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迷宮動物誌 〜私と魔物たちの楽園暮らし〜  作者: ローラーコースター
間話集

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第27話 秘密の政治的ランデヴー

読んでくださった方が評価をして下さったみたいです。ありがとうございます!沢山の方々に読んでいただいているみたいで、作者としてすごく励みになります。

 現在三章を執筆し、なるべく皆様に継続して楽しんでいただける様にしています。今後ともブックマークや評価、感想、誤字報告よろしくお願いします。

 今夜、東京は永田町二丁目の総理公邸ではとある秘密会談が行われていた。資料の上では存在しないことになっているとある部屋には民意党党首であり、総理大臣である宮本マコトと迷宮大臣の共栄党の沢田タイチがいた。


「<白狐>様と<黒狐>様、<ストリボーグ>様、そして<バッヂャー>様が到着なされました。」

「お通ししろ。」


 宮本総理大臣が秘書にそう言うと、二人の中国人と一人のロシア人、そして一人のアメリカ人が入ってきた。中国人の方は白髪と黒髪の姉妹、中国人マフィアであり諜報機関である<狐会>の幹部たちだ。白髪の[白狐]は組織の資金調達や組織運営の中心人物で、黒髪の[黒狐]は諜報活動の作戦立案などを行っている。

 ストリボーグと呼ばれたロシア人はロシア連邦の対外情報局SVRの諜報員だ。彼は民意党に秘密裏に接触し、長期化したウクライナ侵攻と魔物氾濫での失策で経済崩壊を起こした本国への援助を画策している。

 英語で穴熊を意味するバッヂャー、そう呼ばれたのはアメリカの諜報機関、CIA(中央情報局)のエージェントだ。彼はラングレー(CIAの本部)からの司令で日本のエージェントたちの情報を合衆国へと渡す連絡役をしているが、一年前突如としてアメリカ国内の機密情報を対価次第で日本政府や<狐会>、ストリボーグにまで提供する様になった。


「ご機嫌よう、宮本総理。急に呼び出すなんて何があったのかしら?」

そう、黒狐がおどけて言う。

「我も急に呼び出されて、何がなんなのやら。」

とストリボーグ。

「皆さんもでしたか。私も何故突然呼ばれたのか、皆目検討がつきませんね。」

バッヂャーも同様だ。

しかし、三者ともおどけているだけだった。ここに呼ばれた理由など、誰もが知っている。


 目の下にすっかり隈をこしらえ、どこか顔色の優れない宮本総理大臣が咳払いをする。

「皆さんを呼び出したのは、我が国のダンジョンにおいて最近奇妙な事件が多いので、ひょっとしたらその心当たりがあるのではと思い、知っていることがあれば是非お聞かせ願いたい。」

それに第一に食いついたのはバッヂャーだ。

「それを教えることへの対価は?」

「......八戸を一か月。」

そう沢田大臣が言う。

「それで手を打ちましょう。」

この大臣の言葉はアメリカ合衆国冒険者ギルドに青森県・八戸ダンジョンでの夜間の魔石採取権を一か月与えるという意味だ。

「現在、日本で起きている様な事象に関する報告はワシントンにもラングレーにもペンタゴンにも存在しません。もちろん、それを可能にする技術については言うまでもないでしょう。」

こう言った秘密裏での魔石採取権のやり取りは民意党に協力的なマスコミは"報道しない"自由を行使するし、先の選挙で大敗を喫した自由党には勘付かれていない。

 宮本マコトも沢田タイチも選挙に勝つことだけを目指してきた政治家だ。与党になった際のことなど考えておらず、公約に掲げていた「減税絶対」と「安全なフロンティア」を何とか達成した様に演出することで精一杯だった。各地のダンジョンで異常現象を前に、彼らの頭の中には保身の二文字以外には何も書かれていなかった。


「妾たちとて情報提供はやぶさかではないが、本国ではミスリル採掘用のガスマスクが不足している様でな。多忙な故、伝えそびれることもあるやもしれぬ。」

そう白狐が言う。

「200用意しよう。」

そう宮本総理が言うと狐会の姉妹は沈黙して、彼を見つめる。

「300。」

「250。これ以上は無理だ。」

「190と中央地方の同胞の不起訴。」

「......いいだろう。受け渡しはいつも通りでいいか?」

「うむ。」

「不起訴に関してはこちらで手を回しておこう。」

こうして中華共栄構想はネパールのミスリル採掘への足掛かりを得る。

「妾も本国からその様な作戦の情報は得ていない。人民解放軍が完全な秘密作戦を画策していなければじゃがな。」

黒狐はあくまで明言は避けた。


「それで、ストリボーグ殿はいかがかな?」

「ふむ。先程、故郷の同志が食うものにも困っていると聞いてな。祖国の心配故に、万が一の可能性についてまで考えが回らぬ様だ。」

「5億円。」

「いいだろう。我もその様な怪奇事件を起こし得る技術の情報は持ち合わせていない。」


 宮本と沢田はこの取引を安全保障上、必要不可欠な出費と見ていた。周辺国の諜報員から一連の事件が他国からの侵略や破壊工作ではないとの情報を得られたことに二人は安堵した。しかし、三国の諜報員たちは日本の現政権をねぎを背負うどころか、味付けを済ませた鍋に飛び込んできた高級鴨肉としか思っていないのだった。

読んでいただきありがとうございます。毎日最低で一話は投稿していますが、時間は不定期となります。

ブックマークや評価、感想、誤字報告もよろしくお願いします。

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