第22話 ワニ的なドラゴンとか怪鳥とか復讐とか
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オモチに乗って、私たちは次の目的地である淡路島ダンジョンに向かう。今回は二日で到着した。現地のスーパーでは刺身用の鯨肉があったので迷わず買った。特に淡路島の名物ではないらしいが、初任給が出た時に迷宮開拓作業員の同僚で友達のキョウコちゃんと食べてから、私の大好物になっている。鯨刺しににんにくは欠かせまいと、私はチューブのにんにくも買った。
淡路島ダンジョンは日本に二箇所しかない熱帯雨林が広がっているダンジョンだ。私は流石に連日の野営で疲れたのでホテルの一室を取った。ダンジョン街からは少し離れているが、休むには十分だった。ペット可とフロントに書かれていたので、部屋に入りきらないオモチ以外は一緒に寝ることにした。バステトのもふもふ、抱き枕に最適かも。
翌朝、と言っても九時に起きた私は支度を済ませてホテルをチェックアウトする。ダンジョンに入ると蒸し暑かったので、私は長袖シャツ一枚にジーンズでオモチに乗った。
二階層までは一日とちょっとで到着した。そこは相変わらずの熱帯雨林。東側には大河が流れていて、北の果てには山がある。このダンジョンには保護対象が四種類もいるらしい。私はまず大河に向かった。
向こう岸が見えないほど大きな河には巨大なワニの様な魔物が群れで寝そべっていた。鑑定してみると、これがデルタドラゴンらしい。大きさといい、姿形といい、どこか恐竜を彷彿とさせるが、鼻のあたりには立派な角がある。
こちらは気付いた群れの一頭が起き上がる。ワニの様なものかと思っていたら、四肢が地面に対して直角になった。なるほど、四肢の可動域が広いらしい。私が交流を図るが言葉を話すことはない。「がぁぁぁ。」と喉を鳴らす様な声で鳴くだけだ。撫でても抵抗しないし、ニコも平気だと言うので、片っ端から転移させる。その作業が終わる頃には日が暮れていた。私たちは鯨刺しを楽しむことにした。
野営して翌朝。私がオモチに乗って残りの保護対象を探すが結局見つからず、また一日が過ぎた。川に沿っていくと、北の果ての山に辿り着く。その川辺のマングローブの様な木々はコロニーになっていて、色んな鳥の魔物たちが巣を作って暮らしていた。インコと呼ぶには大きなクレナイオナガインコ、すらっとしていて寡黙なムラサキカガミトキ、飛べない代わりに強靭な二本の脚で走り回っているオニクイオオハシもいた。しかし、一本の大木で休んでいる深紫の怪鳥が最も目立っていた。
「人間か。お前も私たちを殺しに来たのか?」
「私はあなたたちを保護しに来ました。」
「それは願ってもないことだが、どの様にして保護するのだ?」
「私は<楽園>というダンジョンのマスターです。そこなら皆さんも平和に暮らせます。」
「そうか。ならば世話になることにしよう。私はアマツサイチョウという。ここを去る前に一つやり残したことがある。着いてきてくれるか?」
夜になり、私が乗るとアマツサイチョウは羽ばたき、南に向かった。アマツサイチョウは巨大で、湾曲した長い嘴の他に頭に緑色の角の様な突起がある。しばらくすると、冒険者の前線基地が見えてきた。
「あそこにいる人間たちが五十羽の同胞を殺めた。私は復讐がしたいのだが、何か良い手はないか?」
「なら、中央にある大きな筒を壊すといいよ。あれが壊れれば人間たちは退かざるを得ないからね。」
「ではそうしよう。」
あの筒、もといタンクは空気清浄機だ。私はスキルのお陰で何の影響もないが、冒険者たちは皆、あれ無しでは毒素の影響で24時間以上ダンジョンで活動できない。冒険者たちは退かざるを得なくなるだろう。
夜の暗闇で深紫のアマツサイチョウは視認不可能と言っていい。冒険者たちは全くこちらの存在に気付いていない。アマツサイチョウが何かを念じると、突如空気清浄機に雷が落ちる。大規模な落雷は前線基地の浄水施設をも巻き込んだ。ミスリルでできた冒険者たちの生命線が一瞬で消し炭になったのだ。
冒険者たちは慌てふためき、ダンジョン庁の職員と思しきスーツ姿が何か叫んでいる。しかし、数分もすると冒険者たちは皆、大慌てで後方の拠点へと退いていった。
満足したアマツサイチョウと共にコロニーに戻ると、保護対象の魔物たちは皆、羽を休めていた。魔物は基本睡眠を必要としない。これが魔物の最も基本的な脅威だ。彼らは昼夜関係なく人を襲う。<楽園>の魔物も同様で、ニコやバステト、オモチも野営の間は寝ている私の側で辺りを警戒してくれる。
「じゃあ転移させるねっと、その前に名前を決めなきゃ。あなたはライコウ。どう?」
「ライコウ。今度からはそう名乗るとしよう。」
「じゃあ、もう一つダンジョンに寄ったら帰るから。またね。」
ライコウは翼を振ってくれた。
ライコウたちの転移が終わると、保護状況は100%になっていた。私はオモチに乗ってダンジョンを抜け出すのだった。
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