第16話 飛ぶタイプのお餅
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オモチはすごかった。ダンジョンの地形を無視して移動するのでとてつもなく速い。面白い発見もあった。二階層からは人間がいることを伝えると、オモチは飾り羽で光の反射を調整して透明になれるのと言う。しかし[鑑定]してもスキルの類は一切表示されない。それを伝えると、魔物の能力は人間が二足歩行できたり泳げたりしてもそれがスキルにはならない様に、魔物の能力は生態の一部なのだとか。魔物の中には自分の生態を把握していなかったり、その生態を使う必要がない為に隠れた力を持っている者もあるらしい。ユキコンドルも腐肉を貪っていたので、透明になる能力もいつ使えばいいのか分からなかったらしい。
私たちは四日でダンジョンを脱出できた。今回はダンジョンの五階層まで行って時間がかかったので、すぐに木曽駒ヶ岳ダンジョンに向かった。オモチに乗ればたったの三十分の旅だ。私たちはダンジョンから少し離れた道の駅に寄って、そこで食料を買い足した。
ダンジョンの入り口で手続きをしてダンジョンに入ると三人を呼ぶ。手慣れた作業だ。木曽駒ヶ岳ダンジョンは山がちなダンジョンだ。迷宮農業が成功したダンジョンで、所々に農地がある。ダンジョンの土壌は特殊で、普通は地上の植物が育たない。しかし、肥料に魔石を砕いたものを混ぜると農耕が可能だ。迷宮農業最大の難点はダンジョンによって、魔石粉末の有効な含有量が違うことだ。研究者は日々、その含有量を特定する為に実験を繰り返している。
ダンジョン内に季節はあるが、それは狂乱期と繁栄期と呼ばれている。狂乱期には魔物が暴れ出し、繁栄期には魔物たちが繁殖するというもので、気候に変化はない。その為、ダンジョンでは通年農業ができて、ダンジョンの土壌では農作物の成長も早い。ちなみに今は狂乱期だ。[みんななかよし]がある私には関係ない話になってしまったが。
このダンジョンの目的地は四階層。オモチに乗った私たちはたったの三日と少しで着いてしまった。
その頃、航空自衛隊はレーダーが捉えた不審な航空機に関する緊急会議を開いていた。
「中部地方の全ての航空レーダーが上信越高原・木曽駒ヶ岳間で三十分間に及んで謎の航空機を確認しています。目視での確認は不可。技術者曰く、レーダーに異常はなく、既存の航空レーダーが三十分に及ぶ誤動作を起こす可能性は極めて低いとのこと。」
「安藤空将補、これをどう思う?」
「伊藤空将。この航空機は上信越高原上空に出現するまでの動向が一切不明です。可能性があるとすれば、やはり未知の巨塔、ダンジョンでしょう。何者かがダンジョン内から何らかの存在を解き放ったのか、ダンジョンの何らかの作用なのかそれは不明ですが、経済崩壊が起きたロシアやヒマラヤの開発に着手した中国がこの様なことをする余力があるとは到底思えません。それ以前にこの様なことを可能にする技術を持ち合わせているという情報もありません。」
「まるで新技術のお披露目の様なことをしておいて、未だどの国も声明の一つもない。やはり、ダンジョンか。
総員に次ぐ。これよりこの飛行物体を<虚像>と呼称し、上信越高原ダンジョン周辺と木曽駒ヶ岳ダンジョン周辺に自衛官を派遣せよ。最大限の警戒をもって任務にあたれ。」
トモの知らないところで、事態は急速に深刻化しているのだった。
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