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京都に住んで和風ファンタジー(時には中華風)の取材などする日記  作者: 鷲生 智美


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武田薬品京都薬用植物園でネタになりそうなお話を聞けました!(1)

 武田薬品工業株式会社。言わずと知れた、日本の製薬企業の最大手。

 そこが京都に薬用植物園を持っています(公式ウェブサイトはコチラ→※1)。

 なんで関西にあるの?と怪訝に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、もともと関西系の企業なんですよ。


 そこの見学会で、植物と薬についての知識をたーっぷり得ることができました。


『薬屋のひとりごと』が大ヒットしましたが。

 こういう古来から生えている薬用植物の知識、歴史ファンタジーを書く上でおおいに使いでのあるものだと思います。


 この京都薬用植物園については、鷲生も前から予約制の見学会があるのは知っていましたが、きっかけがないまま特に訪問することもなく今まで来てしまいました。

 今回、友人が私を誘ってくれたので、中に入れた次第です。


 なかなかに人気で、友人も夏の終わりくらいに申し込んでくれたものの落選。

 今回の12月とあいなりました。

 すっかり冬なのでたいていの草花は季節外れですが、冬は冬で温室と、それから展示棟が見られました(展示棟は神戸から移築した洋館で、モダン建築としても見どころです)。


 今回は温室のお話です。

 写真はnoteに投稿しております。

 https://note.com/eagle9052/n/nda1c53870905


 15人ほどの見学者グループが案内係の人に引率されて歩くのですが、まず、温室の手前の「トチュウ」について。

 いや、別に温室へ行く道の「途中」だからじゃありませんw

「杜仲」です。


 あ、「杜仲茶」の話かと思って読み飛ばさないで。

 この武田の薬用植物園でのメインのお話は樹皮です。


 しかも。木の枝が順路に並べてあって、案内人さんがナイフで削って全員に配ってくださいます。

 手でちぎり、伸ばすとネバっとした繊維が広がります。

 ここに薬効があるのだとか。


 足腰にいいとか、強壮鎮痛作用とかがあるので、中国ではお庭によく植えられてきたそうです。

 比較的早く大きく育つ木で、「若い女性が結婚するときに植えはじめ、年を取って病気になる頃、杜仲の木のお世話になる」というお話でした。


 市販されているお茶は葉っぱです。

 なんかいろいろ効能はあるそうですが、ここでは「そうらしいですねー」と軽く触れられる程度でした。


 いよいよ温室へ。


 ニッケイの木があります。

 ここでも案内人さんが葉っぱをむしって私たちに臭いをかがせてくださいました。


 あ、コレ知ってる臭いや……。

 

 ニッケイは、おおむねシナモンのことです。


 その「おおむね」というのは、ニッケイにもカシア(シナニッケイ)、セイロンシナモン、ニッキ(日本産)などの種類があり、一緒にされることもあれば別だとされることもあるからです。

