第17話 キノコのクズリか、クズリのキノコか
楽しんでいただけたら幸いです。ブックマークや評価、感想、誤字報告よろしくお願いします。
木曽駒ヶ岳ダンジョン、そこはどこまでも広がる山地だ。一階層と二階層では山肌には棚田がこしらえられ、大量の農作物が育てられていた。
魔物氾濫以降、地上の農地は荒れ果ててしまい、農業従事者の数は激減してしまった。しかし10年前、正体不明の迷宮研究者<シードル>が秋田県の大潟村ダンジョン、大仙ダンジョン、湯沢ダンジョンにおける迷宮農業の報告書を匿名で当時の首相に送り付けたことで事態は一変した。
現在、迷宮農業技術は日本が独走状態。国内だけで22ヵ所のダンジョンが迷宮農業を安定化させている。その次に迷宮農業が発展しているのがアメリカで、南部のダンジョンは将来的に全て農地にする予定だとか。世界三位は中国だが、中国の迷宮開拓には大きな問題がある。彼らは中国国内の少数民族やチベット、ウイグルの人々を奴隷の様に迷宮開拓に狩り出しているのだ。それでも人手が足りなくなると、漢民族の低所得者や地方出身者を奴隷の様に酷使し、中華共栄構想を発展させている。
四階層は未踏の大地、棚田なんてものはなく、様々な魔物が跋扈していた。今回の保護対象である<キノコクズリ>を見つけるのは簡単だった。彼らはダンジョン西部の樹洞という木に自然にできる穴の中に住んでいた。
クズリというのはアメリカにいるもふもふのイタチの様な生き物で、とにかく凶暴らしい。一匹で鹿を仕留めたり、熊や狼と縄張り争いをするんだとか。しかし目の前のキノコクズリはそんな素振りは全く無く、私に撫でられるとクルクルと喉を鳴らしている。背中には大きなキノコが生えていて、[鑑定]で見てみると、クズリキノコというらしい。キノコクズリとクズリキノコ、誰が名付けたにせよ、ネーミングセンスが皆無だ。
私は彼らとの交流を試すが、キノコクズリは喉を鳴らすばかりで言葉は話さない。ニコが抵抗の意思がないだろうと言うので、私は片っ端からキノコクズリを転移させていく。保護が完了するまで実に三日もかかった。
その帰り道、一階層で自衛隊の方々の見かけた。何やら冒険者たちを捕縛しており、気になったので、オモチから降りて事情を聞いてみると、冒険者たちは中国人でスパイ活動を行っていたのだとか。中国人スパイが潜伏していた山小屋には魔石を爆発させる爆弾の試作品まであったらしい。タケルさんたちの活動が功を奏したのだろうか?私は厄介事に巻き込まれる前にダンジョンを脱出した。
読んでいただきありがとうございます。毎日最低で一話は投稿していますが、時間は不定期となります。
ブックマークや評価、感想、誤字報告もよろしくお願いします。




