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作者の私見強めシリーズ

ビーガンについて考えてみた

 ここは異世界


 そこは、美しい世界だった。緑豊かな草原が広がり、澄んだ川が流れ、空には二つの太陽が輝いている。

 しかし、この世界には「エルフ」と「人間」の深い対立があった。


 エルフたちは動物を愛し、殺生を忌み嫌う種族だった。彼らは森の恵みだけで生き、自然と共存することを尊んでいた。

 一方で、人間たちは動物の肉を食べることで生き延びてきた。彼らは狩猟と農業を行い、雑食の文化を受け継いでいた。


 この二つの種族はやがて衝突し、長い争いが始まった。エルフたちは「動物の命を奪うことは罪であり、野蛮である」と主張し、人間たちは「食べることは生きることであり、自然の摂理だ」と反論した。


 この対立の始まりは、あるエルフの登場に遡る。元々はエルフも雑食だったのだが、そのエルフは「すべての命は等しく尊重されるべきだ」と説き、動物を食べる行為を罪だとした。

 ここに、悪意や敵意は無く善意からの発言だった。

 その話に共感した者たちは肉食をやめ、植物の恵みだけで生きる道を選んだ。そして、より多くの人々にそれを広めようとした。


 しかし、狩猟と牧畜を生業とする人間たちは、それを受け入れることができなかった。「私たちはこうして生きてきた。

 今さら変えろと言われても、どうすればいい?」「動物を育て、食べることで家族を養ってきた。それが罪だというなら、私たちの生き方そのものが否定されることになる!」


 両者の主張はどちらも正しかった。しかし、次第にエルフと人間の一部は過激な手段を取り始め、肉を食べる者を非難し、時には武力をもって改革を迫った。それに対し、人間たちも、また同じ事をした。


 こうして争いが起こり、何世代にもわたり続いていた。今や争いの原因は思想の違いだけではなくなり、互いに憎しみ合い、何のために戦っているのかすら見失いかけていた。


 黒い鳥はこの争いを眺めながら、静かに考えた。


「エルフたちは愛の深い種族なのだ。ただ、ほんの一部の者が、その信念を強要しようとするから争いが起き、人間も一部の者が、エルフを罵り争っている」


 人間というのは感情で動く存在であり、単純に善悪で割り切れるものではない。さらに、畜産業やその他の加工販売業者の利権が絡んでおり、問題はより複雑だった。


 黒い鳥は思った。


「この生き物達は、せっかく食べ物に困らなくなったのに、なぜ争っているのだろう?」



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