空間。五階層を拡張する形で建設される。
研究所(5,000pt) : <楽園の哲人>の私室。基礎的な研究機材付き。五階層を拡張する形で建設される。
研究機材一式(5,000pt) : 宝物庫との転移門を含む研究に必要な機材を全て設置する。
宮殿(20,000pt) : <楽園>の主に相応しい荘厳な階層。地下一階層に建設される。
外交機能(5,000pt) : 宮殿に外交機能を搭載する。登録された電子機器と文字、音声、映像での通信が可能な機材や客室などが整備される。
全部で49,000ptだ。500,000ptもあるしいいだろうということで、私は全部建設した。建設に要したのはたったの十分、揺れも騒音も全くなかった。
『6階層に適した魔物の移住を開始します。』
移住の完了までには二十分かかった。私はシードルとコーヒーを飲みながら小休憩を取り、遂に待望の六階層に足を踏み入れた。
シードルの頼みで知性あるヨルノヌシ、バステトに乗った私たち。六階層の入り口付近には大河に面した泥炭地が広がっていた。泥炭というのは地上のヨーロッパやアメリカなどの湿地に存在する燃料資源で、枯れた植物なんかが微生物による分解が間に合わない程に堆積すると生じる泥の様な石炭だ。泥炭が豊富な湿地を泥炭地と言うらしい。私もシードルに教えてもらって初めて知った。
シードル先生の熱を帯びた解説によると、ダンジョンでは未だ発見されていない資源だという。しかし、彼女が最も興奮したのはドロクイサンショウウオたちがミーミー鳴きながらそれを食べているのを見た時だ。ドロクイサンショウウオはブルドーザーの様に泥炭を掻き込むと、鰓から泥団子ならぬ泥炭団子を吐き出していた。シードルの予想では彼らは泥炭内の微生物を食べているのだそう。シードルが泥炭団子を[楽園の哲人]で分析すると、それが魔石の五倍のエネルギーを備えた物質であった。ドロクイサンショウウオに食べられる前の泥炭がガソリン程度のエネルギー量の様で、その差は歴然だった。
泥炭地にはマングローブの様な木々が鬱蒼としており、ジメジメスライムたちがうろうろしていた。やはりスライムたちの生態は謎に包まれており、何故黙って日光に当たるでもなくうろうろしているのかは不明だ。岸辺にはデルタドラゴンたちが大きな群れをなして寝そべっていた。水面をよ〜く見ると、上顎だけを浮上させたデルタドラゴンたちがいて、私は彼らが泳ぎも得意なことを初めて知った。
シードルに頼まれてしばらく観察していると、彼らの一頭が勢いよく大きな古代魚に喰らいつき、釣果と共に楽に上がってきた。我らがあんなに瞬発力に優れているのも初めて知った。
泥炭地から奥に進むと大河の支流が二本流れていた。大河が相当な大きさなので、支流も川幅は広いが何とか歩けるくらいには浅い。支流にはマジナイヘラサギやムラサキカガミトキの一団が飛来していた。彼らは細長い足で浅瀬を歩きながら、川の水に嘴を突っ込んで小魚を食べたりしていた。
「おお!トモよ!一階層も良かったがここは最高だな!」
知性あるマジナイヘラサギのソロモンさんが挨拶してくれた。
「そうでしょ?ここは<楽園>なんだから、皆に後悔はさせないよ。」
「流石はダンジョンマスターだ。そっちはお友達かな?」
ソロモンさんがシードルを興味深そうに見つめる。
「ぼ、僕はシードル。ここ、<楽園>から哲人として認められたんだ。よろしくね?」
「こちらこそよろしく頼む。私はマジナイヘラサギのソロモンという。」
魔物との会話をする度にシードルは嬉しそうにしていた。
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