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01. 二度目のダンジョン災害

 ダンジョン、なんてものが発生して今日でちょうど一年らしい。昼休み、お昼ご飯の菓子パンを食べる気にならず、自販機のつぶつぶコーンスープを飲みながら流し見た、SNSのトレンドで出てきたネット記事曰く、だが。

 ちょうど一年前、世界中にダンジョンが発生した。当時はネット小説では現代ダンジョンものにハマっていた身からすると、そのニュースだけでドキドキわくわくしてしまって、普段は見ないニュース番組に齧り付いていたものだ。

まぁ結局のところ、日本ではダンジョンに入れるのは自衛隊だけだから、段々とニュースを見る頻度も下がって、今はスマホで動画投稿サイトで動画を見てばっかりの日々に逆戻り。ダンジョンに行きたいからって自衛隊になりたい!って程じゃないし、かといって大学に行けるほど頭も良くない。だから進路は多分高卒で就職だけど、まぁなんとかなるでしょって楽観的に思って、一年経ってもダンジョンに思いを馳せている。

 ちなみにつぶつぶコーンスープのつぶつぶに当たるであろうコーンはほとんど底にへばりついて取れなかった。これ系の上手い飲み方がさっぱり分からない。


 そんな、記念すべき?ダンジョンの発生から一周年の日。昼休み終わりすぐの授業。6月末ながら高い気温が続いているため冷房の使用が許可され、天気もいいので日差しがいい感じに入ってきている窓に二番目に近い列の後ろから二番目の席は、昼寝にはうってつけだ。しかも授業が数学ときた。成績なんて精々が中の下で、テストで赤点こそ取らないものの、毎度テストの点数では危ない橋を渡っている数学は、全くもってやる気にならない。もう諦めて突っ伏して寝たい程度には頭が下がっては上がり、下がって下がって…もう無理かもって感じだが、数学のタダ先は生徒の間でも有名なクソ教師なので寝ると後々めんどくさいのだ。テストの返却時に他の担当クラスの成績が悪かったことを、クラス平均が高かったうちらのクラスに当たり散らす様な奴だ。マジで意味が分からない。だから起きなければ、起き…

 パンっと、何かが破裂したような音で眠りかけていた意識が驚きと共に覚醒する。その音に驚いてキョロキョロと頭ごと視線を忙しなく動かすが、音の原因はさっぱり分からない。クラスメイト達からも「え、なんの音?」「なになに?」なんて疑問の声が小さく、でも確かに聞こえて来る。


「静かに!授業に集中しなさい!」


いつも通りの、ヒステリックな甲高い声でタダ先が言うが、その言葉を無視して視線を巡らせる。そしてふと、外を見た。冷房が効いた部屋は当然窓も扉も締め切られていて、だからあの音はきっと教室の中からだろうと、思っていたから。


「え、なにあれ」


ぽつりと、言葉を落とす。タダ先の言葉で少し落ち着きだした教室に、うちの言葉はよく響いた。


「空、割れてる?」


ガラスがクモの巣状にヒビ割れたみたいな、そんな、全くもって既視感の無い、アニメ映像みたいな、異常な空。それを視認して言葉を零した、数秒後。


 地面が、揺れた。

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