第2話 ただいま地上、はじめまして<楽園>。
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一週間の旅路を経て、私は地上に戻って来れた。コンビニの雑誌には聞いたこともない名前の芸能人だらけ。トプスやラプトルとは比べ物にならない速度の電車に乗って、やっと自宅に帰って来れた。
迷宮開拓作業員はその危険さから給与も安定しており、[鑑定]持ちは希少なため、私の年収は800万はある。しかし、いつ死ぬか分からない仕事では大金を貰ったところで、あまり価値を感じなくなってくる。事実、私の収入は殆ど口座に眠っていた。まあ、一年間の作業と二ヶ月の休暇を繰り返しているから、散財するほど地上にいないと言う方が正確かもね。
一応一軒家である私の自宅、私は1年ぶりに扉を開く。コンビニで買った弁当を缶ビールで流し込むと、お風呂に入る。21歳の女性でありながら、恋人もペットもいない。孤独の日々だ。とっとと寝てしまおうと自室に向かうと、廊下に見覚えのない扉があった。ちょうど、さっきくぐって来たダンジョンの扉を小さくした様なものだ。
とうとう自宅の構造も忘れたのか、もしくは極度の疲労で幻覚でも見ているのか、私は何が何だか分からなくなった。そして、その扉に触れてみる。
『ダンジョンマスターに登録しました。ダンジョン内の環境への適応を開始します。』
謎の音声と共に私の体に違和感が生じる。肺や胃の辺りが熱くなり、私は咳き込む。体感で五分くらいが経過すると、熱はすっかりなくなる。
『ダンジョン<楽園>のマスターへの登録が完了しました。スキルが付与されました。』
音声が再び聞こえた。私は自分の<生体情報>にアクセスする。生体情報とはダンジョンに入ると皆が入手できるスキルで、念じるとホログラムが現れて自分のジョブやスキルを確認できる。他人の生体情報は閲覧不可能だが、全てのスキルがそうである様に原理は不明だ。私の生体情報は[鑑定]だけのはずだが、今目の前には未知のスキルがあった。
[楽園の主] : 殺生が不可能となるが、絶対の防御力と状態異常への完全耐性を獲得する。また、どこからでも<楽園>内部の訪れたことのある場所に転移できる。魔物や物体も転移させることができる。
[楽園の神秘] : ダンジョンの資源を自由に加工できる錬金術の極致。
[みんななかよし] : 全ての魔物となかよしになる。知性ある個体の言語が理解できる様になる。
[ずっといっしょ] : 知性ある魔物の個体に名前を与えて仲間にすることができ、どこでも呼び出せる様になる。名前を与え魔物は<楽園>とスキル保持者の現在地を自由に行き来できる。
迷宮開拓作業員として夢の様なスキルで溢れていた。でもジョブも魔法適正も無しか〜。ジョブがあれば冒険者登録ができて、日本冒険者ギルドから毎月お得なクーポンが色々貰えたり、破格の保険制度の対象になったのに。
目の前にあるダンジョンの扉と夢の様なスキル。迷宮開拓作業員としての職業病とも言える知識欲が私を強く突き動かしてしまい、私は仕事用の鞄を持ってダンジョン<楽園>へと入っていく。
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