 大雑把に言えば似たような香りですが、やはり気にする人によっては好みがわかれるのだとか。


 中国雲南地方、ベトナムなどに育つものですが、日本(京都)で育つ種もあり(それがニッキ)、これは根の皮を使います。


 生八つ橋に使われたりしてました。

 鷲生が「これ知ってる」と思ったのも、聖護院のあたりに行くと町中にこの香りが漂っているからでしたw。


 カシアから案内人さんが葉っぱをむしって全員に渡してくださいましたが、その断面から、あのシナモンの香りがします。

 葉っぱの先端の方が香りが強いそうです。


 シナモンスティックとして身近なアレは、樹皮を剥いでそれを丸めたものです。


 次はバニラ。

 緑色の細長い実(というか莢)がぶらさがっていました。

 この中にある実がバニラビーンズ。


 生ではあまりアノ香りはなく、処理が必要なのですが(今ネットで調べたら乾燥と発酵を繰り返すそうです)、枯れて勝手に良い香りになることもあります。


 案内人さんが地面から拾った、黒く枯れたバニラビーンズの莢を差し出してくださったので鼻を近づけて匂いを嗅ぎましたが、確かにほんのりバニラの香りがしました。


 ニクヅクの木もありました。

 ニクヅクは、ハンバーグなんかの肉料理に使う「ナツメグ」です。

 日本薬局方にも載っている生薬です。


 また、パチョリの草もありました。

 乾燥させると「霍香カッコウ」という生薬になるそうです。


 葉っぱを自由にむしらせてくださり、「もむと独特の香りがしますよ~」とのことでしたが、鷲生のは単に青臭いだけでよく分かりませんでした。

 GoogleのAIくんによれば「スモーキーでウッディ、湿った土や墨汁のような、神秘的でオリエンタルな香り」とのことです。


 イランイランノキもありました。

 イランイランはアロマテラピーに興味のある人は名前を聞いたことおありでしょう。


 シャネルの有名な香水「№5」にも使われたとのことで、案内人さんから聞かされたとたん見学者が軽くどよめきましたよw 女性が圧倒的に多かったですからねw


 ニュウコウもありました。

 漢字で書くと乳香です。

 樹脂が香料となるもので、樹脂の塊も見せてもらえました。

 wikiによると、この樹脂の塊が白いことから「乳」の名前がついたとあります。


「キリスト教で出てきますよ~」と案内人さんから解説がありました。

 鷲生は亡くなった父がカトリックでしたし、私もそうですが。父の葬儀とか、鷲生が洗礼(転会)したときの復活祭とかでお香を焚いてましたよ~。


 お香つながりで、ジンコウもありました。


 そして当然ビャクダンの木も。


 ビャクダンの花は臙脂色で、年間通じて断続的に咲くのだそうです。

 日本では自生しませんが、温室では種が落ちて、地面のそこら中から新芽が生えまくってましたw


 ショクダイオオコンニャクもあり、案内人さんが「お花が咲いた」という話を、割と熱心になさってました。

 なかなか咲かないものであり、開花するとニュースになるようなもののようです。

 LINEで友達になると、お知らせが来るそうですよ。


 このショクダイオオコンニャクについては、花の開花については熱心に語っておられたのに「薬用」の説明がなかったな……と思ったら。

 今調べてみたところ、特にないそうです。武田薬用植物園で育てていたのは「絶滅危惧種の保護」という意味合いのようですね。


 写真に撮り忘れていましたが、温室の中でも側面と上に囲いがあってミストがかかっている植物もありました(「箱入り娘」みたいにw)。


 これはアカキナノキ。

 キナという植物は、マラリアの治療薬として使われました。

 キニーネです。

 武田は戦前、ジャワ島にキナからキニーネを作る工場を持っていたとか(販売には至らなかったようなことをおっしゃっていました)。


 鷲生は最近手持ちの漫画『玄奘西域記』を読み返したんですが、「冷病」という危険な病が登場し、鷲生はそれをマラリアだと思ってました(※2)

 

 キナの木は南米大陸のものなのですが、歴史ファンタジーなら、なんかの手段で旧大陸に持ち込まれて特効薬として知る人ぞ知る存在として登場させるのもアリかもしれません。


 もっとも、現実の日本・この薬用植物園ではなかなか大きくならず、試行錯誤しながら育ててらっしゃるそうです。


 それから、名前を忘れてしまったのですが、幹生花の実の写真を撮影しています。


 コショウもありました。

 黒胡椒と白胡椒は同じ植物ですが、レッドペッパーと呼ばれるものは違う植物だそうです。

 胡椒はコショウ科ですが、レッドペッパーのコショウボクはウルシ科で、全く別のもの。


 この2種が並んでいる場所の奥では、パパイヤが実をつけていました。

「モッカって言うんですよ」と案内人さんが言っておられ、鷲生は頭の中で「木菓」と変換してたんですが、今調べると「木瓜」だそうです。


 wikiによれば「強心剤、降圧剤、鎮痛剤」としての効果が期待され、また酵素が何かとお役立ちであるようです。


 その次の紫色のかわいい花が咲いている草は、リュウキュウアイ。

 染料になります。

 案内の方からとくに薬効の説明はなかったと思いますが、wikiによれば「健康食品に配合されるが、潰瘍性大腸炎の人には有害だ」という解説がありました。


 温室最後に紹介されたのがトウシキミ。

 中華料理の八角です。


 香辛料としてだけではなく、古くから生薬に使われました。


 また、このトウシキミに含まれている成分がインフルエンザの特効薬タミフルの原料となったのだとか。


 これも小説のネタになりそうだと鷲生は思ったんですよね。

 インフルは高熱と咳という分かりやすい症状が出て、生死にかかわります。そこにパッと効く特効薬。

 すごくドラマティックじゃないですか。

 アオカビからペニシリンは使い古された感がありますが、これはええネタになるのでは?


 ただ、化学的にいろんな処理が必要であり、八角を食べたからと言ってインフルに効くわけではないようです。うーーーーん。


 なお。

 今回の武田の薬用植物園ではお話がなかったですが、同じシキミでもトウシキミではない、日本のシキミの実はぜっーーーーったいに食べてはイケマセン。

 これはホントに猛毒で命にかかわります。

 八角に似ているため食べる人が多く、日本では植物で唯一「劇薬」に指定されています(京都府立植物園でのイベントで聞きました※3)。


 同じように見える実が「おいしい食べ物/劇毒と」と大違いなので、うーん、これも小説に使えそうな気がしますね。


 今回は主に温室で見た植物についてです。

 次回は、植物園にある展示室(神戸から移築された素敵な洋館です。内部に植物の解説展示があります)のお話を書こうと思います。


 なお、武田の薬用植物園公式ウェブサイトにも解説があります(※4)。

 別に創作者向けの情報となっているわけではありませんが、参考になるかもしれませんよ~。


 *****


 ※1 武田薬品工業株式会社 京都薬用植物園 

 https://www.takeda.com/jp/about/local-locations/botanical-garden/


 ※2 今、調べてみると「冷病」=マラリアとはっきりしたソースは見つかりません。

 GoogleのAIくんは「冷病はマラリアの名称だ」と言ってくれるんですが、その根拠がわからないw

 コトバンクに「冷熱病」という項目があり、これがマラリアだという記載はありました。

 

『玄奘西域記』についてはコチラ↓ エエ漫画ですよ~!

『玄奘西域記』 諏訪緑 1992 (電子書籍は2020) 小学館

https://www.shogakukan.co.jp/books/09172132


 ※3 「「暮らしに活かす植物たちの観察会」に行ってきました。」

 https://kakuyomu.jp/works/16817330661485429107/episodes/822139836399589731


 ※4 上掲の武田薬品工業株式会社京都薬用植物園のサイトの中の、植物の解説がのっているページはコチラ↓

「植物・生薬・漢方薬紹介」

 https://www.takeda.com/jp/about/local-locations/botanical-garden/#d4d3fc9f825e



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