第19話 色とりどりのサギ
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次は三階層だ。三階層は湿地帯になっていて、遥か遠くに大きな山が見えた。この階層には弓を持った冒険者が極端に多く、その理由はすぐに分かることになった。湿地には鳥の魔物たちがいたのだ。そしてその魔物こそが今回の保護対象、<マジナイヘラサギ>だった。個体によって羽の色が違い、赤、青、黄、緑、白、黒。どれも美しい。冒険者たちはマジナイヘラサギたちを弓で射殺す。そして次のマジナイヘラサギへと矢をつがえた時、周りの何百というヘラサギたちが羽ばたく。するとその羽から何万もの魔力の弾丸が放たれる。冒険者たちは蜂の巣の様になり、血を吹き出して亡き者となった。それを前にしてやっとマジナイという言葉の意味が分かった。マジナイヘラサギは魔法使いだったのだ。
私が意を決して話しかけようとすると、彼らは私に魔法の雨霰を容赦なく浴びせてくる。しかし、私はスキル[楽園の主]のおかげで傷一つつかない。それを見た彼らは一切に鳴き声を挙げる。とてつもない音圧だ。そしてその意味はすぐに分かることになる。一羽の血濡れたマジナイヘラサギが現れた。
「人間、何者だ!」
「私はトモ。あなたたちを保護しにきたの。」
「人間は一度我々を騙したのだ!信じられるものか。」
それを聞いて気付いたのはそのマジナイヘラサギが日本語を話していることだ。知性ある魔物は喉を鳴らしたり、口を動かすだけで人の言葉は話さない。それは魔物の言葉が分かる私だって同じだ。<楽園>の魔物たちも、音や声の意味が分かるだけで、言葉は話さない。
「あなた、人の言葉を話せるの?」
「そうだ。お前たち人間のダンジョン庁とかいう者が私たちと和平を結ぶ為の会議を設けた。しかしその会議の場に行くと、人間たちは私たちの代表を二羽殺したのだ。それでは満ち足りず、今では毎日の様に人間が私たちを殺しに来る。」
「私の同族がそんなことをしているなんて......私は<楽園>というダンジョンのマスターなの。そこには水も食べ物もたくさんあって、私以外に人間はいないわ。よかったら<楽園>に移り住まない?」
「ふん。人間の言葉など信用ならん。本当だと言うならば、証拠を示せ。」
「分かったわ。ニコ、バステト、オモチ。おいで。」
上空で隠れていたオモチたちが降りてくる。
「この子たちが私の友達よ。」
するとマジナイヘラサギは驚いた顔でこちらを見つめる。
「僕はニコなの!<楽園>はいいところなの!」
「ふむ。どの魔物も強大だ。人間如きに遅れを取るとは思えん。いいだろう。お前たちを信じて、このダンジョンのマスターに会わせてやろう。我らはマスターの決断を信じるのみ。」
着いて来いと言われて、オモチに乗った私たちは三日かけて遥か七階層にまでやってきた。
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