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迷宮動物誌 〜私と魔物たちの楽園暮らし〜  作者: ローラーコースター
第一部 二章 旅行を楽しもう!

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第23話 記者リンの直感

楽しんでいただけたら幸いです。ブックマークや評価、感想、誤字報告よろしくお願いします。

 三日かけて地上に戻った私たち。外には記者と思しき人たちが何人かいた。

「台湾迷宮報のリンと言います。お嬢さん、少しお話を聞かせていただいてもいいですか?」

ふと私に声を掛けてきたのはキャスケット帽を被った小柄の女性記者だった。ワイシャツにヴェスト、そしてタイトなスラックス。何ともシックな人だ。


 <台湾迷宮報>は台湾のネットメディアだ。世界中のダンジョンに関する情報を正確に報道するため、世界的に高い信頼を得ている。


 台湾は魔物素材の加工技術と錬金術における特許のシェアが90%の超先進地域だ。西洋の国々がダンジョンの存在意義や冒険者という職業の倫理的問題を議論している間に、技術革新で力をつけた。先の魔物氾濫で台湾は甚大な被害を被った。理由は都市部があまりに入り組んでいて、建物が乱立していたからだ。台湾復興に相当な資金と時間と労働力が必要だと分かると、中国共産党は台湾の独立を事実上認めるかの様な声明を発表した。


 しかし、日本の自由党政権と大手企業からの10兆円規模の復興支援が号令となり、アメリカ、オーストラリア、イギリスが多額の資金と人材を調達。24年経った今では日本を凌ぐ技術力と国際的影響力を保持している。この一連の復興、国際政治的駆け引き、そして技術者への大規模投資を主導したのが台湾迷宮報の初代編集長であり、現在はライフハウス・コーポレーション会長の林志明(リン・チミン)だ。


 ちなみに中国共産党は台湾の目覚ましい発展を知ると、迷子の雛鳥の様に「台湾は中国の一部」だと再び主張し始めた。中国共産党からの金銭的支援を受けている左翼団体や胡散臭い共産主義者たち以外、大衆にはただの騒音でしかない。日本国民は魔物氾濫のどさくさに紛れて日本の領土である尖閣諸島に人民解放軍を上陸させようとした様な国にまともな主張を期待なんてしていないというのが世論の大多数だ。

 ただ、日本の政権が民意党に移行してからというもの、日本国内に滞在している中国人たちがマフィア組織を結成しており、何かと問題になっている。そのマフィア組織は<狐会>。日本国内に潜伏していた諜報員や秘密警察の職員の他に、秘密裏に行使された国防動員法によって政府に家族を人質に取られた中国人たちの諜報組織だということが分かっている。彼らは日本全国に秘密基地を有していると推測されていて、今のご時世、『台湾は独立国家だ!』と日本国内で言うことは覚悟がいる。


 リンさんは私に今回の前線基地での落雷発生について幾つかの質問を投げかけた。私は当たり障りのない答えでそれを乗り切る。取材が終わると、リンさんは私とSNSを交換したいと言う。今回の取材内容を記事にする際に改めて確認の連絡を送る場合があるのだとか。私は了承して連絡先を交換した。




 台湾迷宮報の記者、リンは昔から人の秘密を嗅ぎ当てるのが得意だった。たった今出会った女性からも、彼女は何らかの秘密を感じた。当たり障りのない受け応え、無関心な表情、そして余裕。そのどれもがあまりに徹底されていて、人間自体に興味がない様にも思えた。万が一先日のダンジョン崩壊をまだ知らないとしても、大いなる脅威との戦いによる人類の歪で不安定な発展こそが現代。その只中にいて、ここまで人間に無関心であるということが可能なのだろうか、とリンは疑問に思った。

「あの人は何か大きな秘密がある。これは何か大きな事件の匂いがするね。」

リンはそう呟くと、ダンジョン街の人並みに消えていった。彼女はSNSの投稿から小田原トモという先ほどの人物が東京に住んでいることを見抜くと、東京に向かうのだった。

読んでいただきありがとうございます。毎日最低で一話は投稿していますが、時間は不定期となります。

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