第21話 ダンジョン崩壊と退職
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私たちが大急ぎでダンジョンを脱出できたのは崩壊まであと一時間という、ギリギリのタイミングだった。せっかくだし、と三人を上空に隠れさせて、私はダンジョンの崩壊を見守ることにした。
ダンジョン入り口付近はメディアの記者や地域の人、元居住者でごった返していた。ある者は好奇心を掻き立てられ、またある者は絶望して、しかし大半の人は半信半疑といった表情で聳え立つ巨塔を見守っていた。
崩壊まで3秒...
2秒...
1秒...
0。
巨塔は霧になって快晴の空に溶けていった。内部にあった居住区も、神秘の霊山も、鉱石やレアアースの研究施設も。ダンジョン内に詰まっていた期待も、熱狂も、思い出も、何もかもが音も立てずに霞になってしまった。逃げ遅れた100人は行方不明。推定損失額は実に1,000兆円。
私が立ち去ろうとすると、一組の冒険者の会話が聴こえてきた。
「せっかく迷宮庁が三階層の鳥どもを騙してレアアース事業で稼げる可能性があったのにな...」
「まあ、ダンジョンなんて腐るほどあるし、また適当な所で一山当てようぜ。」
迷宮開拓作業員は下っ端とは言え、迷宮庁の職員だ。私が勤めていた職場はアリスちゃんやソロモンさんたちの平穏な暮らしを踏み躙って、この人たちを儲けさせていたんだ。目の前に人の言葉を話す、無垢な存在を平然と殺して平気な連中をだ。
私は滅多に使わないスマホを取り出して、私の上司である柏木開拓監督官に退職する由を伝えた。飛騨ダンジョンの崩壊を受けて退職者が続出している様で、私の引き留める言葉はなかった。
『退職に関する書類を自宅に送るので、必要事項を書いた上で郵便で送る様に。』
ただそれだけだった。私は迷宮開拓作業員を辞めた。
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