02. ダンジョン地震の恐怖
地震の描写があります。苦手な方は飛ばしてください。
地震の前兆なんてなかった。授業でやったこともある、初期微動ってやつ。それともこれが初期微動?これが“初期”って嘘でしょ?じゃあ本番きたらどうなんの。
「みんな机の下に隠れて!」
甲高い声だが、いつものヒステリックさは鳴りを潜めた、どこか必死さの滲むタダ先の言葉に我に返り、イスから落ちて尻もちをついている状態から、必死に机の下に頭を入れる。とても全身入れる余裕はなく、机もガタガタと揺れるため机の足を必死に支えて、怖くて、滲んできた視界を拭うことも出来ずに目を瞑って、必死に恐怖を意識の外に追いやろうとしても、思考がそれを許さない。
物が落ちる音がした。誰かの悲鳴が聞こえた。神に祈る声まで聞こえてくる。何かが割れるような音がした。この場ではきっと誰もが恐怖から逃れられなくて、短い呼吸を何度もした。
どれくらい時間が経ったのか分からない。すごく長く感じたけど、もしかしたらほんのちょっとの間だけだったのかもしれない。揺れがおさまってしばらくしても、目を開けるのが怖かった。
「深山、大丈夫か!怪我してんの?」
「だい…だ、だいじょぶ」
後ろの席の進藤の言葉で、ようやくまぶたを上げる。最初に感じたのは、薄暗さだった。おかしな話だ。地震で電気が来なくなったとしても、今はまだ十四時になったかどうか。外はカンカン照りで、窓際だから日焼け止め塗ってても日焼けしちゃう、なんて思ってたくらい、雲一つないいい天気で…
「空、赤い…」
緊張で乾いた口内で、なんとか言葉を吐き出す。地震が起こる直前に見た空のヒビ割れはそのままに、空は真っ赤に染まっていた。
地震の描写飛ばせる様に00話と01話は短めですが、02話から1話1話が長くなります。